アメリカの 「暮らしとノウハウ」・e-ガイド(印刷ページ

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ジャンクフードと心臓病

★ハートアタック・グリル ★トランス脂肪酸の害


ハートアタック・グリル


 ハンバーガーとフレンチフライにコーラ、ドーナッツ、ポテトチップスにポップコーン、ピザ、フライドチキン、アイスクリーム…さすがに、最近は、学校からコーラの自動販売機が消えたり広告の自主規制をしたり、少し歯止めをかけようという動きが出てきましたが、ジャンクフード(Junk=ガラクタ)は生活習慣病の最大の敵ですから、アメリカ文化に馴染んでも食文化だけは丸ごと受け入れないよう気をつけてください。

 健康志向の世論が高まる中で、アリゾナ州フェニックスでは、逆切れしたハンバーグ屋さんが四段重ねのハンバーガーを売っています。お店の名前も「ハートアタック(心臓麻痺)・グリル」…ホームページを見ると、四段バーガーの隣に看護婦さんが立っています。高脂肪で心臓麻痺になっても面倒見てあげるから、安心して食べなさいということなのでしょう。

 残念ながら、左の看護婦さんはにせもの。本物は胸元が大きく開いたミニスカの制服を着たグラマラスなナース…皆さんにも見せたくて、ハンバーグ屋さんのオーナーに転載許可をもらおう試みましたが、カメラマンとモデルの著作権の問題で不可。ただしハンバーガーの写真だけはOKですから、清純な看護婦さんのクリップ・アートと組み合わせて合成写真を作った次第です。

 アリゾナに行けば、ホームページ通りの制服を着た看護婦さんが給仕してくれるそうです。ハンバーガーは1枚0.5ポンドですから、四層バーガーは肉だけで2ポンド(1.8kg)…こんな大物を完食できる方は、読者の皆さんの中にはまずおられないでしょうが、一層のバーガーもあるそうですから、お立ち寄りのチャンスがあればチャレンジしてみてください。


トランス脂肪酸の害


 ニューヨーク市のレストランでは、2008年の7月から「トランス脂肪酸」を含む料理油を使うことができなくなりました。カリフォルニア州など大都市圏を中心に、住民の健康のために加工食品の成分を規制する条例が増えてきています。

 インターネットで検索すると「トランス脂肪酸」の害に関する記事が数多く見つかりますが、やや過剰反応気味で、中には疑わしい記事も混じっているように感じました。「トランス脂肪酸」は、天然の油脂(不飽和脂肪酸)に水素添加反応を行い日持ちのよい加工油脂を製造する際に一部の成分が変化して生成されるようです。天然に存在しない物質で、多量に摂取すると悪玉コレステロールを増やし善玉コレステロールを減らすので心臓病リスクが高まると言われています。

 以前は「トランス脂肪酸」を多量に含んでいた食品でも、最近は「トランス脂肪酸」無含有を売り物にした新製品が出るようになってきました。左の写真は、近くのスーパーで私が買ってきたポップ・コーンです。成分表にも「Trans Fat 0g」と表記されています。

 タバコのケースと同じように、消費者団体が製造者に健康被害の責任を問う訴訟が相次ぐようになって、ファースト・フード業界もついに対策に乗り出しました。私が調べた2006年末の時点でも、既に「ウェンディーズ」はトランス脂肪酸無含有の油に移行済みで「タコ・ベル」は全米で使用油を変更中。「ケンタッキー・フライド・チキン」は当時使用中の一部水素添加の大豆油を2007年4月末までに切り替える予定、「マクドナルド」も十数種類の油脂のブレンドを研究中とのことでした。

 もっとも、タバコのケースと違って、消費者団体の目指すところは、ジャンクフードの一掃ではなくて、健康に悪くないファーストフードを食べたいな…アメリカ人の肥満問題は、そう簡単に解決しそうにありません。