ダウンタウンのオハイオ川新橋が完成…ケンタッキー州ルイビル
オハイオ州シンシナティの市電はテスト走行開始
このニュースレターは2006年の夏に創刊しましたが、初めてのお正月の第7号で「ルイビルの初夢」として、インディアナ州とケンタッキー州を結ぶ2本の新橋の計画をご案内しました。完成予定は2020年…まだまだ先のことと思っていたのですが、先日、そのうちの1本が開通しました。2008年のリーマンショックで民間の建設プロジェクトは軒並み遅延しましたが、連邦政府が注力した高速道路など公共事業に力を注いだ結果、完成時期が前倒しになったのかもしれません。
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ルイビルの新橋プロジェクト +++++
今度開通したのは、ルイビルのダウンタウンを南北に貫くI-65の新橋でアブラハム・リンカーン橋と命名されました。これまでのジョン・F・ケネディ記念橋は大改修され、来年の年末までに復帰して、I-65は2本の橋で結ばれるようになるでしょう。
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Abraham
Lincoln Bridge, Downtown |
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East
End Bridge |
ルイビルの東で環状線I-265の欠損部分をつなぐ新橋の工事も順調に進み、こちらも来年の年末までに開通する見通しです。インディアナポリスと私たちが住むケンタッキー州レキシントンをつなぐバイパスとなるので楽しみです。
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シンシナティの市電プロジェクト +++++
1940年代の市電 |
シンシナティの市電の試運転が11月10日に始まりました。営業運転の開始は来年の9月を予定しています。沿線の地ビールの醸造所5社は記念ビールを売り出して、早くもお祭り騒ぎです。
シンシナティには、1889年から1951年まで市電が走っていました。長期計画で、市電はユニオン・ターミナル駅やシンシナティ動物園の方面に伸びることになっていますが、今回の市電復活プロジェクトは、オーバー・ザ・ラインというダウンタウン北の旧貧困地区の再開発と活性化を促進するのが最大の目的です。
この地区は19世紀に押し寄せたドイツ系移民が発展させてきた街で、1865年から80年代にかけて建てられた由緒あるレンガ造りの建物が数多く残っています。ところが20世紀に入ると、郊外に転居した白人に代わり南部から移住してきた黒人労働者が住みつきました。そして20世紀末に続いた不況で失業者が増えて貧困化し、2001年の暴動で世界中にシンシナティの恥部をさらけ出してしまいました。
しかし、この暴動が地区の人口減少を加速して不動産価格を押し下げ、2004年から多数の開発業者が歴史的ビルを購入し再開発事業に投資し始めました。2006年から犯罪発生率は減少に転じ、今では国際市街地研究所に「全米で最高の開発プロジェクト」と太鼓判を押されています。
オーバー・ザ・ラインでは、当時流行していたイタリア様式の建物を中心に943の文化財が登録されています。無傷で残る歴史地区としては、全米でも最大でしょう。ニューオリンズのフレンチクォーターや、サバンナやチャールストン、ニューヨークのグリニッジビレッジに匹敵します。シンシナティ交響楽団の本拠ミュージック・ホールや隣の米国クラシックの殿堂博物館、フィンドレーマーケットもオーバー・ザ・ライン。シンシナティ・バレーの本拠もあります。
Findlay
Market |
12th
& Vine Corner |
Cincinnati
Music Hall |
Classic Hall of Fame |
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