ミズーリの地理 ★二つのカンザスシティ ★ミズーリラインランド ★トム・ソーヤの洞窟 ★オセージとオザークの地下資源 ★パーティー・コーブ ★ブーツヒル地方
カンザスシティは、カンザス州を流れるカンザス川がミズーリ川に合流する河口にあるから、カンザスシティです。 ===≪二つのカンザスシティ≫=== ミズーリ州側にカンザスシティができてから、河口の経度を基準に州境を決めたので、東と西に二つのカンザスシティができてしまいました。 補習校があるのはカンザス州側ですが、都市圏の中心はミズーリ州側。人口は、東のセントルイス都市圏が2.9百万人に対して、西のカンザスシティ都市圏は2.1百万人です。 ===≪ミズーリラインランド≫=== ミズーリ州の最初の州都はセントルイスでしたが、1826年に両都市の中間の小さな村が新州都に選ばれ、ルイス&クラーク探検隊を派遣したジェファーソン大統領を記念して、ジェファーソンシティと名付けられました。 30マイル北のコロンビアも、州都の立地と同様で、州の中央にあるので州立大学の町として始まりましたが、セントルイス-カンザスシティを結ぶ鉄道が通ってからは、新たに交通の要衝となりました。 ミズーリ州北部の丘陵地帯は氷河の南限で、セントルイスからジェファーソンシティにかけては、氷河に削られて流れてきた水はけがよくブドウの生育に適した礫土が堆積しています。ミズーリ州は中西部のドイツ系移民が多い地域の一角ですから、ライン川流域のワイン産地に名を借りて「ミズーリラインランド」…ワイン農園が多い地域です。 =≪トム・ソーヤの洞窟≫= 「トム・ソーヤの冒険」を書いたマーク・トウェインが育ったハンニバルは、北部丘陵地帯で生産した家畜や穀物を積み出すミシシッピー川河岸の港町でした。 「トム・ソーヤの冒険」を読んだり、アニメでごらんになった方は、悪漢のインジャン・ジョーをご存じでしょうが、彼は創作でも、彼が隠れていた洞窟の方は実在します。
この洞窟(⇒マーク・トウェイン洞窟)では、キチガイ科学者が亡くなったお嬢さんの体を石化する実験をしていたというのですから、実話の方が小説よりこわいですね。また、これは小説出版後の話ですが、列車強盗で有名なギャングのジェシー・ジェームズが、逃亡中に一時この洞窟に隠れ、壁に書いた落書きが残っています。 アメリカの中央部は、3億年以上昔の時代ですが、赤道直下で浅い海でサンゴ礁が発達していたことがあり、中でもミズーリ州は石灰石の宝庫。至る所に鍾乳洞があります。 ===≪オセージとオザークの地下資源≫===
オセージ川上流の丈のオセージ平原には、今はとうもろこしや大豆が栽培されていますが、昔は丈の高い草が生える大草原で、バッファロー天国だったのだそうです。州境には、世界的にも純度の高い亜鉛鉱石が採掘される鉱層があるのですが、環境問題が原因で大多数が閉山してしまいました。炭鉱は健在ですが、硫黄分が多く需要は乏しいようです。 オザーク高地は、15億年前に火山活動で誕生しました。4億6千万年前のアパラチア山脈や1億4千万年前のロッキー山脈と比べると大先輩で、山稜は当時の造山運動の結果ではなく、その後に大地が侵食されてできたものです。感謝際のご馳走のターキー(七面鳥)の山地。東部には太古の地層が残っていて鉛や亜鉛が採掘されてきましたが、今は鉄鉱石だけ生産しています。
===≪パーティー・コーブ≫=== オザーク湖は人工湖で、ミズーリ州最大のリゾートです。1929年に建設を開始して数ヶ月で大恐慌が始まりましたが、ミズーリ州の場合は、オザークのダム工事は雇用と経済に大きく貢献したそうです。後にルーズベルト大統領が採用したニューディールのテネシー川開発計画のお手本になったに違いありません。 アメリカには、各地に「パーティー・コーブ(乱痴気騒ぎの入り江)」と呼ばれるリゾートがいくつかありますが、オザーク湖の一角は、ニューヨークタイムズに「全米で最も伝統あるパーティー・コーブ」と書かれて有名になりすぎたので、地元当局は、全裸を禁止したり、ボートのスピード制限をしたりして、取締りに乗り出しました。 ===≪ブーツヒール地方≫=== 地図で見ると、州の南東の端に南に向かって突き出したブーツのかかとの形をした地方があります。1811〜12年にニューマドリッドで大地震が起き、大多数の住民が移住して出て行きました。その中で、ひとり土地を買い上げ「シーザー」と呼ばれるまでになった大牧場主がいて、その陳情で、この地域の州境が定められたそうです。 ブーツヒル地方は、(南米大陸が北米から離別する過程で生じた巨大な湾に土砂が堆積してできた)ミシシッピー沖積平野の最北端で、南隣のアーカンソー州と同じく綿花の栽培や米作が盛んです。 |