日本で話題…米国製ボトルウォーターの中身が水道水?!
市販の水の軟水・硬水の別を調べてみました
日本のニュースサイト…J-CASTニュースによれば、日本国内のコストコで販売されているボトルウオーター「カークランド」の原材料が本当は「水道水」だったと、驚きの声が上がっているそうです。最近までは「深井戸水」として売られていたはずですから、最近になって表示を書き改めたのでしょう。
これは、アメリカで消費者のクレームの声が高まり、昨年秋にペプシコ社が、同社の「アクアフィーナ」の水ボトルのラベルに原料:「公共水源」と明記するようにした流れでしょう。実は2008年にも、それまで「P.W.S.」と略して記していた水源名を、消費者に分かりやすく「Public
Water Source」と書き換えたはずなのですが、ほとぼりが冷め丸ごと削除してしまっていたのですね。
といっても、「カークランド」はコストコの本拠シアトルの近郊の町の名前…カークランド市の水道水はカスケード山脈の山間のトルト川南支流貯水池の水で、景色から想像する限りなかなか良質の水でしょう。これを浄化し、塩化カルシウムと炭酸水素ナトリウム(重曹)を加え味を調整したら「カークランド」の出来上がりです。
水の表示は多様ですが、スーパーで見かける標準的なボトルウォーターは、たいてい浄水(Purified
Water)か湧水(Natural Spring Water)です。浄水(Purified
Water)の名は水源を問わず蒸留や脱イオンなどにより浄化された水につけられますが、湧水(Natural Spring Water)と呼ばれるのは地下から自然に湧き上がった水に限られ、ミネラルウォーターやスパークリングウォーターもその仲間です。
アメリカで水と炭酸飲料の売上げが逆転か?
アメリカでは、今世紀初頭からボトルウォーターや大容器入りの水の売上げが急伸し、肥満など健康によくない炭酸飲料を逆転してリードしそうな勢いです(下の動画)。
理由が理由だけに、味へのこだわりは少なそうです。先月はミシガン州フリントの水道水汚染のニュースをお伝えしましたが、細菌や鉛など危険な不純物がなく安全であれば取敢えず合格で、ボトルウォーターには軟水・硬水の表示もありません。
ヨーロッパは硬水・アメリカは軟水
大雑把に言えば、アメリカのボトルウォーターの大半は軟水で、ヨーロッパ系には硬水が多いと言えるでしょう。下の表にはアメリカで標準的なボトルウォーターの硬度(メーカー発表)を掲載しましたが、硬軟の幅の大きい水については第三者テストの中心値を見つくろって*印で書き込みました。科学的に精度の高い統計ではありませんから、むやみに引用しないでください。
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米国産
Purified Water |
米国産
Natural Spring Water |
フィジー |
欧州系 |
ブランド |
Kirkland
(Costco) |
Aquafina
(PepsiCo) |
DASANI
(Coca-Cola) |
Pure
Life
(Nestle) |
Deer
Park
(Nestle) |
Crystal
Geyser |
Arrowhead
(Nestle)
|
FIJI |
Evian |
Perrier |
硬度
mg/ℓ |
13 |
12 |
11 |
31~41 |
15~180 *25 |
45 |
25~210 *110 |
105 |
310 |
420 |
硬・軟 |
軟水 |
硬水 |
超硬水 |
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米国産 Purified Water =====
安いから当然ですが、アメリカでベストセラーのボトルウォーターは、ペプシコ社のアクアフィーナとコカコーラ社のダサニとネッスル社のピュアライフです。たいていの浄水(Purified
Water)は超軟水ですが、ピュアライフは添加ミネラルの量が多いのか若干硬度が高めです。
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米国産 Natural Spring Water =====
雨水は軟水ですが、地中を流れ再び泉で地上に湧き出すまで、次第に硬度を増します。下の地図で全米各地の水の硬度を見ても、法則通り山岳地帯や内陸部に硬水や超硬水が分布しています。
しかし、米国産で売れ筋のボトルウォーターは、メーン州のポーランド鉱泉(商品名Poland
Spring=硬度13~26)やウェストメリーランド州のディアパーク鉱泉で採取されており軟水です。
少し硬度の高い水がよければ、ロサンゼルスの水源の一つに近いシエラネバダ山麓(オランチャ)で取水しているクリスタルガイザー。ブランド名の由来は、ユタ州のクリスタルガイザー間欠泉ではないでしょうか。
ちなみに、日本では硬度68のオランチャの水と硬度38の北カリフォルニアのシャスタ山の水が売られているようです。コストコで売られている「ロクサーヌ」も、クリスタルガイザーの製品ですが、硬度が38ということはシャスタ山の水なのでしょう。
硬水なら、ロサンゼルス北のサンバーナーディーノ山脈の温泉でアローヘッド鉱泉で採れる水や、有名なアーカンソー州のホットスプリングス国立公園付近の水(商品名Mountain
Valley Spring Water=硬度210)、ミシガン下半島中央部の湧水(商品名Nestle
Ice Mountain=硬度72~240)がお勧めです。
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外国産 Natural Spring Water =====
外国産の水は、概して硬水か超硬水です。火山島が多いフィジーの水にはシリカ(二酸化ケイ素)が豊富に含まれ、美容によいというのがキャッチコピー。
欧州系でトップのエビアンは、女子ゴルフのメジャー大会エビアン選手権の開催地としても知られていますが、アルプスのレマン湖のほとり(フランス側)で採取されます。氷河由来の水も加わってか、さすがに超硬水。ペリエは南仏産で、世界のスパークリングウォーターの代名詞ですが、今は天然の炭酸もいったんは浄化され、あらためて炭酸と各種のフルーツフレーバーを添加しているそうです。
和食には軟水・肉料理には硬水
中には硬水系の浄水場(ソフトウォータークラブ一覧表)もありますが、日本の水道水はおおむね軟水(0~60)かやや硬水(60~120)。エビアンの日本語サイトに詳しい説明があるように、和食には軟水が向いています。
和食の基本は「だし」ですが、カルシウムやマグネシウムが豊富な硬水には旨味成分のアミノ酸が溶け出しにくく、それどころか両者が結合して「あく」を作ってしまうからです。洋食でも、昨年10月のe-レシピ「ミネストローニスープ」でご案内した通り、野菜の煮物やスープなら軟水を使うと具が柔らかく仕上がります。
逆に肉料理で煮込んだりスープだしをとる場合には、硬水がお勧めです。熱で肉を硬くするタンパク質とミネラルが結びつき、「あく」として出てしまうからです。野菜料理も、具を煮くずれさせたくないときには硬水を使いましょう。
ご飯にしても、日本のお米をふっくら炊き上げるには軟水がお勧めです。炒飯やパエリア、ピラフなどにはやや硬度の高い水。お茶も、旨味を味わう日本茶には軟水が、香りを楽しむ中国茶や紅茶には硬水がベター。コーヒーは飲む人の嗜好次第で、マイルドなコーヒーをお好みなら軟水、苦味を引き立てるなら硬水というのが大方の定説です。
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