アメリカの 「家事とお料理」・e-ガイド(印刷ページ

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生活スタイルに合わせて選ぶコーヒーメーカー

★進化したドリップ式(Mr.Coffeeほか) ★手をかけて淹れる喜び(Ninja)★本物のエスプレッソ指向(Nestle)

★カートリッジ入れポン式で手軽に多彩な飲み物(Keurig)


従来型コーヒーメーカー

カートリッジ入れポン型

 私たちはコーヒーラバーですが、家では薄めに淹れたコーヒーをマグカップで1日に何杯も飲むタイプです。かといって、スターバックスに行けば私は必ずエスプレッソ、満里はカプチーノかカフェラテを頼むので、いわば両刀使い。

 これまでは20ドル以下で買える従来型のコーヒーメーカーで満足していたのですが、巷では3年ほど前から様々な高級品が出回るようになって来ています。ちょうどそんな時にガラス製のポットにひびが入って万事休す…この際はいっそのことステンレス製ポットの高級品に買い替えようかということで二人の意見がまとまりました。

 最近の流行りは、コーヒー豆のカートリッジを所定の位置にパチンとはめ、フタをしてスイッチを入れたらまもなく一杯分のコーヒーが入るというカートリッジ入れポン型…スターバックス並みのコーヒーの味が手軽に楽しめてよいのですが、家でガブ飲みする私たちにはちょっと濃すぎて不向きです。(2017年5月記)


進化したドリップ式…Mr. Coffee Optimal Brew


Zojirushi

 さて、下の動画をごらんください。結局、私たちはステンレス製ポット付きの Mr. Coffee の Optimal Brew(訳=極上の淹れ方)という製品を買いました。このコーヒーメーカーの最大のウリは、従来型より高温の湯で短時間で美味しいコーヒーが入るように設計されている点です。ステンレス製ポット(Carafe)が保温性の高い二重構造で、いつまでもコーヒーが冷めず香りも保たれる点も、私たちが評価したポイントです。

 お値段は定価でも約70ドルとまずまず。象印の同様コンセプトの製品もアメリカで買えるようですが、お値段は少し高めです。

 レギュラーコーヒーしか飲めないのはこのコーヒーメーカーの限界ですが、ダークブレンド(エスプレッソ挽き)の豆で濃い目に淹れてエスプレッソ風味のコーヒーを味わうのも悪くはありません。

 ちなみに、今回はコーヒーメーカーの水量のメモリを調べたところ、2目盛が(蒸発分を見込んで)マグカップ1杯分…ほぼ12oz(約360t)に相当し、ちょうど*シングルサーブ型のコーヒーメーカーで淹れるカップ1杯分でした。いわゆるコーヒーカップの1杯はほぼ4oz(約120t)で、マグカップの1/3に当たります。

*シングルサーブ型…後段で説明するKeurigやNespressoのように、1杯ごとに使い捨てカートリッジをセットしてコーヒーを淹れるタイプ。

 コーヒー豆や粉を計量するスプーンは形も大きさも様々で、わが家で使っているのは写真のような円錐形タイプですが、これを量ってみるときっちり大さじ1杯で、約5g入ることが分かりました。

 一方、スターバックスはおいしいコーヒーを入れるコツとして、コーヒーの粉は180ccの水に対し大さじ2杯(10g)が適量と勧めています。つまり、わが家の計量スプーンなら、コーヒーメーカー1目盛の水に対して豆2杯…試しにスターバックスお勧めの水と豆の比率で淹れてみて、新コーヒーメーカーの性能を確かめたところ、少なくとも日本の平均的喫茶店には負けないコーヒーが得られました。

 敢えて言えば、試しついでに続いてタンクに同量の水を入れて二番煎じのコーヒーを入れてみたのですが、それでも香りはあり、いわゆるアメリカンコーヒーとして美味しく飲める濃さでした。私たちのように家でガブ飲みなさる方は、特にカフェインの取り過ぎに注意しましょう。


手をかけて淹れる喜び…Ninja Coffee Bar


 Ninja は、Shark というもう一つのブランド名で電気掃除機やアイロンを売っているアメリカの家電メーカーです。このコーヒーメーカーは、レギュラーコーヒー(クラシック/リッチ)だけではなく、アイスコーヒー用のコーヒー(オーバー・アイス)やエスプレッソ風の濃厚なコーヒー(カフェ・フォルテ)、カプチーノ用に泡立てたミルクに注ぐコーヒー(スペシャルティ)など様々なタイプのコーヒーを淹れられるように設計されています。

 しかし、問題は(保温性が高いステンレス製ポットだと)安売りでも価格が170ドルもするわりには、カプチーノなどを作るのに手間がかかる点です。それよりは(広いキッチンがあれば)ドリップ式コーヒーメーカーと、カートリッジ入れポン式のエスプレッソマシンまたはカプチーノマシンを別々に買って使い分けた方が便利には思えませんか?

