17世紀には、白人とインディアンは仲が良かった? 七面鳥の丸焼き…ご予約は急いでください
1960年の12月にイギリスの清教徒ピルグリム・ファーザーズは、嵐のため進路を変更してマサチューセッツ州のプリマスに上陸しました。病気で102名の移民のうち半数が死亡したものの、友好的な地元のインディアンに助けられてとうもろこし栽培を覚え、何とか生き延びたのだそうです。そこで、収穫を祝ってインディアンを招待、神の恵みに感謝して一緒に食事をしたのが「感謝祭」の起源と言われています。
あまり有名なので、ピルグリム・ファーザーズこそはアメリカ移民の第1号だと信じておられる方も多いことでしょうが、実はイギリスの植民の試みは既に16世紀後半エリザベス1世の時代に始まり、当時は北アメリカ全般が「処女王の土地=ヴァージニア」と呼ばれていたのです。
関が原の戦いは1600年ですが、1588年にスペインの無敵艦隊が破れ、その頃からイギリスの海上覇権が確立していきます。ジェームズ1世治世下の1607年に、現ワシントンDCに近いチェサピーク湾のジェームズタウンに入植したのが元祖の本格的なイギリス移民で、こちらも6ヶ月の間に104人中51人が亡くなるという悲惨な状況…これを救ったのが、ディズニー映画にもなったインディアンの王女ポカホンタスです。
というと、初期のイギリス植民とインディアンの関係はいかにも良好だったようですが、最初の「感謝祭」の翌年1622年には、早くもジェームズタウンでインディアンによるイギリス植民の大虐殺が起こってしまいます。プリマスに植民したピルグリム・ファーザーズも防衛を固め、その後の騎兵隊とインディアンが戦う西部劇の時代へと対立の歴史が続くのです。平和と友好は難しいですね。
さて、現代の感謝祭(11月の第4木曜日)は日本でいえば差し詰めお盆…各地に散って行った子供たちが孫を連れて実家に帰ってくる「REUNION」の日です。木曜日から日曜日まで4連休にする企業も多いので、駐在員の皆さんには家族旅行に出かけるよい機会ではありますが、感謝祭当日は、クリスマスでも営業している「年中無休」のスーパーやファースト・フードまでほとんどのお店が閉めています。ショッピング断念は当然、それどころか喰いっぱぐれないよう気をつけてください。
へそ曲がりはどこにもいるものです。大手酒屋チェーンの「リカー・バーン」…日曜日はお休みですから当然感謝祭もお休みと思いきや今年もしっかりオープンするのだそうです。それほど宗教色が薄い、喰って飲んで身内のみんなで大騒ぎをする日なんでしょう。
翌金曜日はうって変わり、1年で一番大きな「特売の日」です。日本ではお正月に福袋セールがありますが、アメリカでも数の限られた安売り商品を買おうと大店には早朝から人々が殺到します。連休の前後は、空も陸も交通が混雑しますから、無理な計画を立てないよう十分注意してください。
感謝祭の料理といえば、もちろんターキー=七面鳥です。日本人でも、お料理好きの奥様は丸焼きにチャレンジなさるようですが、日本の鶏が2ポンドならアメリカの鶏は4ポンド、さらに七面鳥ともなれば8-16ポンドと巨大ですからオーブンの出し入れもたいへんです。ご主人も手伝ってあげてください。
手軽に楽しむなら、スーパーに予約してください。丸焼きセットについてくる典型的なサイド・メニューは、肉汁で作ったグレービー・ソースとマッシュト・ポテト、パンと野菜を炒めたスタッフィング(当家では、鶏の場合、パンとレバーや内臓をこね鶏に詰めて焼きあげます)、七面鳥につけて食べるゼリー状で甘いクランベリー・ソース、ハロウィーンでも有名なかぼちゃ製のパンプキン・パイ、ロール・パンです。七面鳥に飽きた人には、ハムのセットもあります。
今年の感謝祭は11月23日。あるスーパーの場合は、予約は19日までと書いてありましたから急いでください。たいていのアメリカ人は前日までに引き取りに行きますが、当日の午前中は営業しているお店もあります。
今年は、子供たちが一度に帰国就職して、私たちには寂しい感謝祭。丸焼きは大き過ぎるので、早々と燻製のもも肉を買い入れて来ましたが、それでもひとり1本は老体には重たいですよ〜。
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