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2011年4月15日(第58号)

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川辺に多いアメリカの原発…白い蒸気は冷却塔

 高い煙突が立っていたら火力発電所です

 福島第一原発のニュースがたびたび報道される間に、アメリカやカナダの原発事情をお知りになりたくなった方も多いのではないでしょうか?まずは、皆さんのお住まいのご近所に原子力発電所があるのかないのか、下のGoogleマップでお調べください。

Three Mile Island Nuclear Generation Station

Sasuquehanna River, Pennsylvania

 アメリカの原子力発電所といえば、1979年に炉心溶融事故が起きたスリーマイル島の施設を思い出し、裾広がりの円筒形の構造物から白い煙が立ち上る光景をイメージされる方が多いことでしょう。でも、これは冷却塔(Cooling Tower)の建物で、主役の原子炉は写真手前の丸屋根の二つの円柱型の建屋の中です。爆発した福島第一の原子炉建屋も地上高55m地下17mという巨大な建物のようですが、冷却塔には、その倍の100m以上あるものが珍しくないそうです。

冷却塔の中は空洞

 しかし、冷却塔があるからといって原子力発電所とは限りません。火力発電所にも、外見上は全く変わりのない冷却塔が付いています。図体だけは大きいもののも、目的は家庭用エアコンの室外機と一緒で、タービンを回し終えた蒸気の熱を奪って再び水に戻してあげるための空冷設備です。

 つまり、原子力発電所も火力発電所も多量の水を使うので、海や湖もしくは河川沿いに建てられますが、海や湖の場合には、日本の原子力発電所のようにポンプで水を汲み上げて水冷式で冷やすこともできます。河川の場合には温水を放出すると環境への影響が大きいので、規模が大きければ空冷式の冷却塔が必要になるのです。

 アメリカの原子力規制委員会が作った資料で、発電の仕組みがよく分かる図が見つかりましたので、それにちょっと手を加えて右下に冷却塔の絵を書き足してみました。上が、福島第一原発と同じ加圧水型軽水炉で、下が沸騰式軽水炉です。

加圧水型軽水炉

沸騰水型軽水炉

 さて、最初にGoogleマップで原発の分布を詳細にごらんいただきましたが、アメリカの原子力規制委員会は右図のように全米を4つの地域に区分管理していています。あらためて、この図でざっくり見ると、原発はほとんどの州にあるのに、インディアナ・ケンタッキー・ウェストバージニアの3州と西部山岳地帯の諸州にはないことがお分かりになるでしょう。

石炭火力発電所

煙突の背後に冷却炉

 インディアナ・ケンタッキー・ウェストバージニアに原発がないのは、3州がいずれも石炭の産出州で火力発電所に大きく依存しているからです。

 西部山岳地帯の電力需要は水力発電がまかなっているお思いかもしれませんが、実はこちらも地元産出の天然ガスへの依存度が高いのです。

 逆に原子力への依存度が高いのは東部や中西部と南部の人口密集地域の周辺。温暖化防止のために「クリーンエネルギー」の一つとして原子力発電所の建設を進めようとしていたオバマ政権にとって、日本の原発事故は政治生命にもかかわる大問題…文字通り「対岸の火事」ではありません。