最高級/高級/一流/中流…デパートにも「格」があります

　全米小売業トップ50を見てショッピングのお勉強

　知らない街の様子を思い浮かべるには、地図でどのあたりにどんなお店があるのか見るのが一番です。ホームページ｢e-ガイド｣の各地のページには観光スポットや和食レストランなどを書き入れた手作りの地図を載せていますが、それとは別に、ボタンをクリックしたら、スーパーやドラッグ・ストア、マクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン、ピザ、コーヒー店、アイスクリーム・パーラーの場所を示すgoogleマップにジャンプする便利な機能を設けました。｢街を散策｣をクリックすると、街頭の写真や動画を見ることもできます。遊びやお仕事でお出かけの前には、忘れずにご利用ください。周辺の小さな町の情報もgoogleマップを使って増やしていきます。

スーパーとディスカウントストア、会員制クラブ

　スーパー（=スーパーマーケット）は、もともとはセルフ・サービスの食料雑貨店（Grocery Store)として始まったビジネス、品揃えは食料品と日用品が中心です。全米小売業トップ50社の中にも多数のスーパーが名を連ねています（下表ご参照）。

　スーパーごとに出店地域が違うので聞いたことがない名前もおありでしょうが、クローガー、スーパーバリュー（ＡＣＭＥ/セーブ-ア-ロット）、セーフウェイ、パブリックス、アホルド（ストップ＆ショップ/ジャイアント）、デルハイズ（フードライオン）、Ｈ-Ｅ-Ｂ、ジャイアント・イーグル、ウィン・ディキシーの9社。このほか、イリノイ、インディアナ、テネシー、ミシシッピー、ミズーリ、アイオワ、ウィスコンシンにお住まいの方には、シュヌックス（Schnucks）がお馴染みでしょう。地方の小さな町で見かけるＩＧＡという名前がつくスーパーのほとんどは個人オーナーの経営で、独立スーパー連合(Independent Grocers Alliance）加盟店です。

　ディスカウントストアとは、手頃なお値段の品物をそろえた百貨店という意味で、正しくはディスカウント・デパートメントストアと呼ばれていたのだそうです。最盛期の60年代には数百社もあったディスカウントストアも寡占化が進み、今では、小売業で世界トップに君臨するウォルマートと、デパートのシアーズ・グループが経営するＫマート、それにターゲットとの３社を数えるだけです。

　最近はスーパーとディスカウントストアの垣根がなくなって、ハイパーマーケットと呼ばれる新形態の大店舗がどんどん増えてきました…日用品以上の豊富な品揃えをしたスーパーないし本格的な食品売り場を持つディスカウントストアのことです。ウォルマートのスーパーセンター、スーパーＫマートにスーパー・ターゲット、ハイパー専門のメイヤー（Meijer=ミシガン、イリノイ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキー）や、スーパーのクローガー傘下のフレッド・メイヤー（Fred Meyer=北部太平洋沿岸部）、スーパーバリュー系列のビッグズ（bigg's=シンシナティ周辺）などなど（ウォルマートは、それに加えてネーバーフッドマーケットというスーパー・スタールの新店舗を展開して、既存スーパーのお客様を奪おうと貪欲です）。

　会員制クラブ（Membership Warehouse Club)のサムズクラブもウォルマート系列です。日本でも、米系のコストコやフランス系のカルフールが進出したので皆さんもご存知でしょうが、とんでもなく広い倉庫状の建物に商品が天井までうず高く積み上げられています。

会員制のBJ's Wholesale Club店内

　スーパーやディスカウントストアに比べて商品の包装単位が大きいので、少人数の家庭の食材の買物には向かないかもしれませんが、とにかく安いので助かります。商品の多様性では一歩譲りますが、質は決して悪くありません。従業員の福利厚生のために法人会員になっている会社もあるようですが、個人で会員になっても年会費は高くありませんから安心してお申込みください。身分証のようなカードを発行してくれます。サムズやコストコのほかに、東部中心のビージェーズ・ホールセールクラブがあります。

自然食品とグルメ

　特殊なスーパーとしては、自然食品のホールフーズ・マーケット（Whole Foods Market）やグルメ高級食品のフレッシュ・マーケット（Fresh Market）が店舗網を拡大しています。

　オンライン・デリバリーのスーパーはブームが去って、ひとり生き残ったピーポッド．コム(Peapod.com)も買収されてアホルドの傘下に入りました。

ドラッグストアとコンビニ

　ドラッグストアは、ちょっとした日用品を売る薬局（ファーマシー=Pharmacy）です。ディスカウントストアやスーパーが、ほぼ例外なく薬局を持っていますから、食料品を売っていないスーパーという方が分かりやすいかもしれません。

　薬局の使い方については｢暮らしのe-百科…医療と健康のページ｣をごらんになってください。

　ドラッグストアから薬局を取り去ればコンビニ…普通はガソリンスタンドとセットです。全米小売業トップ50にランクされるドラッグストアはCVS、ウォルグリーンズ、ライトエイドの３社、コンビ二はセブンイレブンとサークルＫ、カンガルーです。

デパートとオフプライス

　少し無理があるかもしれませんが、Ｗｉｋｉｐｅｄｉａの記事を参考にアメリカのデパートを４階層に分けると次のようになりました。お店の地域によっても品揃えが違うようですから、鵜呑みにはなさらないでください。

最高級 (upscale-high end)

サックス・フィフスアベニュー（Saks Fifth Avenue）/ニーマン・マーカス（Neiman Murcus）/バーニーズ・ニューヨーク（Barneys New York）/バーグドルフ・グッドマン（Bergdorf Goodman）

高級 (upscale)

ブルーミンデールズ（Bloomingdale's）/ロード＆テーラー（Lord & Taylor）/ノーズトロム（Nordstrom）/ボン・モーア（Von Maur）

一流 (mid-scale)

ベルク（Belk）/メーシーズ（Macy's）/ディラーズ（Dillard's）

中流 (mid-range)

シアーズ（Sears）/ＪＣペニー（JCPenny）/コールズ（Kohl's）/ボン-トン（Bon-Ton）

 　オフプライスと呼ばれるお店は、ディスカウントストアと違って一流ブランドの処分品を安く売るお店です。じっくり探せば掘出し物が見つかります。ＴＪマックス（T.J. Maxx）や同系列のマーシャルズ（Marshalls）とＡ．Ｊ．ライト（A.J. Wright）、バーリントン・コートファクトリー、シュタインマート（Stein Mart）、マンハッタンのワールドトレードセンタービル跡地の前にあるセンチュリー21などです。

　お店によって、品揃えが大きく異なりますからご注意ください。レキシントンには数年前にガブリエル・ブラザーズ（Gabriel Brothers）というお店ができましたが、売られている商品はディスカウントストア・ブランドの処分品というレベル高品質の衣料に慣れた日本人消費者には、ちょっとお勧めできません。