大学バスケットボールコーチ物語
★強豪校・伝統校 ★デューク対ノースカロライナ ★ケンタッキー対ルイビル
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強豪校・伝統校
第1表
大学男子バスケットボール優勝校(1996〜)
年 |
優勝 |
準優勝 |
ファイナル4
(ベスト4) |
1996 |
Kentucky |
Syracuse |
Mississippi St./Masachusetts |
1997 |
Arizona |
Kentucky |
Minnesota/North
Carolina |
1998 |
Kentucky |
Utah |
North Carolina/Stanford |
1999 |
Connecticut |
Duke |
Michigan St./Oklahoma St. |
2000 |
Michigan St. |
Florida |
North Carolina/Wisconsin |
2001 |
Duke |
Arizona |
Maryland/Michigan St. |
2002 |
Maryland |
Indiana |
Kansas/Oklahoma |
2003 |
Syracuse |
Kansas |
Marquette/Texas |
2004 |
Connecticut |
Georgia
Tech |
Duke/Oklahoma
St. |
2005 |
North Carolina |
Illinois |
Louisville/Michigan
St. |
2006 |
Florida |
UCLA |
George Mason/Louisiana St. |
2007 |
Florida |
Ohio St. |
Georgetown/UCLA |
2008 |
Kansas |
Memphis |
North Carolina/UCLA |
2009 |
North Carolina |
Michigan St. |
Connecticut/Villanova |
2009年の大学(
NCAA Div. I )男子バスケットボールはノースカロライナ大学の優勝で幕を閉じました。ノースカロライナ大学の優勝は5回目で、通算勝利も第1位のケンタッキー大学に後4勝に迫りました。地元ローリー&ダーラム(トライアングル地区)には名門私立デューク大学もあり、両校合わせると過去14年間に優勝が3回、ファイナル4には9回も駒を進めたことになります。
一方、私たちの地元ケンタッキー州レキシントンもローリー&ダーラムに負けず「バスケ気違い」だらけの街。思い起こせば、ケンタッキー大学は、私が赴任してきた翌年から、優勝-準優勝-優勝と、第二期黄金時代を迎えたかに見えたのですが、それからさっぱり。しかし、市民を裏切り続けたケンタッキー大学は、ついにメンフィス大学から実力コーチを引き抜いて、ノースカロライナ大学に挑戦状を叩きつけたのです。来年のトーナメントは、一段と盛り上がるに違いません。
大学男子バスケットボールの世界はコーチ次第。実力コーチの元には強い選手が集まってきます。今回は大学男子バスケットボールのコーチについて勉強してみました。
第2表
大学男子バスケットボール各校通算成績
|
大学
|
通算勝敗
|
勝率
|
全米優勝
|
1
|
Kentucky
|
1988-635
|
75.8%
|
7回…1948-49/1951/1958/1978/1996/1998
|
2
|
North
Carolina
|
1984-703
|
73.8%
|
5回…1957/1982/1993/2005/2009
|
3
|
Kansas
|
1970-793
|
71.3%
|
3回…1952/1988/2008
|
4
|
Duke
|
1876-815
|
69.7%
|
3回…1991-92/2001
|
5
|
Syracuse
|
1753-806
|
68.5%
|
1回…2003
|
6
|
Temple
|
1711-960
|
64.1%
|
|
7
|
St. John's
|
1686-868
|
66.0%
|
|
8
|
UCLA
|
1672-726
|
69.7%
|
11回…1964-65/1967-73/1975/1995
|
9
|
Pennsulvania
|
1657-949
|
63.6%
|
|
10
|
Notre Dame
|
1651-908
|
64.5%
|
|
11
|
Indiana
|
1641-909
|
64.4%
|
5回…1940/1953/1976/1981/1987
|
第3表
第2表で朱記表示した各大学の黄金時代を築いたコーチです。
大学
|
コーチ
|
コーチ暦
|
通算勝敗(勝数)
|
通算勝率
|
全米優勝
|
Kentucky
|
Adolph Rupp
|
1930-1972
|
876-190(3位)
|
82.2%
|
4回
|
North Carolina
|
Dean Smith
|
1961-1997
|
879-254(2位)
|
77.6%
|
2回
|
Duke
|
Mike Krzyzewski
|
1975-現役
|
833-274(4位)
|
75.3%
|
3回
|
UCLA
|
John Wooden
|
1946-1975
|
671-161(21位)
|
80.7%
|
10回
|
Indiana
|
Bob Knight
|
1965-2008
|
902-371(1位)
|
70.8%
|
3回
|
デューク対ノースカロライナ
デューク大学 |
|
コーチ
K
(マイク・シャゼフスキー) |
ノースカロライナ大学 |
|
|
ディーン・スミス |
ロイ・ウィリアムズ |
州都ローリー(Raleigh)とデューク大学があるダーラム(Durham)はノースカロライナ州の中央部にあります。ノースカロライナ大学のチャペルヒル(Chapel
Hill)と合わせてこのあたりはトライアングル(The
Triangle)と呼ばれる南部大西洋岸で先進産業を牽引する豊かな地域です。
