昨年(2011年)、わが家の近所に交錯ダイヤモンド型立体交差(DDI = Diverging Diamond Interchange)というなじみのない名前の立体交差ができました。ヨーロッパでは早くも1970年代から使われていた方式ですが、アメリカでは2009年から導入され始めた方式でまだ両手の指で足りるほどの数ですが、内陸部で徐々に普及してきています。

 以前は「イケイケ」で立派な道路を作ってきた地方都市でも、最近はコスト意識が強まって安上がりで実利優先の道路を作るようになって来ました。多様なパターンの交差点に惑わされないようご注意。


信号がない立体交差


多重型

クローバー型

簡易クローバー型

 立体交差の方式は数限りなくありますが、高速道路を何層も重ねて車をスムーズに流す理想的な立体交差は多重立体交差(Stack IC)と呼ばれています。

 クローバー型(Cloverleaf IC)も信号のない立体交差ですが、進入車線と退出車線が共用ですから、入ってくる車と出ていく車が交錯して少し危険です。

 交通量が少ない田舎の高速道路には、さしづめ「ダンゴ型」とでも呼びたい簡易クローバー型のインターチェンジがあります。進入・退出車線が短くて、大型トレーラーとかちあったりすると間合いを取るのに苦労します。


ダイヤモンド型立体交差


ダイヤモンド型

交錯ダイヤモンド型

一点ダイヤモンド型

 冒頭にご紹介した立体交差はダイヤモンド型立体交差の変形です。ダイヤモンド型は、高速道路と地域の幹線道路が交差する場所でよく使われます。

 何といってもインターチェンジの用地を節約できる点が長所ですが、信号が障害になって、下道(一般道路)の交通が渋滞してしまうのが難点です。

 比較的交通量の少ない所では、一点ダイヤモンド型(Single Point Diamond IC)を導入すると車の流れがよくなります。しかし、交通量が多い所ではどうして渋滞を解消しましょう? 

 そこで、答として登場したのが交錯ダイヤモンド型です。下道(一般道路)の左右をよじるように交錯させると信号が2つあっても車の流れがスムーズになります。スピードを出しにくいので、交通事故が減る効果もありますが、周辺住民が慣れるまでの最初の半年は逆に事故が増加することもあります。


ロータリー交差点(ラウンドアバウト)


一般交差点

ロータリー交差点

 ロータリー交差点(ラウンドアバウト)は、イギリスやヨーロッパの国々に多い交差点ですが、アメリカでは、田舎町の市庁舎広場をぐるりと取り囲むケースのほかにはあまり見かけません。観光地でロータリー交差点に出会うと、アメリカ人観光客も勝手が分からず右往左往していますから、とても危険です。

内側は直進・左折・Uターン、外側は右折・直進のレーン

 車線が1本のロータリー交差点はあまり問題ないのですが、車線2本の場合は、内回りと外回りの車の息が合わずにぶつかるケースが多いので、十分気をつけてください。

 交差点を出るタイミングを逃したら、もう1周するくらいののんびりした運転を心がけましょう。私自身は、なるべく危険回避の自由度の高い外側のレーンを選んで運転しています。

 ただし、中には内外のレーンの棲み分けを指定しているロータリー交差点もありますから、標識に出くわしてあわてないでください。「ナビ」付きでも、初めての観光地に車で出かける時は、Googleマップなどで主要交差点の事前調査をしておきましょう。ロータリー交差点が十字路ではなくて、五叉路や六叉路だったりすると、頭がパニックになってしまいますよ。


ミシガンレフト


ミシガンレフト…他州では「ミディアンレフト」と呼ばれることが多いようです。

 ミシガン州には、「ミシガンレフト」と呼ばれる渋滞回避システムがあります。「左折」で車の流れが滞らないように、「左折」を「右折」と「Uターン」に分解した交差点です。

 左折車は、交差点で直接左折することができません。いったん@右折してUターン専用レーンに入り、次にAUターンしてもとの交差点を直進で通過します。

 一般に、複数レーンの道路で、写真のように中央分離帯で仕切られています。1960年代にデトロイトで導入されたのが始まりで、ミシガン州では700以上の交差点で「ミシガンレフト」が採用されています。

 最近は海外や他州からも注目されるようになり、2010年にはテキサス州ダラス‐フォートワースで、日本人の皆さんも多数住んでおられるプレノ市の交差点(⇒Googleマップ)で導入されています。


テキサスUターン


 最後にご紹介するのは「テキサスUターン」です。テキサスの大都市の高速道路は、地表より一段掘り下げた谷を走っていることがよくありますが、このような場所では、昔の一般道路が高速道路の左右に側道の形で残されています。

 まるで「川」の両岸が一方通行になっているようなもので、道を戻るには、次の橋(一般道路)でUターンして対岸に渡るしかありません。しかし、Uターン車の信号を設けると、橋(一般道路)で車が渋滞してしまいますから、手前にUターン専用レーンを設けました(⇒Googleマップ)。

 ダラス‐フォートワースやヒューストン、オースティン、サンアントニオ、エルパソなどテキサス州の都市のほか、オクラホマ州のオクラホマシティやタルサ、ミシシッピー州ジャクソン、ルイジアナ州ニューオリンズ、ジョージア州アトランタ、ミズーリ州セントルイス、アーカンソー州リトルロックで導入されています。


 側道は、わが家の近所でも、市内繁華街の道路の脇にも設けられています。今のような大ショッピングモール全盛になる前に幹線道路沿いのお店をつなぐ便利な道だったのでしょうが、中にはうろうろしている車もありますから、お気をつけください。特にクリスマス前には、高齢者のドライバーも、大勢街に繰り出してきます。