アメリカで「陽性」は赤信号 お子様の現地校編入手続きのためにアメリカの医療機関で健康診断を受けたところ、ツベルクリン反応(TB Test)が陽性(positive)と出て9ヶ月間も結核予防(治療)薬を服用させるよう命じられるという事件が、以前から、全米で起きています。留学生の場合も、多少の経緯の違いはあっても同様の「被害」に会われる方が後を絶たないようです。 そもそもの問題は、結核予防対策が国によって違うからです。日本は、韓国やフランス、インド、ロシアなどとともにBCGワクチンが結核の予防に効果があると考えて一定年齢の児童に一律接種しているのに対して、アメリカはBCGワクチンの効果に懐疑的で、結核菌感染者はツベルクリン反応で見つけ出して治療する方針を取っているのです。 日本人は、ツベルクリン検査はBCGワクチンの免疫の「効き目」を調べる手段と軽く思っていますが、もともとは「結核感染の有無」を調べる検査です。ただし、BCGワクチンは20世紀の初めにフランスのパストゥール研究所がウシ型結核菌を培養して作り出した弱毒性の菌…BCGによる陽転は結核に感染したということではありません。 * 2005年まで日本における児童のBCG接種義務は幼時/小学時/中学時の3回でしたが、現在は生後6ヶ月以内に1回だけと減っています。 主治医の理解を得るのが大切 昔の話ですが、私たちの娘も陽性で、ツベルクリンの跡が大きく腫れ上がって心配したことがあります。主治医が日本の事情をよく理解していてくれたおかげで、学校に提出する書類に「BCG陽転に付き治療不要…二度とツベルクリン検査をしてはいけない」と書いてくれて助かりました。 どなたでも大切なお子様に不必要な薬を長期間飲ませたくはありません。アメリカ各地のインターネット掲示板で、日本人の奥様方がこの件で議論なさっています。平均的な結論は「医師の指示があれば、法的には飲ませなければならない⇒でも、飲ませなくてもばれない」というものでした。 私も、違法行為をお勧めすることはできませんが、皆さんの議論はおおむね正しいと思っています。ただし、医療機関によっては、服薬を監視するので困ったという経験談を聞いたこともあります。そのような場合は、面倒でもセカンド・オピニオン(別のお医者さんが服用を命じたのを取り消す意見書)を取るようになさってはいかがでしょう。 結核予防薬の副作用 服薬を監視するのは行き過ぎとも感じますが、実はお医者さんも患者さんの身を案じてのことです。「本物の結核感染者」が病気を甘く見て服薬を中断した場合には、耐性菌(薬が効かない菌)ができてしまって、再発時に治療不能に陥るおそれがあるのです。 あるお子様が飲むように指示されたのはイソアニジド(INH)という薬です。インターネットで調べてみますと、 @ たいへん安全な薬だが他の薬のように副作用はある・・・発疹(痒みを伴うことが多い)、手足のしびれ、色の濃い尿、おう吐、食欲不振、吐き気、視力の変化、説明のつかない発熱、説明のつかない疲労、急な胃の痛み、 A 肝機能障害,またはその前歴,あるいはその疑いのある人/腎機能障害またはその疑いのある人/精神障害の前歴/アルコール中毒/てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの前歴/薬物過敏症/血液障害,出血傾向のある人は慎重に服用、 B カジキ、ブリ、ハマチ、アジ、サヨリ、サワラ、たらこ、すじこ、かつお、さんま、まぐろ、飛び魚、いわし、サバ科の魚類など魚に含まれるヒスチジンという物質の代謝を阻害するため体内にヒスタミンが蓄積し、ヒスタミン中毒症状(顔面紅潮・頭痛・全身脱力・発疹・吐き気・嘔吐など)がでることがある、 C チーズ、ワイン、ビール、コーヒー、そらまめ、イチジク、ニシン、タラコ、スジコとヒドロキシトリプトファン含有食物バナナ、パイナップルさらにモノアミン含量の多いレバー、酵母などと一緒に内服すると、血圧上昇、動悸、頭痛などのアミン中毒症状が出現する 等の記事(おくすり110番, 薬辞苑, goo ヘルスケア, ファイザー Physician’s Web)がありました。 |