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2018年3月15日 (第139号)

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家 事

お 料 理

 家で靴を脱ぐ日本人に、重くてうるさい掃除機は必要ありません

ルンバ800~

 900シリーズ

 等 吸引力の強いロボット掃除機がお勧め

  

 電気掃除機は「重い、うるさい、吸い込みが悪い」と、ただでさえ日本人に評判の悪い北米家電製品の中でも際立って不人気な商品でした。しかし、2013年にアイロボット社が、それまでより吸引力の強いロボット掃除機(ルンバ800シリーズ)を売り出してからは、その悩みも解消されたといってもよろしいでしょう。


アメリカ人は家でも土足


 基本的に、アメリカ人は家の中でも土足という点で、私たちの生活習慣とは異なります。ですから、アメリカの家庭によい掃除機が、日本人の家庭にもよいとは限りません。取敢えず、昔、私がネットで発見した典型的なアメリカ人の奥様の投稿をお読みください。

(ロボット掃除機が普及する以前の)典型的なアメリカ人の奥様の投稿

…我が家では、20年前に家を建てた時に、最新の集中清掃システム(Central Vacuum System)を入れたんです。

…おかげで、部屋から部屋への移動は(重い掃除機を動かさず)ホースを持ち運ぶだけで済むようになり、とても楽になったんですけど、カーペット掃除だけは駄目でした。モーターが地下室にあるので、2階の部屋をきれいにしたり(1階でも)ペットの毛を吸い取るには少し力が足りません。

…しばらくして、キャニスター型(日本に多いホース・タイプ)の掃除機を購入して補助用に使うことにしたのですが、やはり重くて階段を上下するのがたいへんでした。

…そこで、最近ですが、もう1台、今度は縦型の掃除機を買って来ました。自走式で、毛の長い絨毯でも、しっかりきれいになります。今では、キャニスター型は2階、人の出入りが多い1階は縦型の掃除機と使い分けています。

 生活習慣の違いも踏まえて、投稿を解説するとこうなります。

@アメリカ人は家の中を土足で歩くので、カーペットの裏の土ぼこりまで強力に吸い取る縦型の強力な掃除機が好まれる。

A縦型の強力な掃除機は、自走式でないと軽く動かせない。

B体格がいいアメリカ人主婦にとっても、アメリカの掃除機は持ち運びに重い。比較的軽量のキャニスター型でも、重くて階段の持ち運びに不便。

C掃除機が何台あっても、クローゼットなど格納スペースには困らない。

 集中清掃システムというのは、各部屋の壁に掃除機のホースの差し込み口があって、地下室のモーターでゴミを吸い込む設備です。


従来型掃除機


 住む家の大きさと構造、ペットの有無などによって、ベストな掃除機はマチマチです。でも、電器屋のアメリカ人の店員さんに相談しても、日本人のニーズはなかなか理解してもらえません。

 日本の標準的な掃除機の重さは5〜6sで最大出力が600ワット以下。アメリカの従来型の掃除機の重さは21〜22ポンド=約10sで、標準的なアンペアに電圧110ボルトを掛けると約1300ワットとなりますから、重さも最大出力もほぼ2倍です。

 日本で有名なダイソンも、北米では強力で重いタテ型掃除機が売れ筋です。特にアニマルと名がつくフルサイズの掃除機はペットの毛をしっかり吸い込む超強力タイプで、約17ポンド(≒8kg)と重たいのでお気をつけください。お店に置いてなくても、通販なら約12ポンド(≒5.2kg)のコンパクトサイズが買えるはずです。

 屋内でクツを脱いで暮らす日本人の家庭の場合、乳児がいたりペットを飼っていたり等々の特殊事情がなければ、日常のお掃除日本製の掃除機で全く問題ありません(わが家の場合、特別カーペットがぶ厚い部屋があるので、大掃除の時だけアメリカ製の強力掃除機を使うことにしていました)。ただし、日本で買った掃除機を使うには、重い変圧器を持って部屋から部屋に移動しなければなりません。

