アメリカの百貨店の格付けはご存じですね?
最新事情…大衆デパートが泣いています(/Д`)
日本でも、戦後しばらくは三越、高島屋、松坂屋など呉服屋さん系デパートの方が電鉄系デパートより格上で、お歳暮にも三越の包装紙がありがたがられたものですが、今は、少なくとも若者の間ではデパートの格式にこだわる風潮はないのではありませんか?
五つ星(最高級)〜一つ星(ディスカウントストア)
でも、アメリカでは違います。暮らしとノウハウ・e-百科「ショッピングガイド」のページ…デパートとディスカウントストアの記事では、アメリカのデパートを、私の判断で、五つ星から一つ星まで5段階に分類しています。
高級デパートはデザイナーのオリジナルブランドを競う世界で、五つ星と四つ星の差はやや微妙ですが、三ツ星から一つ星までは、商品価格帯でかなり明確に区切られています。
そもそも私たちが住むケンタッキー州レキシントンは人口30万人で、高級デパートはありません。同じケンタッキー州でも人口75万人のルイビルには四つ星のボン・モーアがあり、車で1時間走って人口210万人のオハイオ州シンシナティまで行けば、五つ星のサックス・フィフスアベニューや四つ星のノーズトロムがあるという感じです。
まあっ、日本人の庶民感覚では、中級デパートで十分満足というところでしょうか?ただし、衣料品でいえば、同じブランドでも日本で売っているものより色落ちしたりするので、品質には気をつけなければなりません。
デパートの中で、最もお徳用なのがディスカウントストア。もともとは、ディスカウント・デパートメントストアと呼ばれていたんですね。スーパーマーケットは、それとは別に食品店(グロサリーストア)から発展しました。それぞれがお互いの分野に進出して、現代型のハイパーマーケットへと進化したわけです。
メーシーズ・ディラーズ・JCペニー・シアーズ
20年前に私たちが渡米して来た時代には、まだローカルなデパート・チェーンが残っていました。それらがメイシーズやディラーズに買収され、全米で、メイシーズ・ディラーズ・JCペニー・シアーズがワンセットのショッピングモールが、次第に普及してきます。
皆さんがデパートで一番利用するのは、衣料品売り場ではありませんか?私たちの近所のモールでは、メイシーズとディラーズが両端にあり、その中間にJCペニーやシアーズと多数のアパレルのお店があるという構造でしたから、衣料品を買うなら自宅に近いメイシーズ側から歩いて物色したものです。
メイシーズは結構使えるクーポンを送ってくるし、ディラーズは7~8割引きなんてとんでもないセールをしますから、時間の余裕と商品を見る確かな目があれば、掘出し物を楽しむ買い物ができます。JCペニーやシアーズも、モールの途中ですから、当然、立ち寄ります。特にシアーズの場合は、モールの通路が店内を通っているので自動的に入店してしまうのです。
そのシアーズが、今年の1月に店じまいしてしまいました。シアーズは家電製品や芝刈り機などのハードウェア、バスケのゴールポストなど大型の遊び道具などを置いていたので、渡米直後でまだ専門店を知らない頃にいっぱい買物をした懐かしいデパートです…少し寂しさを禁じ得ません。
と思っていたら、シアーズは、既に3年連続で大規模な店舗整理を進めていたのですね。今年は130店を閉めると3ヶ月前に発表したばかりなのに、やっぱり235店を閉鎖することになったのだとか。
そこで、過去10年の株価推移を調べてみると、上のグラフのようになりました。シアーズも不調ですが、JCペニーも苦労していますね。逆に、最近、上り調子なのがディラーズ。株価が元気いっぱいなら、いい商品がそろっているかもしれませんね。
大衆デパートの中ではコールズの株価が安定していますが、コールズはアーケード型のモールではなく、ディスカウントストアと同じように、広場型のショッピングセンターに出店するのが特長です。最近は、そこそこ名の通ったブランド衣料をそろえるようになったので、何となく買い物のついでに立ち寄るといいでしょう。
シアーズとJCペニーは、大型専門店とインターネットに浸食され、中級デパートとディスカウントストアの板挟みで独自の居場所を築けずに行き詰っているようです。
シアーズの栄光と衰退の日々
Willis
Tower (Formerly Sears Tower)
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日本人の皆さんの中には、デパートを知る前から、シカゴの高層ビルの名前でシアーズと馴染み深くなっていた方が多いのではありませんか?
シアーズタワーの建設が計画された1969年には、シアーズは世界最大の小売業で35万人の従業員を養っていました。1973年に完成した時は、同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンター・ビルを抜いて、以来25年世界一高いビルの地位を守りました。
シアーズは、1886年にミネソタ州の田舎の駅員だった創業者が最初に時計を売り始めた時から、しばらくはカタログ販売を軸に発展しました。
1920~50年代には郊外型のデパートを展開し、その後は70年代までショッピングモールの開発にも携わります。30年代にオールステート保険を設立、家電のケンモア、庭仕事の機器クラフトマン、電池のダイハードなど数々の系列ブランドを開発し、さらに80年代半ばまで、証券、不動産、クレジットカードなどにもビジネスを拡大しました。
上の動画は、全盛期のシアーズの様子を伝えるテレビニュースの数々です。しかし、そこがシアーズの頂点でした。1993年にシアーズの看板だったカタログ販売から撤退し、2003年にはカード事業も売却します。2005年にはKマートと合併しましたが、そのKマートも2002年に一度破産して多数の店舗を閉鎖したディスカウントストア…ここ最近の3年間は、また綱渡りの経営に戻ってしまったようですね。
今さらの話ですが、流通業にとってダウンタウンのシアーズタワーは立地が悪く、1993年から2年かけて本拠をシカゴ郊外のホフマンエステートに再移転しています。シアーズの命名権も2003年で途切れたたのですが、シカゴの象徴のビルでしたから、2009年までは惜しまれて改名されませんでした。今は、ロンドンの保険グループの名前をかむり、ウィリスタワーと呼ばれています。
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