補習校関係者には感謝!!
海外赴任の辞令が出るまでは、海外で日本の教育をしてくれる施設など気にしたこともなかったという人がほとんどでしょう。2008年4月現在、文部科学省が認定する海外の日本人学校は86校(49ヶ国)、補習授業校は201校(55ヶ国)あるのだそうです。文部科学省が日本人学校と呼んでいるのは、1週間を通じて平日に日本式の教育をしてくれる学校で、北米(アメリカとカナダ)には3校(ニューヨーク市周辺に2校、シカゴに1校)しかありません。 アメリカで暮らす日本人子弟の大多数は、月曜日から金曜部まで現地校で学び、土曜日は補習授業校で日本の教科を勉強する忙しい生活を送っています。もっとも、補習授業校は、子供たちが現地校で英語付けにされているストレスから解放される「いやし」の場でもあるのです。帰国後のことを考えたら、ご両親は「1週間分の勉強量を土曜1日で取り返さないとたいへん」という気持ちになるかもしれませんが、土曜日くらいは、日本人の友だちとゆっくり遊ばせてあげることも必要です。 補習校は、各地域の日系企業関係者の団体などが中心になって設立、運営されていますが、就労ビザを持っていて補習校で教えてくれる先生を探してくるだけでたいへんです。ほとんどの先生方は、教師経験もなく半ばボランティアで(薄給で)教えておられますので、授業内容がご両親の期待通りではなくても、ある程度は我慢しなければなりません。また、補習校の校舎は、ほとんどの場合、現地校の一般の教室を土曜日だけ借りて使っていますから、日本人の子供が教室の展示物にいたずらをしたり、駐車違反で周辺の住民に迷惑をかけたり、ちょっとしたことをきっかけに校舎を失ってしまうおそれもあります。創立から時を経て規模も大きくなってくると、だんだん運営は他人任せになってきますが、レキシントンの補習校の理事を経験した私から一言…保護者全員で支えるつもりで、それぞれの立場で補習校運営に積極的に関わることが大事です。 補習校の授業は、何といっても、現地校では絶対に教えてくれない「国語」が最優先で、次に「算数」や「数学」、「理科」や「社会」にはほとんど時間を割けません。現地校が夏休みで家族で一時帰国のような時にはいつでも休めるような学校ですし、成績についても先生からうるさく言われないので、子供たちも今ひとつ本気で勉強する気にならないところがありますが、やはり漢字の読み書きなどは年齢に見合う標準的な学力を身に付けておかないと、一生、尾を引きますから、特にご注意ください。 北米の補習校分布地図 文部科学省や海外子女教育振興財団、各地の領事館のホームページなどを参考に、北米の補習校の分布図を作ってみました。学校の規模については、古い資料を参考にしているので、多少の違いがあるかもしれません。
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