硬め・低めをお好みの方は、形状記憶樹脂枕か日本伝統のそばがら枕
北米の安眠…弾力が強く厚い洋枕には肩をのせて寝る
グローバル化が進んだとはいえ、こと睡眠習慣についていえば、歴史的に畳に布団で寝てきた日本と、板の間にベッドで暮らしてきた西洋の間には、根源的な文化ギャップがあります。肩こり・寝違えや腰痛を起こさずに北米の寝具で快眠をむさぼるには、「郷に入れば郷に従え」で洋風の正しい寝方や寝具の手入れの仕方を頭に入れておくことが大切です。
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和洋の枕と寝方の違い =====
和洋の睡眠習慣の違いが特に目立つのが枕です。今でも花柳界の一部に残っている伝統ですが、その昔の日本人が、まげや髪が崩れないよう箱枕(写真下左)に首を乗せて寝ていたことはご存じですね。日本では箱枕に使われていたそばがら素材の枕が普及し、そのせいか現代に至っても日本人には硬めの枕を好む人が多いようです。
一方、ヨーロッパでは、頭から肩や背中まで広く上半身を支える羽毛素材のふわふわ枕が珍重されました。そのせいか現代の北米で売られている枕も、主流は柔らかく大きめなタイプで、日本人には深く沈みすぎたり弾力が強すぎたりで、寝心地しっくりの枕を見つけるのは容易ではありません。
まげ・髪結い時代の箱枕 |
ギリシャ・ローマ式のふわふわ枕 |
日本では、枕に肩をかけず仰向けに寝るのが基本で、頭と頸椎を支え顔面の仰角が5度となる枕(写真@)が理想的と言われています(参考…フランスベッドのホームページ)が、アメリカ人には枕を抱くようにして寝るサイドスリーパー(横向きに寝る人)が多いようで、洋枕は一般的に厚過ぎます。
厚過ぎる枕を使い続けると、無理な猫背で頸椎を痛めたり、枕が外れて首をよじり、寝違え(写真A)や肩こりを頻繁に起こしたりするリスクがあります。伝統的な洋枕で寝る場合は、枕に肩をのせて(写真B)頭と肩の段差を減らすくらいが、ちょうどいい具合…枕にあった寝方を心がけるのも大事です。
写真@
理想的な枕の厚さ |
写真A
寝違えが起きるケース |
写真B
厚めの洋枕には肩をのせる |
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形状記憶樹脂の枕 =====
ちなみに写真@に写っている枕は、1990年代に私たちの地元ケンタッキー州レキシントンが本社のテンパーペディック社が売り出した頸椎に優しい特殊形状の枕です。
素材は形状記憶樹脂…寝ると頭や首が少し沈んで、枕の厚さは合格水準。硬すぎず柔らかすぎずの弾力もあり、日本人の皆さんにもお勧めできる枕の一つです。その後は他社も開発競争に加わり、今では寝返りに優しい複雑な形状の枕から、逆に外見は普通の枕まで、多彩な形状記憶樹脂枕が売られるようになりました。
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その他のお勧めの枕 =====
形状記憶樹脂の弾力は長持ちしますが、それでも永久ではありません。北米の枕や寝具は、品質保証期限を目途に買い替えるつもりでいましょう。
私は最近、近所のデパートで、片面はふわふわの繊維で裏は形状記憶樹脂という、気分によって両面をひっくり返して使える「セルタ」というブランドのリバーシブル・ピロウを見つけて衝動買いしました。
妻の満里も、寝具・家庭用品小売店チェーン「ベッド・バス・アンド・ビヨンド」で枕を買い換えたばかりです。
厚過ぎず・沈み過ぎず・弾力が強過ぎないソフトな枕が好みで、今回は「セラペディック」というブランドの形状記憶樹脂枕「トゥルークール」という製品を選びました…写真Bに写っている枕です。厚さがあって枕に頭部だけ乗せると首が痛くなりそうですが、肩まで枕に載せると顔面の仰角が5度くらいの理想的な仰向け姿勢になります。
下のアマゾンの広告のように「トゥルークール」には「仰向けで寝る人用」と「横向きで寝る人用」の2タイプがありますが、「横向きで寝る人用」は「仰向けで寝る人用」より厚みがありますからご注意ください。テンパーペディック社のオリジナル形状の枕に似た製品もあります。
いつか
NHK「大人の基礎英語」の番組内のミニドラマで、ヒロインがそばがらの「マイ枕」を持って海外旅行に出かけ、空港の検疫官に没収されそうになるというユーモラスなトピックスを見た覚えがありますが、北米でそばがら枕を手に入れるのは難しくありません。アマゾンやeベイの通信販売でお探しください。
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Back Sleepers |
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Contour
Pillow |
そばがら枕@ |
そばがら枕A |
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肩こりは、仕事のし過ぎだとか年のせいだとあきらめてしまいがちですが、本当の原因が枕の選び方や枕に合わない寝方によることもあるので、お心当たりの方は見直してください。
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