シンシナティーの花火「リバーフェスト」はレイバー・デー
ローブリング技師一家とNYブルックリン橋の物語
アメリカで、日本の「勤労感謝の日」に当るのはサンクスギビング・デー(感謝祭)…レイバー・デーの週末は、長い夏休みが終わって、さあっこれから仕事だという区切りのお休みですね。シンシナティでは毎年、この日曜日(今年は8月31日)にリバーフェストが開かれます。主会場は下の航空写真の右上に見えるリバーフロント(Riverfront
at Sawyer's Point)で、花火の開始は午後9時5分、ケンタッキー州側やボートの観客も合わせると50万人以上が見物するのだそうです。
シンシナティ付近には全部で7つの橋がかかっています。パープル・ピープル(Purple
People
Bridge)の通称で市民に愛されている歩行者専用橋…紫色のニューポート-サウスバンク橋も、この日は混雑することでしょう。
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左から、Brent
Spence Bridge (I-75/71) 、上空からは1本に見えますがC
& O Railroad Bridge と
Clay Wade Bailey Bridge
(写真@)、続いてRoebling
Suspension Bridge (写真A)、Taylor-Southgate
Bridge (写真B)、Newport-Southbank
Bridge (写真C)、Daniel
Carter Beard Bridge (写真D) |
最も東側 I-471で両岸を結ぶダニエル・カーター・ベアード橋も、色と形がマクドナルドのロゴ・マークを連想させることから「ビッグ・マック」の愛称で親しまれていますが、シンシナティ/ノーザン・ケンタッキーの誇りは、何と言ってもローブリング・サスペンションブリッジ(ローブリング吊り橋=Roebling
Suspension Bridge)です。 ジョン
A.
ローブリング技師は1806年にドイツで生まれました。吊り橋の建造を学びましたが、当時のドイツでは巨大な橋を作る機会がなく25歳のの時に、40人の仲間を引き連れて大西洋を渡りペンシルバニア州ピッツバーグ近くに移住しました。
ニューヨークのブルックリン・ブリッジ |
ローブリング吊り橋のプロジェクトは1856年に始まりましたが、途中、資金不足と南北戦争のために中断し、ようやく1866年に完成します。橋梁の下を蒸気船がくぐり抜けられる高さがあり、ニューヨークのブルックリン橋ができるまでは世界最長の吊り橋だったのです。ジョンの生まれ故郷のゴシック建築を彷彿とさせる重厚な石組みの主塔をごらんになってください。ドイツ系住民が多いシンシナティに、正にふさわしいランドマークと言えましょう。 ローブリング吊り橋をモデルに1870年に始まったブルックリン橋の建設は難航します。まず、ジョンが工事中のケガで破傷風をわずらって亡くなります。湧水を抑えるために水底の工事現場に加圧した空気を送る工法を取りますが、そのために潜水病にかかる作業者が続出、ジョンの後を継いだ息子のワシントンも1872年に下半身麻痺となってしまったのです。 危機を救ったのはワシントンの妻エミリーです。女性の社会進出など全く認められていなかった時代に、エミリーが工学を学び、夫の手足となって現場の指揮に当たったおかげで、1883年、27人の犠牲者を出したさしもの工事もついに落成したのだそうです。
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