アメリカ本土の地形図
「分水嶺」という言葉をご存知ですか?水は高い所から低い所に流れますが、雨水が右に流れるか左に流れるか決めている山の尾根が「分水嶺」です。日本の本州の場合には、雨水を太平洋側と日本海側に二分する中央分水嶺がど真ん中を走っています。 知っているようであまり知らない北米の地理を大づかみに理解するには、この「分水嶺」を見るのが一番です。雨水の流れは小さな島でも大きな大陸でもあまり変わらないようで、北米の分水嶺はたったの4つしかありません。 ● 大分水嶺(Great Devide) 南北アメリカ大陸を貫くロッキー山脈の尾根 ● 北部分水嶺(Northern Devide) ローレンシア台地と米加国境の氷河湖地帯 ● 東部分水嶺(Eastern Devide) アパラチア山脈の尾根 ● セントローレンス水道分水嶺 五大湖周辺-アパラチア山脈 ハートランド 東部分水嶺(アパラチア山脈)の東に降った雨は、大西洋に流れ込みます。 ロッキー山脈とアパラチア山脈に挟まれたアメリカのハートランド(Heartland=心のふるさと)に降る雨水のほとんどがメキシコ湾に注ぐのですが、さらに、その大半が全てミシシッピー川に流れ込みます。ミシシッピー川の巨大さには、アメリカとメキシコの国境を流れるリオグランデ川でさえ比較になりません。 五大湖周辺 五大湖は、ご存知の通り、氷河が作った世界最大の淡水湖です。五大湖周辺の降水は、ローレンシア大地とアパラチア山脈に挟まれた地域を通ってセントローレンス湾に流れ出ます。ローレンシア大地の北に降った雨水は北極海に注ぎますが、この北部分水嶺こそ、アメリカとカナダの自然国境です。 フランス人の毛皮商や宣教師は、カナダから五大湖経由でミシシッピー川を下りフランス領ルイジアナを築きました。ニューヨークは、19世紀初頭にできたエリー運河で五大湖と結まれ、中西部の産物をヨーロッパや東部沿岸に積み出す港として発展しました。 西部山岳地帯 ロッキー山脈の西の水の流れは少し複雑です。ユタ州の西部とネバダ州の大半…ロッキー山脈とシェラネバダ山脈に囲まれた地域は大盆地(グレート・ベースン=Great Basin)と呼ばれる大乾燥地帯で、海に通じる川はありません。 ソルトレイクシティのそばのグレートソルト湖も、カスピ海や死海と同じく塩分の濃い内陸湖です。大盆地の北の河川は太平洋に通じ、大盆地とロッキー山脈のはざまを流れるコロラド川は、メキシコ国境を越えてカリフォルニア湾に注いでいます。 というわけで、分水嶺が4つなら北米の地理を理解するキーも4つ…@西部山岳地帯Aアパラチア山脈B五大湖Cミシシッピー川の4つの要素に注目して、北米の地理を理解していくことにしましょう。 |