アトランタの観光と行楽

★コカコーラとオリンピック公園 ★ピードモントパークとグラントパーク ★陽はまた昇る…南北戦争ゆかりの地


 アトランタ観光のキーワードは「南北戦争」。でも、アトランタの町ができたのは1847年で、「南部の帝都」とはいえ、北軍の攻撃で灰燼に帰した1864年の人口はまだ1万人足らずだったはず…南北戦争前の古い建物が残っていないのも当然です。名作「風と共に去りぬ」のおかげで、歴史があちこち少し誇張されてしまったのはいなめません。

==≪コカコーラとオリンピック公園≫==

試作ボトルのデザインと

膝元がくびれたホブルスカート

アトランタ観光…(@水族館/Aコカコーラ/Bピードモント公園/Cストーンマウンテン/Dハイ美術館)

 ジョージア生まれで、今では清涼飲料の世界最高峰に君臨しているコカコーラの誕生も、南北戦争に由来しています。戦傷の痛み止めで自分自身もモルヒネ中毒になってしまっていたペンバートンさんが、1865年に治療薬として売り出したものです。

 1915年には、当時流行していた女性のホブルスカート姿を連想させるセクシーなボトルが採用されました…コカコーラの成功は、味や飲み心地が人々の心を単純につかんだのではなく、常に時代の最先端の広告宣伝を展開してきたからだといえましょう。アトランタでは、そんなコカコーラ宣伝アイテムの収集家の国際会議がジョージア・ワールドコングレスセンターで年に一回開かれています。

Georgia Aquarium

 ファイブポインツにコカコーラ博物館ワールド・オブ・コカコーラがお目見えしたのは1990年…2007年に今の場所=オリンピック公園の近くに移りました。世界中のコカコーラ・グループの製品60種飲み放題というコーナーがあります。皆さんも、何種類飲めるかチャレンジしてみてください。同様の博物館はラスベガスにもありますが、東京のお台場は閉館になってしまったそうです。

CNN Center

 オリンピック公園の北隣には(2005年にホームデポの創業者が建てたばかりの)巨大水族館ジョージア・アクアリウムがあります。貯水量810万ガロンといわれても見当がつきませんが、「世界最大」には間違いありません。20エーカーの敷地に、500種、10万匹の生物が暮らしています。

 南隣は、日本でも知られている24時間ニュースチャンネルのCNNセンター…大災害に襲われても報道が続けられるように設計された館内は、観光客の見学ツアーに開放されています。アトランタ・ファルコンズ(NFL=アメフト)のホームスタジアムジョージアドームアトランタ・ホークス(NBA=バスケ)とアトランタ・スラッシャーズ(NHL=アイスホッケー)のホーム・アリーナフィリップスアリーナもご近所です。

=====≪ピードモントパークとグラントパーク≫=====

 ミッドタウンのピードモント公園はビジネス街と隣り合わせで、ニューヨークのセントラルパークと似ているといわれます。おしゃれな植物園があります。例年4月初旬の週末にハナミズキ(Dogwood)の開花を祝うドッグウッド・フェスティバルがあります。2009年の夏には元ビートルズのポール・マッカートニーのライブコンサートが行われました。

 ピードモントはもともとイタリアのアルプス山麓地方の呼び名でしたが、アメリカに来てアパラチア山脈の高原地帯の呼び名として使われるようになりました。公園は、1877年に南部のアパラチア山麓諸州(ジョージア、南北カロライナ、アラバマ、テネシー)がアトランタに集まって開いたピードモント博覧会(Piedmont Expedition)の会場として始まったそうです。

 地下鉄ミッドタウン駅の一つ北はアートセンター駅…名前の通り、このあたりにはハイ・ミュージアムオブアート(美術館)やウッドラフ芸術センターがあります。インターステート西の再開発地アトランティック・ステーションには、最近、ミレニアム・ゲートという名の凱旋門が建てられました。内部はアトランタ史の博物館になっています。

Cyclrolama

 ダウンタウンのファイブポインツ駅から二つ東はキング・メモリアル駅。北口はスイートオーバーン(Sweet Auburn)と呼ばれる黒人起業家のビジネス街で、公民権運動を率いたキング牧師の生家や記念館のキングセンターもあります。

 I-20の南にはアトランタ・ブレーブス(大リーグ)のホーム球場ターナー・フィールドやグラントパークがあります。ピードモントパークが植物園なら、グラントパークは動物園です。

=====≪陽はまた昇る…南北戦争ゆかりの地≫=====

Margaret Mitchel House

 グラントパークの一角に、サイクロラマという博物館があります。主要展示物が360度パノラマ風にぐるりと見渡せるように描かれたアトランタ市街戦の絵画ですから、正しくは美術館と呼ぶべきかもしれませんね。意外なことに、この絵は南北戦争に勝った北軍側によって描かれたものです。

 アトランタ市のモットー「Rising Again(オリジナルはラテン語)」には、南北戦争後のアトランタを不死鳥のようによみがえらせた南部人の誇りが込められています。そういえば「風と共に去りぬ」を締めくくるヒロイン=スカーレットの有名な独白「After all, tommorow is another day.(だって、明日があるんだもの)」も、昔、私が読んだ小説では「明日は明日の太陽が昇る」と訳されていました。

 生涯に「風と共に去りぬ」ただ一作を書いて筆を絶った作家マーガレット・ミッチェルの家は、ピードモント公園付近にあって記念館になっています。小説の舞台タラのモデルの地はピーチツリーシティ付近のジョーンズボロ、ヴィヴィアン・リーの衣装など映画ゆかりの品々はマリエッタの風と共に去りぬ博物館(The Marietta Gone with the Wind Museum)で見ることができます。

山腹の壁画…左から

南部大統領のジェファーソンデービス、リー将軍、ジャクソン将軍

 アトランタ東部の行楽地…山全体が一つの岩でできた珍しいストーンマウンテンも南北戦争と無縁ではありません。山腹には、南軍の三将軍がそれぞれの愛馬にまたがって進軍する姿が彫られています。

 ストーンマウンテンにはロープウェーで簡単に上れますが、時間があれば歩いて登ることもできます。近年はテーマパークを目指し、山の回りを一周する鉄道や、博物館、アトラクション、ゲームコーナーなどを揃えて充実させているようです。

 入口付近には南北戦争前の農園(Antebellum Plantation & Farmyard)が再現されています。