春先に湧くミミズやアリ、屋内の虫、草花や庭木の虫...
やっかいな害虫の駆除に殺虫剤・防虫剤特集
日本で「啓蟄」といえば3月6日頃のようですが、冬もそろそろ峠を越えて虫が目覚める春も目の前です。
春先には、大量のミミズ類が庭先からリビングに這い上がってきて気持ちが悪い思いをなさる方がおられます。アメリカの家には縁の下がないので、そもそも虫が入って来やすい構造なのです。侵入口さえふさげば済むはずなのですが、どこからか湧くように出てくるので最悪の場合はルートを特定できないことがあります。困ったことに、ミミズは益虫と考えられているせいか駆除剤を探そうにもなかなか見つかりません。数日我慢していると、普通はピタッと消えてしまいます。
その他の虫対策については、殺虫剤や防虫剤のタイプ別に説明してみましょう。ただし、シロアリ対策は、他の虫と比較にならない深刻な問題ですから、貸家ならすぐに大家さんに連絡してください。持ち家なら、すぐに「ペスト・コントロール(害虫駆除)」の専門業者を呼ばないと家がボロボロになってしまいます。新築時から数年は工務店の保障が付いているはずです。
アメリカにはじめじめした梅雨の季節がないので油断しがちですが、冬物をしまう衣装ケースには忘れずに防虫剤を入れておきましょう。アメリカ製のモス・ボールは臭いがきついので、日本製を使った方がよいかもしれません。
モス・ボールは、むしろ小動物の撃退用に有効です。ポーチの陰などにリスが住み着いてしまったら、使い古しのストッキングを切り、中にモス・ボールを2〜3個入れて結んだ玉をいくつか周囲に転がしておけば効果があります(小動物対策は、来月号にあらためて書きます)。
商品例:Enoz社
Old Fashioned Moss Balls, Moth Bar, Moth Case |
殺虫スプレーは、主に屋内の害虫駆除に使います。ハエ、蚊、蛾、ハチなど飛翔系の虫用とアリやコオロギ、甲虫類(コガネ虫やテントウ虫)、半肢目類(カメムシ)など徘徊系の虫用に分かれていることが多いようです。ハチをハチの巣ごと駆除する専用のスプレーフォーム(IQ
Products社 BugOut)もあります。射程距離は6〜7m、泡が巣を包み込んでハチの動きを封じてしまう仕組みです。必ず、日が暮れてハチが休んでから使ってください。
アメリカにも「ゴキブリホイホイ」によく似た昆虫捕獲器があることはあるようです。でも、私たちがここでご紹介したいのは昆虫誘引器…アリ退治によく効きます。アリを捕獲してその場で殺すのではなく、巣に毒を持ち帰らせて仲間を道連れにして死なせるという優れたワナです。アリの通り道に置いておくだけでよいのですが、幼児やペットにも危険ですから、台所の流し台の下や冷蔵庫の陰など手の届かない場所に仕掛けるといいそうです。
私たちの周りに限ればゴキブリに悩んでいる方からご相談を受けたことはありませんが、大都会のアパートなどではお困りかもしれませんね。アリ退治用と同様のゴキブリ退治用の昆虫誘引器も売っています。
虫退治は屋内対策だけでは不十分です。庭の草花や木には、種類によってそれぞれ惹きつけやすい昆虫がいます。手入れをせずに放置しておくと病虫害で植物がやられてしまうだけではなく、そのうち屋内に多数の虫が飛び込んでくる事態になります。草花の虫はハンド・スプレーで十分撃退できます。アブラ虫や幼虫と毛虫、ダニの駆除と、病原性微生物の殺菌を一度に果たす万能スプレーも売られています。
少し大きな樹木になるとハンド・スプレーでは間に合いませんから、ホースをつないで殺虫剤を勢いよく噴霧するタイプの散水式スプレーを使うようお勧めします。スプレーの容器にはどんな虫に効果があるのか書いてありますが、種類が多いのでしっかり確認しましょう。私たちの家には甘い香りのする木が一本あって、毎年、虫を集めているのですが、中でてっきりハチだと思っていた虫がどうやらハエの仲間だったようです。私のようにもともと園芸に関心がなかった人間には、そのあたりが難しいところです。
地中の虫を退治するには顆粒状の殺虫剤が有効です。カタツムリやナメクジは散水の後や雨上がりに撒くと効果があります。
そのほかにも例えば芝の虫対策は初夏…等々、園芸用の農薬には使い方にルールがありますから、しっかり注意書きを読んで使いましょう。アリの種類によっては、女王アリを狙い撃ちする薬剤が有効です。
アメリカでは蚊がウェストナイルス熱を媒介しますから、ゴルフやハイキングばかりでなく、家の庭でバーべキューをするときにも蚊に刺されないよう気をつけなければなりません。ライム病などを運ぶチック(tick=ダニ)に噛まれたら、もちろん一大事です。
防虫スプレーは、アメリカでも何種類も売られています。日本製品に比べて香りがきついのが難点ですが、中には我慢できるレベルの製品もありますからお試しください。
写真の電気蚊取りは日本製です。そもそも屋内に蚊がたくさん入ってくるということは、家の周囲に何か原因があるはずですから元を断ってください。たまに1匹、2匹紛れ込んだ蚊を防ぐには、やはり電気蚊取りがよさそうですが、アメリカではそう簡単に見つからないかもしれません。
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