アメリカの 「季節と行事」・e-ガイド(印刷ページ

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イースター(キリストの復活祭)

★春分後の最初の満月の次の日曜日 ★イースターエッグとイースターバニー


春分後の最初の満月の次の日曜日


チョコレートのイースター・エッグ

 イースター(Easter=復活祭)はキリストの復活を祝うキリスト教の行事ですが、語源をたどればヨーロッパ(ゲルマン民族)の春の女神「エオストレ(Eostre)」に由来するそうですから、もともと春の訪れを祝うお祭があってキリスト教の儀式と結びついたということなのでしょう。

 キリストが処刑されたのは金曜日。ユダヤ教安息日(人命救助以外の一切の労働が禁止されている日)の土曜日に遺体は墓場に終日安置されて過ごし、安息日明けの日曜日に生き返ったということで、信者の方々には格別重要な週末…金曜日の「グッド・フライデー」から日曜日の「イースター・サンデー」を連休にする会社も多くあります。

 日付は「春分後の最初の満月の次の日曜日」と決まっているのだそうで3/22〜4/25の間で毎年変わるのですが、その由来も複雑な計算をしないことには分かりません。そもそもキリストが磔にされたのは俗説のように「13日の金曜日」ではなく、ユダヤの春のある「ニサンの月」の14日ないし15日(ユダヤ暦は日没で日が改まるそうです)…「過ぎ越しの祭」の当日らしいのです。

 そこで、初期のキリスト教の教会では、ユダヤ教の「過ぎ越しの祭」と同じ頃、個別ばらばらイースターを祝っていましたが、4世紀始めに教会の首脳が集まって「春分(太陽暦の3月21日)後の太陰暦ニサン14日の次の日曜日」と極めて計算しにくい日に統一したのだそうです。さすがに不評だったのか、中世になって西欧では現在の定義に変更されました。東欧では正教会が未だにユリウス暦を使っていて、イースターも別の時期にお祝いしているのだとか、やれやれ...。

(注)カラー70ミリ大画面草分けの名画「十戒」をご存知ですか?5千年の昔、エジプトに抑留されていたユダヤ人が預言者モーゼに率いられて「神の約束の地」パレスチナへ向かおうとしますが、ファラオ(王)の妨害にあって苦労します。 そこで、神は「エジプト全土の赤ちゃんの命を奪う」罰を与えることにしますが、モーゼには「戸口に羊の血で印をつけた家に災いは来ない(過ぎ越す=通り越す)」とこっそり教えたのです。ファラオの子も含む赤ちゃんが死んでしまう中、ユダヤ人の家に不幸は起こらなかったというのが「過ぎ越しの祭り」の起源です。


イースターエッグとイースターバニー


 イースターのスターは、イースター・エッグを運んでくると言われるウサギさん(イースター・バニー)です。イースター・エッグはきれいに彩色したり包装をほどこされたゆで卵…最近は、ゆで卵の代わりに卵形の容器に入ったお菓子とかチョコレートとか代用品が花盛りです。あらかじめ庭や室内のあちこちに隠しておいて、子供たちに探させるゲームが行われます。

 ゆで卵の起源もウサギの由来も、大げさな説明が多くて細部はあまり信用できません。でも、卵はあらゆる生命誕生のシンボルですから、キリストが生き返った奇跡と春が来て大地に息吹が戻ってきた自然の恵みに感謝する小道具としては、古来、最適なのです。

 イースターバニーは、子供たちがイースター・エッグを探しているときにたまたま現れた野ウサギが発端で、「ウサギがタマゴを持ってきた?」という勘違いからいつの間にか「イースター・エッグの運び屋さん」になったのかもしれません。皆さんも運がよければ、どこかでサンタクロースのような大きな着ぐるみのウサギに出会って、お子様にイースター・エッグやお菓子をプレゼントしてもらえますよ。