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北アメリカの花粉症

★原因花粉…グラス(草)/ウィード(雑草)/樹木/モールド(菌糸類) ★地域別花粉飛翔カレンダー


 緑がまぶしいアメリカの中西部や南部には、花粉もいっぱい飛び交っています。日本で花粉症といえば、一般的に春先のスギやヒノキの花粉による花粉症を指すのでしょうが、アメリカの花粉症には様々な原因花粉があり、春から秋までいつひどいかは人によってマチマチ。

 私たち夫婦の場合は初秋=9月に入ってしばらくするうちに目がかゆくなったり鼻水が出たり…あまり重症ではないのですが悩まされています。

 20年近く前に仕事でケンタッキーに赴任した当時、「3年もすれば花粉症にかかるよ」と妙なお墨付きをくださる方がいました。少し誇張はあるとしても、長くいれば花粉症をわずらう確率は高いようです。


原因花粉…グラス(草)/ウィード(雑草)/樹木/モールド(菌糸類)


 夏の終わりから秋にかけて花粉症を惹き起こす犯人は、たいていウィード(雑草=Weeds)です。大雑把に言い切ると、春先の花粉は樹木(Trees)で初夏から夏にかけてはグラス(草=Grasses)ですが、地域によって花粉の種類も飛翔のタイミングも異なります。

地域別の花粉飛翔カレンダー(⇒拡大)

   南部/   中西部/   テキサス周辺州

 本来グラスとウィードには明確な定義も区分はありませんが、グラスはイネ科の植物や芝も含むいわゆる草で、主に単子葉植物を呼ぶ言葉。ウィードといえば、タンポポのように葉っぱのある草花で、双子葉植物と考えてよさそうです。

 「飛翔粒子」によるアレルギーを惹き起こす犯人には、もう一つモールド(菌糸類=Mold)があります。主にキノコの季節に悪さをしますが、他の季節でも雨上がりだとか湿気の多い時には要注意です。

 屋外ばかりでなく屋内にも繁殖しますから、ダニ対策などとともに、家の中を清潔に保ったり、エアフィルターを頻繁に取り替えたりすることが重要になってきます。

 花粉症の市販薬ではクラリチン(Claritin)やアレグラ(Allegra)が有名です。乾燥による鼻炎とアレルギーは区別しにくいので、とにかく原因を究明したいものです。


地域別花粉飛翔カレンダー


右は花粉を飛散させるマウンテンシダーの雄木

左は未成熟の雄木、奥は緑の濃い雌木(⇒拡大)

 ご参考までに、アレルギー試薬の大手Hycor Biomedicalの資料をもとに、南部/中西部/テキサス周辺州の地域別花粉飛翔カレンダーを作ってみましたのでごらんください。

背高泡立草(セイタカアワダチソウ)

 日本のスギ花粉に似ているのが、マウンテンシダー(Mountain Cedar)の花粉。直訳すれば山杉ですが、実はヒノキ科ビャクシンという樹木の仲間なので日本でもカタカナ名で呼ばれています。スギ花粉症の皆さんは、冬の12〜1月には、なるべくテキサス方面にお出かけにならないようお気をつけください。

 アメリカでは花粉症のことを「ヘイ・フィーバー(Hay Fever=干し草熱)と呼び慣わしていますが、言葉通りなら正にグラス(単子葉の雑草)の花粉症…あっちでもこっちでも芝生の花粉に反応するようになったらたいへん。夏の間中、ゴルフを楽しむ余裕もなくなってしまいますが、罹患者数は樹木やウィード(双子葉の雑草)の花粉症に比べると少ないようです。

 そういえば、秋になると都市郊外の空き地でススキを押しのけてはびこる(日本では)悪役外来種のセイタカアワダチソウが、ケンタッキー州とネブラスカ州の州花に指定されているというのでびっくり。ゴールデンロッド(Goldenrod=黄金の杖)と名付けられているくらいですからアメリカ人には愛されているのでしょう。派手な存在ですから、昔は喘息や花粉症の原因として強く疑われていたようですが、ブログみのしまクリニック発花粉情報にもありますように、秋の花粉症の主犯はブタクサオオブタクサのようです。