★NASCAR…ストックカー・レースの聖地 ★カロライナ・パンサーズとシャーロット・ボブキャッツ ★ディスカバリープレースとカロウィンズ遊園地 ★アメリカ初の金鉱山/独立戦争の激戦地 知り合いのお金持ちのアメリカ人が、リタイアしてフロリダに引きこもるのも…と言ってシャーロット付近に転居しようと考えていました。ビジネスから完全に身を引くには少し未練がある人には、きっと素敵な街なのでしょう。 ================≪NASCAR…ストックカー・レースの聖地≫================
シャーロットはNASCAR(全米ストックカー・レース協会)の町です。自動車レースを知らない人のために簡単に説明すると、欧州系のF1シリーズのようにタイヤがボディーの外に突き出したオープン・ホイールというレース用の車で争われるのがインディカー(Indy Car)シリーズ、外見上は市販車を装ったレースカーで競われるのがナスカー(NASCAR)シリーズです。 ストックカー・レースは、禁酒法時代(1920〜33年)にアメリカ南東部で密造酒運びのドライバーがパトカーをまいて逃げるために市販車を改造したのが始まりといわれています。シャーロットから約85マイル北のウィルクス・カウンティーでは、酒造解禁後も脱税目的で密造酒が生産され続けていたのだそうで、ウィルクスボロには、フロリダのデイトナ・ビーチと並び、NASCAR発祥の地を名乗る権利があるようです。 実際、NASCARのレーシング・チームの大部分がシャーロットから40マイル圏に本拠を置き、全米の自動車レース産業で働く人々の73%が2時間通勤圏内に住んでいるそうです。その中心が、シャーロット北東の郊外コンコードにあるシャーロット・モータースピードウェー。北の町ムーアズビル(Mooresville)にはノースカロライナ自動車レースの殿堂(NC Auto Racing Hall of Fame)があり、常時35台のストックカーを、順繰りに入れ替えながら、展示しているそうです。2010年にはシャーロットのアップタウンにNASCARの殿堂(NASCAR Hall of Fame)も開館しました。 ≪カロライナ・パンサーズとシャーロット・ボブキャッツ≫
やはり野球なら大リーグ、アメフトならNFLでなければ面白くありません。シャーロットのプロ・スポーツのうち、全米の頂点で戦っているのはアメフトのカロライナ・パンサーズ(Carolina Panthers=マウンテンライオン/クーガー)とバスケのシャーロット・ボブキャッツ(Charlotte Bobcats=山猫)です。念のために写真を載せましたが、昔は、このあたりにものネコ科の猛獣が徘徊していたに違いありません。 パンサーズは1995年にNFLが傘下チームの数を増やしたときに南北カロライナを代表してサウス・ディビジョンに加入しました。2004年にはスーパーボウルに出場したのですが、ペートリオッツを相手に残り1分8秒で同点に追いついたもののキックオフリターンに失敗、残り4秒のフィールド・ゴールを決められて負けた悔しさは、今もカロライナの人々の胸のうちに残っているのではないでしょうか。ホームスタジアムは、アップタウンのバンクオブアメリカ・スタジアム。 ボブキャッツは2004年のNBAのビジネス拡大時に創設された若いチーム…その2年前(2002年)までシャーロットは強豪「ホーネッツ」の本拠地だったのですが、オーナーがトラブルを起こしたりして、突然ニューオリンズに移転。シャーロット市民ががっかりしていたところで、生まれ変わりました。しかし、ややこしいことに、そのホーネッツも二代目プロバスケ・チーム。現在のNBAと別にABAというリーグがあった時代のカロライナ・クーガーズこそが、シャーロットの初代プロバスケ・チームです。ボブキャッツの本拠はアップタウンのタイムワーナーケーブル・アリーナ。 ≪ディスカバリープレースとカロウィンズ遊園地≫ ディスカバリープレースは体験型の科学博物館…ドーム状の巨大スクリーンで迫力ある映画を楽しむアイマックスドーム・シアターも併設されています。自然博物館(Nature Museum)はその分館、2009年にはハンターズビルにディスカバリープレース・キッズも開館しました。 