 現地製品を買うとしたら、お勧めはロボット掃除機です。ただし、吸引力の強いロボット掃除機は少々お値段が張ります。もし、駐在期間の短い企業駐在員のご家族が、軽めで価格的にお手ごろな現地製品を購入するとしたら、面倒でも紙パック式のキャニスター型が最適かもしれません。サイクロン方式の掃除機は、(メーカーにもよりますが)故障しやすい機種もありますから、購入前にショッピングサイトで★の数を数え、必ず利用者の評判を確認しましょう。

 下は、2018年現在の最新の掃除機を紹介したYouTubeの動画です。

Upright Vacuum Cleaners (タテ型掃除機) Canister Vacuum Cleaners (キャニスター型掃除機)

 私たちは使っていないので性能の評価はできませんが、タテ型掃除機の中で、シャーク社の"Lift-Away"という製品は、分解してキャニスターのようにも使えるので便利そうに見えます。


 ロボット掃除機


 さて、お勧めの本命は、ロボット掃除機でしたね。特に延べ床面積が大きい北米の一戸建ての場合は、日本以上にロボット掃除機が活躍します。ロボット掃除機の開発合戦には数多くのメーカーが参入して少々乱戦気味ですが、薄さと吸引力の強さを兼ね揃えている点で、今のところ最初に実用化したアイロボット社のルンバ・シリーズが一歩抜きんでています。

 そこで、この記事ではルンバ・シリーズの機種別特徴について説明しますが、板敷フロアの清掃用としては、他メーカーの価格的にお手ごろな機種でも、十分な吸引力を備えていますから、カーペットの部屋がないお宅や、カーペットの部屋は別の掃除機で掃除すると決めているお宅では、わざわざルンバ等の吸引力の強い機種を買う必要はありません。また、少し背丈が高く家具の下の隙間に入りにくいのが玉にキズですが、ダイソンのロボット掃除機は、吸引力でルンバに引けを取らないようです。

===== ルンバの製品ライン =====

 2002年に売り出されたルンバ初代は厚いカーペットに歯が立ちませんでしたが、2013年発売の800シリーズ以降は吸引力が強化され、通りいっぺんの掃除では吸い取り切れないカーペットに深く潜り込んだほこりまでかき出してくれるようになりました。もはや(天井や壁を除き)床掃除は、ルンバに全面的にまかせるに限ります。私たち人間はアシスタントで、掃除の邪魔になる家具の位置を時折ずらしてあげると、ルンバも喜んでくれるでしょう。

 下の表は、現在アメリカで販売されているルンバの製品ラインです。結論から先にいうと、主に清掃能力の顕著な差を重点的に考慮し、標準的な日本人のご家庭にはルンバ960か、または私たちが購入した今年5月に売り出したばかりのルンバ890がお勧めといえましょう。600シリーズとの最も大きな違いは、吸引力が5倍で、しかもアレルギーを引き起こすハウスダストまで捕らえてくれる点…ルンバ980は、さらに強力な吸引力でカーペットを深~くきれいにしてくれるとのことですが、私たちの体験的には、日本人は土足で歩き回らないので、ルンバ890か960で十二分と感じています。

お勧め

厚いカーペットの部屋がなく、ペットを飼わず、アレルギーに悩んでいないご家庭向き

標準的な日本人のご家庭向き

土足でカーペットの上を歩くご家庭向き

現行機種

Roomba 614

Roomba 690

Roomba 890

Roomba 960

Roomba 980

定価

$299.99

$374.99

$499.99

$699.99

$899.99

現在の実勢価格

$225~

$275~

≒$500

≒$600

≒$800

基本性能

全フロアタイプ対応・三段階清掃・自動充電・ほこり発見センサー

吸引力

× 1

× 1

× 5

× 5

× 10

稼働時間

充電1回で60分

充電1回で60分

充電1回で60分

充電1回で75分

充電1回で120分

Wi-Fi接続

予約清掃

糸くず巻込み回避

アレルゲン集塵

同階全室一括清掃

自動充電/再開

清掃マップ・レポート

清掃方式詳細設定

カーペット強力清掃

 取敢えずロボット掃除機について全く予備知識のない方を対象に基本性能をご紹介しますが、ルンバはもともと地雷探知ロボットを作っていたメーカーが開発しただけあって、壁はもちろん階段の縁を感知して戻ってくるなど、人が目を離していてもひとりで部屋中をくまなく掃除する高い運動性能を備えています。板敷でもタイルでもカーペットの床にも対応しています。

