エルニーニョ(El Niño)とラニーニャ(La Niña)という言葉をご存じですか?スペイン語で男の子(神の子)と女の子…エルニーニョは、もとはエクアドルやペルー沿岸の漁民が、クリスマスの頃にやってくる暖流に名付けた言葉です。エルニーニョが来るとその後は数ヶ月にわたって漁獲が減り、漁民はしばしば漁を休み陸で漁具の整備をするのが常でした。しかし、時には5〜6月まで高海温が続いて漁民が長く苦しむ年もあることから、次第に、現代のエルニーニョ現象を指す言葉に使い方が換わってきたのだそうです。 太平洋の海水温 気象や海洋の専門家が研究するようになってきてから、エルニーニョは、赤道に近い東部・中部太平洋の広い範囲の海水温が上昇する現象で、原因は解明されていませんが、世界中の気象に強い影響を及ぼしていることが分かってきました。反対に、東部・中部太平洋の海水温が低下する現象のことは、ラニーニャと呼ばれています。 最近の世界の海温を示すアメリカ国立気象局(NOAA)の図をごらんください。その下の典型的なエルニーニョとラニーニャの時期の海温と比べてみれば、専門家でなくても、今がエルニーニョなのかラニーニャなのか判断できそうなくらいです。 ========== ≪世界の最新の海水温≫ ========== 常に最新の様子が表示されます…資料:NOAA ハリケーンとラニーニャ 気象専門家によって判定は多少違いますが、日本の気象庁によれば、今(2010年夏)は、1991年から数えて4回目のエルニーニョが春に終わり、休む間もなく5回目のラニーニャに移行しているところです。
ラニーニョの年には、過去に巨大ハリケーンが数多く発生していますから、フロリダやメキシコ湾沿岸、大西洋沿岸地方にお住まいの方は警戒してください。 ハリケーンカトリーナがニューオリンズを襲った2005年は、熱帯暴風雨の発生件数でも観測史上最多でしたが、1995年も観測史上第3位の当たり年でした。1999年はカテゴリー4以上の強いハリケーンの数で、2005年に肩を並べてトップ。2007年は数こそ少なかったものの上陸した中では観測史上第3位に当るハリケーンが来襲し、1998年には最後のハリケーンが季節外れの12月まで暴れました。 冬のジェット気流 エルニーニョの冬には、亜熱帯ジェット気流の勢いが増しアメリカ南部に強い寒気をもたらしますが、北部の寒さは所により和らぐようです。ラニーニャの年の冬には、北太平洋に強い高気圧が発生し、寒帯ジェット気流が大きく迂回するのでアメリカの南東部を中心に暖冬になります。 エルニーニョとラニーニャのケース別 冬のジェット気流
北アメリカの冬の寒暖 どの地域がどれくらい暖かくなったり寒くなったりするかは、下の図でごらんください。1948年から2006年の間に、普通の冬が38回、エルニーニョの冬(左図)が10回、ラニーニャの冬(右図)が11回あったそうです。中央の図は、普通の冬(平年)に最高気温と最低気温が摂氏でそれぞれ氷点下になる日数で、左図は平年の氷点下日数とエルニーニョの年の氷点下日数の比較、右図は平年の氷点下日数ラニーニャの年の氷点下日数の比較ですが、大雑把に見るなら、暖色表示の地域は暖冬、寒色表示の地域は厳冬ということになります。
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