シャーロット歴史博物館(Charlotte Museum of History)は、1774年に建てられた周辺で最古の石造りの家(Akexander Homesite)にあります。庭にはアメリカの自由の鐘(American Freedom Bell)という世界最大の鐘がありますが、これは西暦2000年を記念して安置されたものです。 ミント(Mint=造幣局)美術館は南北戦争前にアメリカ造幣局の支局だった建物を移築したものですが、由緒には関係なく広く一般絵画などの美術品を展示しています。その近所にシャーロット劇場(Theater Charlotte)。べライズンワイアレス野外音楽堂(Verizon Wireless Amphitheater)は、シャーロット・モータースピードウェーがあるコンコード方面。
サリスベリーの隣町スペンサーにあるノースカロライナ交通博物館には鉄道系と自動車系のレベルの高いコレクションが揃っています。機関車の進行方向を換えるターンテーブルを動かしたり、57エーカー(約7万坪)の敷地の中で短い汽車の旅をさせてくれたりするイベントもあり「子供だまし」ではない施設です。 カロウィンズは乗り物が多いテーマパーク。例年は、3月末にオープンして11月の始めにクローズします。1973年に開園して以来、オーナーは次から次へと変わっていますが、南北カロライナ各地の人々に愛され続けてきた遊園地です。 タイガーワールドは、サリスベリーの手前ロックウェルの町にオープンしたばかりの小さな動物園です。トラとライオン、クマ、オウムなどがいるようですが、本格的な動物園なら、もう少し足を伸ばしてアッシュボロまでお出かけください。ノースカロライナ動物園(North Carolina Zoo)があります。 ≪アメリカ初の金鉱山/独立戦争の激戦地≫
ゴールド・ラッシュといえばカリフォルニア(1848年)やコロラド(1859年)を連想する方が多いことでしょうが、実はジョージア(1828年)が最初です。そして、それをさらにさかのぼるとアメリカで最初に金が発見された記念すべき場所はシャーロット近郊のリードさんの農場…リード金鉱山で1799年のできごとでした。シャーロットに造幣局の支局ができたのも、そのせいだったのです。 パインビルのショッピング・センターの近くには第11代ポーク大統領の生誕地があります。1845〜49の4年の任期の間に、テキサス共和国併合を機に米墨戦争を呼び起こしてメキシコから領土の北半分(現カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、ユタおよびニューメキシコ、コロラド、ワイオミングの一部)を取り上げ、イギリスとはオレゴン(現オレゴン、ワシントン、アイダホ州とワイオミング州の一部)紛争を決着させて、アメリカの現在の領土を確定させた大統領です。
聞くところによれば、第7代のジャクソンから第16代のリンカーンまで、大統領には「丸木小屋生まれでなければなれない」というジンクスがあったそうで、ポークも例外ではありません。ただし、リンカーンの生家はワンルーム丸木小屋(Log Cabin)ですが、ポークの生家は、丸木作りといえどもりっぱな二階家(Log Farmhouse)…実は、豊かな農家の長男として生まれたそうですから、世間話を全て真に受けてはいけません。
ところで、現代のアメリカ人にとっては、ビリー・グラハム師生誕地の人気の方が上かもしれません。ビリー・グラハム師はカリスマ牧師のさきがけで、現代のメガチャーチ(大教会)ブームに火をつけた人物です。今は、息子のフランクリン・グラハム師が跡を継ぎ、右派的な言動でキリスト教福音派の信者をリードしています。 シャーロットは独立戦争の激戦地でした。1780年8月、サウスカロライナのチャールストンが陥落して以来敗走を続けていた植民地軍は、テネシー民兵の援軍を得て体勢を立て直し、キングスマウンテンの戦い(⇒キングスマウンテン国立戦祉公園)から反撃に転じます。シャーロットの愛称「スズメバチの巣(Hornrts' Nest)」は、民兵となって戦った当時のシャーロット市民を恐れたイギリス軍の命名によるものです。 |