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クローン・クラブ

★違法ギリギリのコピー ★安物クラブで技術は向上


この記事は、現在編集中です。

 クローン・クラブという言葉をご存知ですか?クローンといえば、本物と同じ遺伝子から生まれたコピーの生物ですが、クローン・クラブは一流メーカーのゴルフ・クラブを真似て作った偽物のウッドやアイアンです。非合法すれすれの商品のような気がしますが、アメリカでは、結構、売れているのでしょうか?インターネットで探すと、クローン・クラブの専門サイトが簡単に見つかります(clonegolfclubs.netgolfclubclone.com, valuegolfclubs.com ほか)。クローン・クラブを売る業者の大部分は、もとはといえば偽物を売るつもりは毛頭なく、クラブのヘッドやシャフト、グリップなどをお客様のスイングに合わせてカスタム・メードするお店だったようです。ただ、最近は、部品を作るメーカーが、一流メーカーの製品に外見まで瓜二つのクラブ・ヘッドを作るようになったのが大きな変化です。以下は、私の体験談です。

=========≪体験談========= 

 夏の終わりに、8番アイアンをなくしてしまいました。クラブをなくしたのは、今回が初めてです。愛用のクラブを求めてゴルフ・ショップめぐりをしたのですが、6年前のクラブはもう製造中止でメーカー在庫もないとの冷たい返事です。ロスト・クラブを買うホームページを見つけて該当のアイアンを探すと、何と3番から7番までは売りに出ているのに8番がな〜い。

 途方にくれて街をうろうろするうちに、中古のスポーツ用品を安く売っているお店に行き当たりました。「8番アイアンをなくしたんだけど...。」と言ったら「ばら売りしてるからどれでも持ってきな」…見ると、棚に、番手別にきれいに整理されてアイアンやウッドが陳列されています。でも、なくしてしまった8番と全く同じクラブはありません。8番だけ別のモデルにするわけにもいかず、あきらめて立ち去ろうとしたその時です。

 「うん?」、Nikeの最新ドライバーのヘッドが「さらし首」のように置いてあるのが目に入りました。「何、これ?」と聞くと「Nikeのクローンさ、好きなシャフトと組み合わせて作ってあげるよ」。よく見ると、確かにNikeのロゴが例のチェック・マークではなくてアルファベットの「V」風。気がついてあたりを見回すと、あるあるTaylor MadeやPINGのそっくりさん…昔のクローンは、ロゴまでは真似していなかったのに、いつからこれほど大胆になったのでしょう。普通は千ドル以上の最新アイアンセットが、クローンならたったの2百ドル。

 どうやら(8番が1本足りないだけでも)新しいアイアンをセットで買わなければならない運命は決まり。どうしても買いたいアイアン・セットがあるわけでもなく、スッキリしない事情で高いクラブを買うよりは取敢えず安いクローンを間に合わせに買ってみようか…「にいちゃん、それで作って」。Taylor Madeの「r7」ならぬTaylor Madeもどきの「7」アイアン、「材質は同じだよ」と言われて半信半疑ながらも、「信じる者は救われる」かな?

 試打場で、スイングのヘッド・スピードを計ります。「標準より速い、まだ若いよ」と誉められて勧められるままにスチール・シャフトを選びました…一貫性に欠けてますね。長さを身長に合わせて作ってくれるのは、本物の既製品にない良いところ。グリップは、追加料金を払って柔らかい高級品を指定しました。それから、待つこと1週間、自分で白状しない限りばれないTaylor Madeまがいのアイアン・セットを引き取ることができました。言い忘れましたが、このお店は、古いクラブを(下取りでなくても)買い取ってくれます。もう売れないだろうとあきらめていたクラブを何本か持ち込んだので、実質ただで買ったようなものです。

 「クラブの性能ですか?」…「本物」と比べていないのでよく分かりません。でも、見た目が変わらないので「本物」同様に頼もしく感じます(メッキはいかにも安物で、ボールが当る部分についてはすぐに地肌が出てきました)。

 いずれにせよ、クラブが変われば自然にスイングも変わります。今回はアイアンのシャフトが、グラファイトからスチールになったので、しっかり腰を入れないといい打球が打てなくなりました。簡単に打てるのがいいクラブというなら私が買ったクローンは駄目なクラブですが、難しいクラブは、マンネリを打破して、ゴルファーにスイングの改造をうながしてくれます。

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 結果的に、この時に買ったクローン・クラブは私の3代目の愛用アイアンになってしまいました。なくしたアイアンも、後でインターネットのロストクラブ・サイトで見つけて取り寄せることができました。今では、もう若い頃のように次々にクラブを変えたりしないで、自分の腕を磨くことに専念しています。