イリノイ州・e-ガイド (印刷ページ)

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ノーザンイリノイ

★シカゴランド ★クァドシティズと農機のジョンディア


シカゴランド


 シカゴには「第二位の都市(The Second City)」という愛称が残っていますが、2008年7月の推計で、ニューヨーク大都市圏の人口が1901万人、ロスアンゼルス大都市圏1287万人、シカゴは957万人…現在は全米第三位の都市です。

マーカンタイル取引所

(Chicago Mercantile Exchnage)

 国勢調査(Census)のシカゴ大都市圏(Metropolitan Area)には、インディアナ州のゲーリー周辺やウィスコンシン州の州境付近が含まれています。シカゴランド(シカゴ国=Chicagoland)という俗称には特に定義がないので、ウィスコンシン州のミルウォーキーからインディアナ州のミシガンシティーあたりまで、ミシガン湖岸の人口密集地帯を一くくりにする言葉として使っても、あながちマチガイではなさそうです。

 ノーザンイリノイの経済は、農・工・商の混交です。インディアナ州のゲーリーはUSスティール発祥の地…重工業で発展してきた土地柄ですが、シカゴ自身とイリノイ州内のシカゴランドは、周辺の農畜産業と手を携えて発展してきました。伝統的な工業といえば食品加工業。シカゴには世界的にも重要な金融街がありますが、その根幹は農畜産物の商品相場です。世界で初めて先物売買など商品取引の仕組みを作ったのはわが国大阪船場の米相場と言われていますが、今ではすっかりお株を奪われてしまいました。


クァドシティズと農機のジョンディア


昔のままのスチール製の鍬

 アイオワ州のダベンポートとノーザンイリノイ西部のモライン(Moline)、ロックアイランド(Rock Island)、イーストモラインは(後から加わったベッテンドルフ(Bettendorf)を数えると正確には5都市ですが)クァドシティズ(Quad Cities=四市)と呼ばれています。

現代のトラクターで引く鍬(ジョンディア)

 世界最大の農機具メーカーを創業したジョンディア(John Deere)は生まれ故郷のバーモント州で事業に失敗し、イリノイ州に越してきて鍛冶屋を始めました。当時の鋳物製の鍬(すき)はもろくて大草原(プレーリー)の固い土壌には歯が立ちません。ジョンディアは1837年にスチール製のシャープな鍬を考案しました。さらに、1848年には、拡販のため、ミシシッピー川沿いで交通の便が良いモラインに引っ越してきます。皆さんのお宅の芝刈り機に、鹿のマークは付いていませんか?あったら、それはジョンディア・ブランドです。

 標高の低いイリノイ州でも、ウィスコンシンの州境に近いロックフォード付近は海抜200m以上…ニレの木の林に囲まれた家具作りの町として始まり、20世紀の半ば以降、おもちゃや自転車から自動車まで幅広い工業製品を生産する地域となりました。編み機、エアブラシ、空気ブレーキ、両替機など、時代の先端商品を開発して栄えていたのですが、1980年代の末から企業買収の波に飲み込まれて工場が労賃の低い地域に移転するようになり一転して没落してしまいます。現在は、シカゴランドの近郊都市として観光を軸に再生を図っています。