 Ninja は、コーヒーメーカーのほかジューサーミキサーや万能調理器など総合的なキッチン家電の開発に注力しているメーカーですから、ある程度手をかけて自ら美味しいコーヒーを淹れる喜びを求める人々の需要を期待しているのかもしれません。


本物のエスプレッソ志向…Nespresso VertuoLine


 昔は日本でもアメリカでもコーヒーといえばレギュラーコーヒーでしたが、スターバックスが全米と日本で一気に店舗拡大を図った90年代以降、エスプレッソなどイタリア系のコーヒーを楽しむ方が増えてきました。

コーヒー豆

抽出方式

ストレート

+ミルク

+泡ミルク

+ミルクココア

レギュラー系

浅煎り・細~粗挽き

ドリップ式ほか

レギュラー

カフェオレ

エスプレッソ系

深煎り・極細挽き

高温加圧式

エスプレッソ

カフェラテ

カプチーノ

カフェモカ

 Nespresso は、インスタントコーヒーで有名なネッスル社の従業員が発明したカートリッジ入れポン式のシングルサーブ型エスプレッソマシン…中でもバーチュオライン(VertuoLine)という製品はドリップ式のレギュラーコーヒーも淹れられる便利な二刀流で、ネッスル社の自家製カートリッジ(Nespresso Capsule)を所定の位置にセットすると、レギュラーかエスプレッソか、抽出方法を機器が自動的に選びます。

 カプチーノ用にミルクを泡立てる泡立機がセットで付いていない製品は約140ドルですから、カートリッジで手軽にレギュラーとエスプレッソの異なるタイプのコーヒーを味わいたい方にはお勧めです。ただし、一度に1杯を淹れるシングルサーブ式なので、人数の多いご家族には不向きかもしれません。


カートリッジ入れポンで手軽に多彩な飲み物…Keurig


K-Cup Pods

 名前にはヨーロッパ的な響きがありますが、キューリグ(Keurig)はアメリカのベンチャー企業が開発したカートリッジ入れポン式のコーヒーメーカーです。最大の特長は、ネッスル社とは対照的にカートリッジ(K-Cup Pod)作りに積極的に他社の参入をうながした点で、自社ブランド(Green Mountain)やスターバックスのコーヒーをはじめ、リプトンやトワイニングの紅茶、その他のお茶やココアなど、各社から60ブランド、400種類のカートリッジが売り出されています。

 最近は、各地のホテルが客室にキューリグのコーヒーメーカーを備え付けるようになっています。私も旅先でお世話になっていますが、スターバックス並みの美味しいコーヒーが手軽に飲めるのは当たり前としても、気分に応じて様々な飲み物を選べるのはうれしい限りです。これからは、私たちも毎朝のガブ飲み用のコーヒーとは別に、おやつにカートリッジで日替わりの味を楽しみたいと思っています。

 さて、Keurigの製品は普及機種(Classic Series)と上位機種(2.0 or Plus Series)の二つのラインに分かれていますが、その性能の差を一言でいえば、一度に淹れられるコーヒーの量の違いです。

 普及機種で1カートリッジ(K-Cup Pod)で淹れられるコーヒーの量は最大10oz(約300cc)と、マグカップ1杯(約360cc)よりは一回り少なめです。それに対して、上位機種には全く同じカートリッジでマグカップ1杯分淹れられるタイプ(K475/575)もあり、大型カートリッジ(K‐Carafe Pod)を使って、一度に30oz(約900cc)をポットに抽出することができます。

 そのあたりが便利かどうかは購入者の家族構成やコーヒーの飲み方次第で、むやみに上位機種に投資するメリットはありません。スーパーで普通に買えるカートリッジの大半はマグカップ1杯分のK-Cup Podですし、私たちのような夫婦2人の家庭では、お茶の時間にそれぞれが思い思いのカートリッジを選んで飲むことになるでしょう。

 また、余談に近くなりますが、 キューリグの普及機種並みの製品は他メーカーでも作っています。安いものなら約30ドルで買えますから、皆さんのニーズに合った商品をお選びください。

 カートリッジを買う際には、必ず箱の注意書きを確認することにしましょう…中には一部の機種限定のカートリッジもあります。上位機種なら、全てのカートリッジが使えるとは限りません。