 右の写真のような付属器具を使うと、壁のない所に見えない壁を作ったり、ペットの餌入れがある場所など特定の場所には近づかないよう設定することもできます。ほこり発見センサーがついていて、泥やほこりがこびりついている箇所は特に丁寧に掃除します。

 次の動画は、吸引力が強いルンバ800~900シリーズの集塵システムに関する説明ですが、ルンバは左の写真のように 全ての機種について、@(Sweep): 回転するサイドブラシで壁際のほこりを自機の足下に掃き集め、A(Grab): 向き合って回転する2本の円筒形ブラシで床からほこりをつまみ上げ、B(Suction): ほこりを吸い込んで集塵容器に集め、フィルターを通して清浄な空気を吐き出す…三段階清掃システムを採用しています。

 前述のように800~900シリーズでは、A段階のブラシの改良で真空状態を作り吸引能力を高めた点とB段階の改良フィルターで10ミクロン単位の微粒子まで集塵できるようになった点が高く評価されます。

ルンバ800~900シリーズの吸引システム

 取扱い説明書には最初の充電に2時間かかるとありますが、実際に使い始めてからは、前の掃除の電池残量もあるので不便を感じるほど充電に時間はかかりません。充電1回につき稼働時間は600シリーズと890で60分ですが、多少大きなカーペットの部屋でも、特別に汚れていない限り掃除し切れる時間です。掃除が完了するとルンバは充電器の場所に戻って来て、次の掃除に備え充電を始めます。

===== ルンバ890 vs. ルンバ960=====

 890と900シリーズの違いは、同階の全ての部屋を一度に掃除しようとした時に現れます。960の1回の稼働時間は75分と890に比べさほど長くはありませんが、電池が切れそうになると充電器に戻り、充電完了後に残りの掃除を再開してくれます。890も自動的に充電器に戻るところまでは同じですが、掃除は未完了でキャンセルされてしまいます。充電後にリモートで掃除を再開させることは可能ですが、掃除し終わった場所を繰返し掃除することになり、いつまでも待っても掃除は完了しません。

 900シリーズでも、集塵容器にほこりが満杯になれば、ルンバをいったん停止してヒトが容器をカラにしてあげなければなりませんが、部屋数が多くても毎日のように掃除していれば、あまり心配しなくてよさそうです。そのあたりは、一度に何室まで掃除が可能か実際に試してみるしかありません。日本メーカーの製品には、1ヶ月に1回ほこりをまとめて廃棄する機種もあるようですから、いずれルンバにも同様の機種が加わるかもしれませんね。

 890と960のお値段には定価で200ドルの差がありますが、実勢価格では100ドルの違いですから、お徳用な890を選ぶのも、微妙に賢い960を選ぶのも、悪くないご決断です。外出中に全室を毎日お掃除なさらないと気が済まない方は、是非960。890は今年の5月に発売されたばかりで値引きがないのですが、いずれ実勢価格が下がったら一層お徳用の機種となるでしょう。

 ルンバがあれば、原則的に従来型の掃除機は必要なくなります。階段や壁や天井の掃除用に、左の写真のようにヘッドがコンパクトで、片手で持てるほど軽いコードレスの掃除機を1台持っているとよろしいでしょう。

===== 床拭きロボット ブラーバ =====

 アイロボット社は、床拭きロボットも販売しています。こちらの方は私たちもまだ試していないので、体験的な説明はできませんが、2機種あるうちのどちらが優れているかは価格では決められません。ご家庭の使い勝手を考えて、よく比較した上でお選びください。

Braava Jet 240 Braava 380t

定価 $199.99 (現行実勢価格 ≒$170)

サイズ 6.7×7.0×3.3インチ…キッチン・浴室にお勧め

定価 $299.99 (現行実勢価格 ≒$250)

サイズ 8.5×8.5×3.0インチ…板敷・タイルの広いスペース

 土足で歩き回るアメリカ人の家庭では、ブラーバ380tで毎日のように拭き掃除をした方がよいのでしょうが、日本人が主にキッチンと浴室用に使うなら、20cm以下の狭い隙間にも入っていけるブラーバジェット240の方が便利な気がします。