北米では、全米50州に少なくとも一つずつ、総数3000を越えるワイナリーがあります。カナダのナイアガラ半島にも100を越えるワイナリーがあります。Catchwine.comによれば、アラスカにも4ヶ所…皆さんのご近所にもきっとありますから、一度出かけてみてはいかがですか?試飲を楽しめるワイナリーもたくさんあります。 それでも、全米のワインの9割がカリフォルニア州で生産されています。左の地図では、日系のギフト通販が扱っているカリフォルニアワインの銘柄を地域別に分けてみました。 ナパバレー とソノマバレー ところで、カリフォルニアの土地の大部分は砂漠や山岳地帯で、農業適地は実は以外に少ないのです。ウェストバージニア州の面積にも匹敵するセントラルバレー地方は、平坦で今でこそ大農業地帯になっていますが、これとて歴史的な灌漑事業によって切り開かれた農地でした。 日本でも甲州ブドウの産地山梨県の勝沼のように、ブドウの栽培には川に運ばれた土砂が堆積した水はけのよい傾斜地が適しているようです。カリフォルニアワインの産地も、カリフォルニア海岸山脈の谷間に多く見られます。 世界的に有名なナパバレーはノースコースト地方にあります。サンフランシコ湾に北から注ぐナパ川沿いのこの谷間では、アラスカ海流で冷やされた風が上流に駆け上がる間に徐々に温められ、わずか50kmほどの間で微妙な気候差を生み出します。だから、カリフォルニア州観光局の言葉を借りれば「この一帯だけでフランス一国に匹敵するほど多種多様なブドウが生産されているといわれています」。 観光客には、下流のナパから上流のセントヘレナまで、ワイン飲み飲み見渡す限りのブドウ園の景色を楽しむワイン列車が人気です。そして、ナパから山を越えて一つ西の谷間がソノマ。ナパと並ぶ高級カリフォルニアワインの産地です。 モンダビ・コッポラ・キャラウェー 私も、北米に来て間もない頃は、接待の席でワインリストの中からよいワインを選ぶのに苦労しました。そのうち先輩の真似をして、バカの一つ覚えで「ロバート・モンダビの赤(白)」を繰り返せば、楽にその場を切り抜けられることに気がつきました。 昔のカリフォルニアワインは赤・白の区別さえあれば十分と言われるほどの安物扱いでしたが、欧州ワイン同様に、誇り高くブドウ品種をラベルに明示して売り、ナパバレーとカリフォルニアワインの国際的な評価を高めたのがロバート・モンダビです。
モンダビの両親は、アドリア海に面した中部イタリアから移民してきました。父親は東海岸に家庭ワイン用のブドウを出荷するビジネスで成功し、禁酒法時代にナパバレーの古いビンヤード(ワイン用のブドウ園)を買い取りました。スタンフォード大学で近代的な経営学を学んだモンダビは家業を手伝っていましたが、1965年に独立して今日のロバート・モンダビ・ワイナリーを開きました。 1967年、当時のカリフォルニアでは珍しいブドウ品種ソービニョン・ブロンを使って辛口の白ワインを作り、フランスのロワール地方のワインにヒントを得て「フュメ・ブロン(燻蒸感ある白)」とネーミングしたのが、その後のモンダビの快進撃の始まりです。 モンダビのビンヤードはナパのオークビルのほか、モンダビが子ども時代を過ごしたセントラルコーストのローダイ(Lodi=サクラメントの南東)にもあります。有名なプライベートセレクションは、ブドウ品種ごとにベストの地域のものを使って醸造されています。モンダビは2008年に94歳で亡くなりました。 もし、ほかに誰でも親しみやすいカリフォルニアワインの銘柄をあげるなら、フランシス・コッポラとキャラウェーがあります。フランシス・コッポラは、ワイン通としても有名な映画「ゴッドファーザー」のコッポラ監督経営のソノマのワイナリー…ナパのルビコン・エステートも監督の所有で、映画関連の品々まで展示されているのだそうです。 キャラウェーはサウスコーストのテメキュラで成功したワイナリーのひとつでしたが、旧オーナーのキャラウェーさんは次の夢に向けてあっさりワイナリーを手離してしまいました。今では世界中のゴルファーに、ゴルフ・クラブを作って売っているあの人です。 主なワイン用ブドウ種 WikipediaのほかにASAHIWINE.COMの記事を参考にしました。
ナイアガラのアイスワイン
ナイアガラ・ワインは、特にアイスワインの生産で有名です。アイスワインは、ブドウの収穫時期を遅らせて、わざわざ気温が零下7℃以下に下がって氷結したブドウから造るワインです。水分が凍結して分離するので、果実のエキスが濃縮したブドウでできるアイスワインは、高糖度ながらも酸味とバランスがとれたデザートワインになります。 夏は十分に暑く、冬は寒さが厳しくなければいけませんから、世界的にも生産地は限られています。この地方の農家に、アイスワインの発祥の地ドイツから移民してきた家系が多いのも偶然ではないのでしょう。 「ナイアガラ観光・e-マップ」には、ワイナリーのレストランでお食事もできるヒルブランド()とペラーエステーツ()の両ワイナリーを掲載しました。 |