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2013年10月15日(第88号)


女高生の恋愛騒動が「ゲイvs.反ゲイ」の代理戦争に発展

 18歳の少女を「性犯罪者」に登録するのは酷!!

 思春期の女子生徒がふたり、互いに「お姉さん」や「妹」のような感情を抱いて付き合うのは、洋の東西を問わず珍しくありません。しかし、それが同性愛行為に発展し、一方が他方を訴えると大事件になってしまいます。


下級生(14歳)の両親が告発


 今回の騒動の舞台は、リゾートとしても有名なフロリダ州ベロビーチ。シニア(高校4年生)で18歳のケイトリン・ハントが、今年2月に14歳のフレッシュマン(1年生)に対する強姦罪で逮捕されたのが始まりです。

 ケイトリンは優等生で高校のチアリーダーでした。バスケットボールを通じ下級生の「被害者」と親しくなります。ある夜「被害者」が家を抜け出してケイトリンの部屋でお泊り。ふたりの関係に気づいた両親は「被害者」を連れて警察に駆け込みます。

 後でまた説明しますが、アメリカでは同性愛に対しても強姦罪が成立します。また、お互いに合意の場合でも、一定年齢以下の少年少女に対する性行為は、訴えられれば処罰の対象となります。

 警察は「被害者」におとりの電話をさせ、ケイトリンの口から同性愛行為を認める言質を引出して録音…これを動かぬ証拠としました。性犯罪捜査で使われる一般的な捜査手法です。


ロミオとジュリエット法


 強姦罪が成立すると、ケイトリンは「性犯罪者」に登録され、一生にわたって現住所が人々の目に曝される運命です。最高30年の懲役刑を科されるおそれもありました。

 皆さんもこれほど重い処分はあり得ないとお思いでしょうが、そこはフロリダ州法の落とし穴でした。一般的に、法定年齢以下の少年少女の性行為については、各州に免罪や減刑を認める「ロミオとジュリエット法」が存在します。ところが、フロリダ州の場合、「加害者」が18歳以上で「被害者」との年齢差が4歳以上あれば適用されません。つまり、ケイトリンの場合はギリギリでアウトだったのです。

 しかし、「ロミオとジュリエット法」も名前の通り少年少女の甘い関係を救済するために設けられたもので、さらに実害の乏しい「ジュリエットとジュリエット」のケースが刑事告発されるとは想定外だったのかもしれません。ケイトリンの母親は、ブログで「被害者」の両親を同性愛の差別主義者として非難し、事件は全米の同性愛支持派と反同性愛派の代理戦争に発展してしまいました。

 5月にケイトリンはいったん保釈されますが、保釈条件に違反し「被害者」に接触を続けた事実が発覚、8月に入って再収監されてしまいます。10月になって、ケイトリンは司法取引(罪を認める代わりに減刑される)により「性犯罪者」リストへの登録を免れ、12月には釈放されることが決まりました。3年間の保護観察期間中は、「性犯罪者」と同様にGPSを付け「被害者」と接触することがないよう監視されます。


日本と北米各地の法律


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 日本で強姦罪といえば女性が被害者で男性が加害者のケースに限定され、初犯の場合3年以上20年以下の懲役が科されます。その他の性犯罪は強制わいせつ罪で一括され、6ヶ月以上10年以下の懲役と、刑期も一段軽い扱いです。

 日本の性的同意年齢は13歳と、世界的に見ても非常に低い年齢です。アメリカは州によってマチマチですが、いずれも16〜18歳。性道徳に厳しいキリスト教信者が多い国ですから性的同意年齢が高いのに不思議はありませんが、少年少女の性行為は多いのが実態で、「ロミオとジュリエット法」がなければ、あっちもこっちも「性犯罪者」だらけになってしまいます。

 「性犯罪者」の情報は写真入りで、現住所も含めて公開され、自治体が「学校から○マイル外」などと居住区を制限することもできます。

 「性犯罪者」が皆さんの身の回りに住んでいるかどうかチェックするなら、犯罪地図のRaidsOnline(http://www.raidsonline.com/)が便利です。皆さんのご住所を入力し、左欄の項目の中からOffendersを選ぶと「性犯罪者」の現住所がマークされます。それぞれのマークをクリックすると、住んでいる「性犯罪者」の写真とともに、住所氏名・年齢・人種などの情報が表示されます。