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2016年2月15日 (第116号)

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北米の消費税率や軽減税率は州や自治体によってマチマチ

 食品は米国の2/3の州が非課税、9州も軽減

国名 一般 食品

日本(検討中)

10% 8%

アメリカ(州税抜き)

連邦0% 連邦0%

カナダ(州税抜き)

連邦5% 連邦5%

メキシコ

15% 0%

イギリス

17.5% 0%

フランス

19.6% 5.5%

イタリア

20% 10%

ドイツ

17% 6%

オランダ

19% 6%

スウェーデン

25% 12%

デンマーク

25% 25%

オーストラリア

10% 0%

 「群盲象を評す」というインド生まれの寓話を覚えておいでですか。目の不自由な人たちが象の足や耳やしっぽを触り、それぞれに異なる象の説明をして対立するというお話でしたね。(与野党を問わず)政治家の発言やマスコミの報道にも時々この種の話が紛れているので注意しなければいけません。

 日本で昨年から議論されている消費税の軽減税率についても、左表のような国際比較が使われることがあります。しかし、北米の消費税の対象範囲や税率は州や自治体によってマチマチで、(先日、実例を見たのですが)州税抜きの注釈抜きに連邦税の数字だけ書くと、日本に住む皆さんはアメリカには消費税がないと誤解してしまいます。

 皆さんも一時帰国の際などに、北米住民代表として質問されて返事する場合も多いと思いますが、消費税率に限らず「群盲象を評す」にならないようにお気を付けください。州全域で消費税のない天国のような州は、オレゴンとデラウェアとモンタナの3州だけです。


アメリカの消費税


⇒クリックで拡大

 右のグラフは全米各州の歳入構成(消費税・差別消費税・固定資産税・諸手数料・法人税・所得税)を表していますが、その中で一番上の行と一番下の行に注目してください。

===== ≪ワシントン州バンクーバーは税制上の理想郷≫ =====

 消費税率ゼロのオレゴン州では消費税の税収がタバコ、酒類、ガソリンなど差別消費税を含めても10%に満たないのに対し、何と北隣のワシントン州では全米最高の50%弱、差別消費税を入れると60%超と、とんでもない格差があります。これは、ワシントン州では所得税率がゼロで、オレゴン州の所得税の歳入比率は全米最高の45%前後と、両州の直接税(所得税)と間接税(消費税)に頼る姿勢が全く逆で起きたウソのような真実。

 ワシントン州バンクーバーはコロンビア川を挟んでオレゴン州ポートランドと一体の姉妹都市ですが、バンクーバーに住んでポートランドで買い物をしたら所得税も消費税も払わずに暮らせるので、税制上の理想郷(タックスヘブン)と呼ばれています。ワシントン州でも食品や薬は非処方薬でも非課税ですから、日常の買い物だけなら橋を渡らなくても間に合いますよ。

===== ≪全米消費税州別税率表≫ =====

州別ガソリン消費税(ガロン当たり) ⇒拡大 

 下表は州ごとの消費税課税ルールを品目別に示したものですが、州によって軽減税率の対象品目も違い、中には外食などを対象に標準税率より高い加算税率を適用する州もあります。また、州税に上乗せで地方自治体の徴税を許している州も多数あります。しかし、サービスに課税していない州もあれば課税する州もあるという具合で、下表だけで全てを書き尽くすことはできません。

 タバコと酒類の差別税率については「暮らしとノウハウ・e-百科」のルールとマナーのページで詳しく説明していますが、2008年の各州の税率表はこちら

 非加工食品に関しては、全米の34州と首都ワシントンで非課税、9州で軽減税率を適用し、標準税率適用の7州の中でも5州は貧困層に対して税額控除を実施しています。残る2州のうちアラバマは処方薬が非課税ですから、全品目に対して例外なく標準税率を適用し貧困層対策もしていないのはミシシッピー州だけということになりましょう。

全米消費税州別税率表  表示例 
非課税 軽減税率 標準税率 加算税率

州名

基本税率

ローカル加算

最大値

食品

加工食品

外食

処方薬 非処方薬 衣料
アーカンソー 6.5% 5.125% 1.5%~
アイオワ 6% 1%
アイダホ 6% 2.5%

貧困層対策

アラスカ 0% 7%  
アラバマ 4% 9.5%
アリゾナ 5.6% 5.125%
イリノイ 6.25% 3.5% 1%~ 8.25%~ 1%~ 1%~
インディアナ 7% 0% ~9%
ウィスコンシン 5% 0.6%
ウェストバージニア 6% 1%
オクラホマ 4.5% 6.5%

貧困層対策

オハイオ 5.75% 2.25% 持ち帰り無税
オレゴン 0% 0%
カリフォルニア 7.5% 2.5%
カンザス 6.15% 3.5%

貧困層対策

ケンタッキー 6% 0%
コネチカット 6.35% 0%
コロラド 2.9% 7.1%
サウスカロライナ 6% 3% 10.5%
サウスダコタ 4% 2%

貧困層対策

ジョージア 4% 4% ~3%
テキサス 6.25% 2.25%
テネシー 7% 2.75% 5%~
デラウェア 0% 0%
ニュージャージー 7% 0%
ニューハンプシャー 0% 0% 9%
ニューメキシコ 5.125% 3.563%
ニューヨーク 4% 4.875% >$110無税
ネバダ 6.85% 1.25%
ネブラスカ 5.5% 2% 9.5%(オマハ)
ノースカロライナ 4.75% 2.75% 2% ~8.50%
ノースダコタ  5% 3%
バージニア 5.3% 0.7% 2.5% 5.3%~
バーモント 6% 1% 9%~ >$110無税
ハワイ 4% 0.5%

貧困層対策

フロリダ 6% 1.5% ~9%
ペンシルバニア 6% 0%
マサチューセッツ 6.25% 0% ~7% >$175無税
ミシガン 6% 0%
ミシシッピー 7% 0.25%
ミズーリ 4.225% 6.625% 1.225%
ミネソタ 6.875% 1% ~10.775% 
メーン 5.5% 0% 7%
メリーランド 6% 0%
モンタナ 0% 0%
ユタ 5.95% 2.4% 3%
ルイジアナ 4% 7% ~7.0%
ロードアイランド 7% 0% 8%
ワイオミング 4% 2%

貧困層対策

ワシントン 6.5% 3.1% ~10%
ワシントンDC 5.75% 0% 10%

===== ≪カナダの消費税州別税率表≫ =====

 カナダの場合は、アメリカほど州ごとにマチマチではありません。連邦税5%に、アルバータ州と準州以外では州税が上乗せになり計10~15%。オンタリオほかの州では、調和税(Harmonized Sales Tax)の名の下に連邦税と州税が一括で課税されます。

カナダの消費税州別税率表

州名

連邦税(GST) 州税(PST) 調和税(HST)
アルバータ 5% 0%
オンタリオ (5%) (8%) 13%
ケベック 5% 9.975%
サスカチュワン 5% 5%
ニューファンドランド&ラブラドル (5%) (8%) 13%
ニューブランズウィック (5%) (8%) 13⇒15%
ノバスコシア (5%) (10%) 15%
ブリティッシュコロンビア 5% 7%
プリンスエドワード島 (5%) (9%) 14%
マニトバ 5% 8%
ノースウェスト・ヌナブト・ユーコン準州 5% 0%