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2019年1月15日 (第145号)

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 札幌で大爆発したスプレー缶…安全にガスを出し切ってリサイクル

 全米各地でゴミ回収サービス縮小の動きが心配!!

 昨年12月に札幌で起きた消臭スプレーガスによる爆発事件(左下の動画)は、その破壊力の凄まじさにも驚きましたが、あらためてスプレー缶の怖さについて認識する機会になりました。アメリカでも、スプレー缶の爆発事故は時々起きているようです。昨年9月にはテキサスの高速道路でトラックが事故を起こし、積み荷のボディスプレーが爆発して炎上しました(右下の動画)。

札幌のガス爆発事件 テキサスのスプレー缶爆発事故

===== スプレー缶のゴミ出し =====

 日本では事件をきっかけにスプレー缶の廃棄の仕方が注目され、それまでゴミ出しの際に穴あけを義務づけていた自治体の中にも見直しをする動きがあるようですが、アメリカでは、どうなのでしょうか?私たちは、アメリカに来てからも、日本にいた頃に覚えた習慣で、スプレー缶は必ず穴をあけ完全にガス抜きしてから捨てることにしていましたが、あらためて地元自治体や全米各地の規定について調べてみました。

 しかし、そもそも缶に穴をあけるなどと危険で厄介な作業は、ゴミの分別に厳しい日本の自治体ならではの義務で、どうやら穴あけを奨励している自治体は、全米に存在しないようです。ただし、当然ながら、スプレー缶の中味は可燃物ですから、安全な場所で噴射して、内部のガスを出し切ってから捨てるよう義務づけられています。空になったスプレー缶は、廃金属としてリサイクルのゴミ箱に捨てましょう。

 もっとも、スプレー缶の内容物によっては、自治体によって少し厳しい規定があります。中身がペンキの場合には、ペンキ自体が有害ゴミですから、ガスを出し切った空の缶でも普通に捨てられるとは限りません。そのあたりは、自治体のホームページでのゴミ捨ての規定をよく読んでいただくか、または会社の同僚やご近所の親しい方にお尋ねください。

 私たちの地元ケンタッキー州レキシントンの場合には、ペンキ類でもスプレー缶なら、中身を空にしてリサイクルゴミとして捨ててかまいません。しかし、護身用のペッパースプレーだけは例外扱いで、空にして、缶を二重に包んだ上で、(リサイクルゴミでなく)一般ゴミとして捨てるよう義務付けられています。

===== リサイクルプログラムの危機 =====

 ところで、全米各地のゴミ出しの規定を調べていたところ、一括回収型のリサイクルプログラムが危機的な状況にあることが分かりました。日本には、各世帯が自己責任で分別してゴミ出しするという共通理解がありますが、アメリカでは、リサイクル対象ゴミは(一般ゴミとは分別するものの)自治体が一括して回収し、清掃局が分別するのが当たり前ですから、ゴミの選別作業に追加コストがかかります。

 そこへ、中国が廃プラスチックの輸入を全面停止したことや、米中貿易戦争の報復関税により古紙の輸入も減ったことが、引き金になりました。これまでゴミ処理予算の足しにしていたリサイクル収益の採算が悪化し、逆に赤字化して足を引っ張るようになってしまったのです。おまけに内外の廃品購入者の立場が強くなり、リサイクルゴミに高い清潔度や混入防止が求められるようになった結果、ゴミの選別コストが一段とかかるようになりました。

 既に廃プラスチックのリサイクルを止めた自治体もあるようですが、ペンシルバニア州ピッツバーグでは、一部地域から順次、廃ガラスの回収が停止されることになりました(次の動画)。

 主な理由は、そもそも空きビンなどが汚れていて洗浄に手間がかかることと、壊れたガラスが他のゴミに混じって危ないこと、さらに海外市場が縮小して空きビンの処分が難しくなってきたことにあるそうです。しかし、その分の税負担が軽くなるわけでもなく、市民の不満はつのっています。

 市が責任を放棄したガラス類のゴミ回収は、当面は個々の住宅地の自治会が民間業者に委託することになるのでしょうか?市は具体的な対応策を示すこともないままに、一方で、危険ですから今後は回収ゴミの中にガラス類が混入していないか厳重にチェックするとのことです。

 ガラス類のリサイクルの停止は、ミズーリ州のトロイやオハイオ州のアクロンでも昨年のうちに始まっています。詳細については知りませんが、フロリダ州デイトナでは、2月以降全てのリサイクルを停止することになっています。

 幸いなことに、私たちの地元ケンタッキー州レキシントンでは、今のところリサイクル見直しの動きは出ていません。が、レキシントンに限らず、一括回収型のリサイクルプログラムを維持するには、市民がリサイクル対象のゴミの種類を正しく理解するだけでなく、(日本人的には逆のようですが)怪しいものは一般ゴミに分別する方がよいようです

 私たちも、あらためて地元の決まりを読み直し、廃プラスチックや古紙の分別で勘違いがあったことに気づきました。別の記事で、レキシントンのゴミの分別ルールを詳しく説明しますので、他の地域にお住いの皆さんも参考までにお読みください。清掃局はリサイクル対象ゴミに大量の一般ゴミが混入していて、迷惑しています。