そのトライアングル地区住民を熱狂させてきたのが、ノースカロライナ大学とデューク大学の宿命の男子バスケ対決…それを支えてきたのが歴代の名コーチです。
デューク大学のマイク・シャゼフスキーは名前の読み方も難しいので「コーチ
K」の愛称で親しまれています。通算勝利は、今のところ歴代4位ですが、まだ62歳で引退する年ではありませんから、3年もすればトップになることは間違いありません。2008年の北京五輪ではオリンピック・チームのコーチを務めました。
ノースカロライナ大学男子バスケの礎を築いたのは、「伝説のコーチ(Coaching
Legend)」ディーン・スミス…今では当たり前に使われている数々の戦法や技術を最初に工夫して編み出した人物です。
そのノースカロライナ大学の栄光を引き継いだのは、ディーンの愛弟子ロイ・ウィリアムズ(58歳)です。カンザス大学のコーチを経て、2003年に現職に就任しました。現役コーチの中で、唯一8割を越す通算勝率を誇っています。
第4表 現役コーチ
順位はスポーツ関連HPがそれぞれに評価したコーチの実力順です。
(SN:
Sports News, CS: College Sports, SF: Sparty & Friends)
コーチ
|
大学
|
順位
|
通算
勝敗
|
通算
勝率
|
大学男子バスケ戦歴
|
SN |
CS |
SF |
Tom Izzo
|
Michigan State
|
@ |
G
|
A |
336-137
|
71.1%
|
優勝…1回/ファイナル4…5回
|
Mike
Krzyzewski
|
Duke
|
A |
@
|
E |
833-274
|
75.3%
|
優勝…1回/ファイナル4…3回
|
Roy Willams
|
North Carolina
|
B |
A
|
@ |
594-138
|
81.1%
|
優勝…2回/ファイナル4…5回
|
Rick Pitino
|
Louisville
|
C |
C
|
D |
553-191
|
74.3%
|
優勝…1回/ファイナル4…2回
|
Jim Calhoun
|
Connecticut
|
D |
E
|
C |
805-341
|
70.6%
|
優勝…2回/ファイナル4…3回
|
John Calipari
|
Kentucky
|
E |
F
|
-
|
446-139
|
76.2%
|
ファイナル4…2回
|
Bill Self
|
Kansas
|
F |
-
|
F |
376-144
|
72.4%
|
優勝…1回
|
Ben Hawland
|
UCLA
|
G |
H
|
I |
309-147
|
67.8%
|
ファイナル4…連続3回
|
Jim Boeheim
|
Syracuse
|
H |
-
|
H |
799-288
|
73.5%
|
優勝…1回/ファイナル4…2回
|
Billy Donovan
|
Florida
|
I |
B
|
B |
317-132
|
70.4%
|
優勝…連続2回
|
Gary Willims
|
Maryland
|
-
|
-
|
G |
625-357
|
63.6%
|
優勝…1回/ファイナル4…1回
|
Lute Olsen
|
Arizona('08引退)
|
-
|
I
|
-
|
781-280
|
73.6%
|
優勝…1回/ファイナル4…4回
|
Bob Knight
|
Indiana('08引退)
|
-
|
D
|
-
|
902-371
|
70.8%
|
優勝…2回/ファイナル4…2回
|
ケンタッキー対ルイビル
リック・ピティーノ
現ルイビル大学コーチ
|
ジョン・カルパーリ
前メンフィス大学コーチ
|
ケンタッキー大学の黄金時代を担ったのは、名将アドルフ・ラップです。第二期黄金時代を築いてくれると期待したリック・ピティーノ(56歳)がNBAに引き抜かれ、レキシントン市民ががっかりしたのは1997年のことでした。
その後、後任のタビー・スミスがピティーノに鍛えられた選手を率いて優勝した1998年に一時楽観ムードも漂いましたが、タビーは選手と市民の支持を得られずに2007年に辞任。次のビル・ギリスピーは話にならない惨憺たる成績で2年で契約打ち切り…このところは、ケンタッキー大学の正に「失われた10年」だったのです。
そこで起死回生とメンフィス大学からヘッドハントしたのがカル(=ジョン・カリパーリ50歳)。現役コーチではノースカロライナ大学のロイに次いで通算勝率第2位の実力者です。
第5表 ケンタッキー大学歴代コーチ
在任期間
|
コーチ
|
勝敗
|
勝率
|
1931-72(41年)
|
Adolph Rupp
|
876-190
|
82.2%
|
1973-85(13年)
|
Joe B. Hall
|
297-100
|
74.8%
|
1986-89
(4年)
|
Eddie Sutton
|
88–39
|
69.3%
|
1990-97
(8年)
|
Rick Pitino
|
219-50
|
81.4%
|
1998-07
(9年)
|
Tubby Smith
|
263–83
|
76.0%
|
2007-09
(2年)
|
Billy Gillispie
|
40-27
|
59.7%
|
2009-
|
John Calipari
|
0-0
|
-
|
実は、ピティーノとカルは1996年の準決勝で対決した宿敵の仲。当時のカルはマサチューセッツ大学コーチで、シーズン後にニューヨーク・ジェッツのコーチに転進したのですが、よい成績を残せずに3年でNBAを去り大学バスケに復帰します。
ケンタッキー大学を優勝させたピティーノは、翌年準優勝の後、NBAボストン・セルティックスのコーチに就任しましたが、こちらも成績不振により4年で解雇…いまさらケンタッキー大学には帰れずレキシントンのお隣ルイビルのルイビル大学コーチの職を得たのでした。
心の底では、いつかピティーノに戻ってきてほしいと願っていたレキシントン市民は、よく似た経歴のカルがやって来るという朗報に久々に盛り上がっています。(2009年4月記)
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