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アメリカ生活・e-ニュース

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2007年7月15日(第13号)

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アメリカ人と宗教について

 Aメガチャーチのカリスマ牧師が政治を動かす

 前号では、ケンタッキーや南部のバイブル・ベルトと呼ばれる地域に根を張る福音主義のプロテスタントについて調べてみました…聖職者の権威を否定し、福音(聖書中のキリストの言行)を唯一の信仰の拠り所にしようとする人々で、共和党保守派の支持基盤でしたね。その後、たまたま日本のテレビ番組を見たことがきっかけで、最近の教会の様子について私の理解が深まりましたので、今回は若干補足させていただきます。

 私が見たのは、NHKが7月10日に放送したクローズアップ現代(NO.2441)「巨大教会が政治を動かす〜アメリカからの報告〜」です。NHKのHPから報道の概要をそのまま引用しますと、

 今、アメリカでは「メガチャーチ」と呼ばれる巨大教会を拠点に信者が急増。来年行われる大統領選挙にも影響を与える勢力として注目を集めている。メガチャーチはショッピングモールのような施設にレストランから託児所まで備えた一種のコミュニティー空間。格差や競争で分断された人々が集える「場」となっている。これまで宗教保守の牙城だったメガチャーチだが、信者の急増によって「中絶反対」「同性婚反対」だけでなく、「温暖化」や「貧困」といった問題も重視し、政策的には民主党に接近。"宗教に熱心な人=共和党支持"という構図が変わりつつある。宗教と政治が密接に絡み合うアメリカで、早くも過熱する大統領選の知られざる側面に迫る。

 アメリカ版のWikipediaには、メガチャーチとは日曜日のミサに2千人以上の信者が毎週参列する教会と定義されています。番組でも紹介されましたが、全米最大で、しかも急成長しているのが、テキサス州のヒューストンのレークウッド教会です。2003年に、それまではヒューストン・ロケッツ(プロ・バスケットボール)やヒューストン・アエロス(プロ・アイスホッケー)などが使っていたスポーツ・アリーナを30年間借りる長期リース契約を結び、7千5百万ドルで教会に改装しました。座席数は1万6千、英語とスペイン語のミサに延べ5万2千人以上の信者が出席するのだそうです。

 メガチャーチはアメリカに留まらず、世界的なトレンドのようです。牧師さんは、まるでロック・スターのように中央のステージに立ち、大観衆を前にスポットライトを浴びて説教をします。こうした教会にはバプティストやペンテコステ派に属するものもありますが、多くは福音主義の独立/非宗派グループに分類されるようです。いわばカリスマ牧師の個人経営で、組織に縛られず「属人的」な教えを説きますから、それだけ政治的にも強い影響力を及ぼすのでしょう。

 ビリー・グラハムという有名な牧師さんがいます。40年近く前に来日、武道館で説教があるというので(当時20歳前の私も)英語の勉強のつもりで参列したのを思い出しました。ビリー・グラハム自身は独立/非宗派グループではなくバプティストですが、彼こそは元祖カリスマ牧師で、サザン・バプティストの勢力を拡大した功労者なのではないでしょうか。私の知人が、サザン・バプティストの本部のあるテネシー州ナッシュビルで開かれたバプティスト女性大会に出かけたことがありました。数万人が参加したと聞いて驚きましたが、メガチャーチはこのような催しを日常化させて発展してきたのでしょう。

 レキシントン地区にも、メガチャーチは(私の調べた限り)2つあります。ひとつはサウスランド・クリスチャン教会で、ハロッズバーグ通を南下してジャスミン・カウンティーに入ると間もなくです。この教会のミサには、毎週8千人が参加し、傘下の3つの教会も合わせると参列者は1万人を超えるそうです。

 もうひとつはクロスローズ・クリスチャン教会で、アンドーバーからトッズ通を南下してT-75を越えたあたりにあります。こちらは、HPを見ても規模は分かりませんが、ビデオには大ホールでボランティアのコンサートや朗読をしている光景もありました。

 2005年のクリスマスはたまたま日曜日に重なったのですが、この2つの教会では、イブのミサを盛大に行う代わりに家族が各家庭でプレゼント交換するひとときを優先して日曜日のミサを中止したのだそうです。

 福音主義だから保守的で万事に厳格というのではなく、メガチャーチでは、経営者=牧師さんがお客様=信者に喜んでもらえる商品の開発競争をしているようです。行き過ぎた信者迎合政策を苦々しく見ている人たちには「ディズニー・チャーチ」と呼ばれている所以です。

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