フルトンが、ハドソン川で蒸気船(Steamboat)の商業航行を始めたのは1807年、これによりニューヨーク-アルバニー間の240q(150マイル)が32時間で結ばれたのだそうです。それから、たった4年後の1811年にはピッツバーグからニューオリンズまでの定期航路が開かれました。
当時の蒸気船は、水車のような櫂(かい)で水をかき分けて進む外輪船(Paddle Wheeler)。1853年にペリーが率いて日本に来航した黒船も、主要艦は(帆走もできる)外輪式蒸気船でした。外輪船は推進力で劣り、外洋の激しい波や(戦争では)敵の攻撃に弱い欠点がありました。19世紀の半ば頃から外洋では次第にスクリュー式蒸気船(Steamship)が活躍するようにになっていきますが、川底の浅いミシシッピー川には外輪船が引き続き有利で、20世紀初頭まで流域の貨物輸送の主役を果たし続けたのだそうです。 レトロな外輪式蒸気船
残念ながら、今日まで運行を続けている船は多くありません。博物館やカジノ・ホテルとなって今は眠っているものを含めても、大型蒸気船は十数隻…一見、蒸気船風に煙突も付いていますが実はディーゼル・エンジンの観光船(Riverboat)もありますから、注外見でだまされないよう注意してください。 注 シンシナティの観光船「ベル・オブ・シンシナティ号(Belle of Cincinnati)」もディーゼル船です。スピードはは蒸気船に勝るようですから、煙を吹き上げないというだけで、雰囲気を味わうだけなら特に変わりありません。
STEAMBOATS.ORGという外輪式蒸気船のホームページで、もう少し勉強してみました。外輪式にも、昔は左右の舷(げん)に2基の水車のような推進器をつけた舷側外輪船(Sidewheeler)と船尾に1基の幅広のプロペラを付けた船尾外輪船(Sternwheeler)の2種類があったのですが、現在も運行を続けている大型蒸気船6隻は全て船尾外輪船です。 その中で、まだ蒸気船が元気に活躍していた時代に建造された2隻、ベル・オブ・ルイビル号(Belle of Louisville)とデルタ・クイーン号(Delta Queen)は特別です。1963年以来、毎年4月にルイビル付近のオハイオ川において「大蒸気船競走(Great Stermboat Race)」でサシの対決を繰り返してきました。 ところが、その片割れのデルタ・クイーン号が当局の勧告で今年を限りに引退する運命とか…国定歴史建造物(National Historic Landmark)にも指定されているこの老朽船を救おうという声がここかしこに沸き起こっています。でも、これまでも度々引退を延期してきたのだそうですから今度という今度はもう無理かもしれませんね。 現役蒸気船
ミシシッピー川流域クルーズ
非常に残念ですが、ミシシッピー川流域クルーズをしていた会社が売りに出されてしまって、2009年のクルーズは取敢えずお休みです。でも、宣伝ビデオは未だ健在…豪華な船内やお食事、沿岸の街の様子をお楽しみください。 2008年のクルーズで運行された蒸気船はデルタ・クイーン号(定員174名)、クイーン・オブ・ザ・ウェスト号(定員436名)、アメリカン・クイーン号(定員142名)の3隻。お値段は、お部屋によって違いますが、1週間でお一人様2千〜5千ドルでした。 クルーズのコースは、ニューオリンズからメンフィスまでミシシッピー川下流の流域を巡る「アメリカの史跡(American Heritage)」、セントルイスからからミネソタまでミシシッピー川上流の流域を巡る「アメリカのハートランド(America's Heartland)」、ナッシュビルからピッツバーグまでオハイオ川などミシシッピー川の支流を巡る「アメリカ発見(American Discovery)」に三大別されていました。 Majestic American Lineのコース例
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