華氏でも体温を理解する三つのキーポイント温度
平熱は98°F、100°Fは発熱状態、40°Cは104°F
5/9
なんて半端な分数を使った公式を見ると、それだけで華氏の温度を換算するのがいやになってしまいますが、歴史をさかのぼって事情を調べてみると、意外に理解しやすい算式でした。
一方の摂氏はスウェーデン人のセルシウス(中国語で摂爾修斯)氏が1742年に考案したもので、ご存知のように氷点(水の融点)を0度、沸点を100度と定めた温度目盛です。
他方の華氏はドイツ人のファーレンハイト(中国語で華倫海特)氏が1724年に提唱した温度目盛りなのですが、ご本人の説明がぶれているようで、考案した経緯の真相は分かりません。しかし、氷点と体温(血液の温度)を二進法で区切りのよい32度と96(32+64)度にしたかったこと、さらに(分度器の目盛と同じ)180度を加えた212度を沸点にしたかったことは間違いないようです。
昔は、温度に限らず測定技術が未熟でしたから、(精密測定向きの)十進法より、半分とか1/3単位で刻む大雑把な区切りが現実的な選択だったのですね。
華氏0度の由来だけは、ファーレンハイト氏が冬の特別寒い日に戸外で実際に測定した温度とか、当時、人工的に作り出すことのできた最低温を当てはめたとか、諸説の間で論争が絶えない部分です。
一種の最低温 |
|
氷点 |
|
測定した平熱 |
|
沸点 |
|
⇔ |
|
⇔
|
|
⇔
|
|
華氏 0度 ← |
32 |
→ 華氏 32度 ← |
64 |
→華氏 96度← |
180 |
→ 華氏 212度 |
(摂氏 マイナス17.8度) |
|
摂氏0度に調整 |
|
(摂氏 35.5度) |
|
摂氏100度に調整 |
その後、温度を測定する技術が向上してから、32度(氷点)と212度(沸点)を基準に華氏の温度を測り直した結果、ファーレンハイト氏が体温に合わせたかった華氏96度は、常人の体温より低い摂氏約35.5度になってしまいました。私の場合は、長い間、何となく、体温は華氏でピッタリ100度と思い込んでいたのですが、本当の華氏100度は37.8℃と、体温でいえば、病気でかなり発熱した状態です。 そもそも、華氏は、氷点と沸点(0〜100℃)の間を180で分割したのですから、摂氏と華氏の目盛りの比が100:180=5:9になるのも当然ですね。
さて、最近は、平熱の低い人が増えているそうですが、望ましい平熱といえば摂氏36.5〜36.8度…華氏に換算すると97.7〜98.2度ですから、平熱は華氏なら98度前後と覚えておくとよさそうです。
熱が摂氏40度といえば、長く続くと命に関わる危険なレベルですが、換算するとピッタリ華氏104度に当ります。つまり、アメリカ人と体温の話をするときにポイントとなる温度は次の三つです。
華氏
98度
華氏100度
華氏104度 |
(摂氏36.6〜36.7度…平熱)
(摂氏37.8度…熱がある)
(摂氏40度…危険な状態) |
わが家には、誰かにもらった華氏の体温計が1本だけありますが、いつも使うのは日本から持ってきた摂氏の体温計です。主治医に体温をたずねられ華氏で何度か説明できなかったこともありますが、クリニックでは、その場で測ってくれますからあまり困りません。でも、特にお子様がおられる方は、緊急に救急車を呼ばなければならない事態に備えて、大雑把な換算だけ頭に入れておきましょう。
|