アパラチア炭田は赤道直下の湿地に広がるシダの森林でした
北米6億年…古代超大陸が分裂⇒合体⇒再分裂
地理の知識は、現地校で学ぶお子様の役に立つだけでなく、現代の産業や経済を理解する助けにもなります。そして、北アメリカのダイナミックな山河の形成はプレートテクトニクス…太古からの大陸移動の歴史と関連付けるとよく分かります。ノーザンアリゾナ大学ロン・ブレーキー教授の古代大陸地図と2004年に放送されたNHKスペシャル「地球大進化」を頼りに北米大陸の古代史を調べてみました(大陸の呼び名などは研究者の間でも統一見解がないそうですから念のため)。
古代大陸地図の上にマウスを置くと、地図が拡大します。ただし、画面の下が狭いと画像が不安定になりますので、十分なスペースを取ってください。
地球が生まれたのは今から46億年前、最初の生命は早くも40億年前に海で誕生しましたが、地表が冷えて固まり始めたのは、それよりずっと後のことで、以来、成長しながら、4〜5億年の周期で分裂と合体を繰り返してきているようです。
ブレーキー教授の最古の地図は、6億年前にさかのぼれます。原生代の末期で、ちょうど超大陸パノティア(旧ロディニア)が分裂を始めた時期に当りますが、この頃から後の大陸移動の様子は、各地の岩石に残る地磁気の測定により、かなり正確に知られるようになってきました。
Snowball
Earth |
脊椎動物の祖先
ミロクンミンディア |
5眼の絶滅種
オパビニア
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原生代とはアメーバやゾウリムシなど原生動物の時代という意味ですが、原生代の末期には、様々な要因で地球全体が雪だるま(スノーボールアース)になっていた可能性が高いそうです。でも、生命にとって最悪の環境は、火山から噴出した二酸化炭素が蓄積して地球温暖化が進んだおかげで終わります。
次いで、光合成バクテリアが大繁殖して酸素濃度が急上昇⇒生物の進化が加速して、糸くずのような初期の多細胞生物の中からメートルサイズのエディアカラ生物群が誕生。続く古生代で、今日に残る動物の祖先と既に絶滅した奇異な生物が一つの生態系に集う「カンブリア爆発」と呼ばれる進化のピークを迎えたのです。
地質年代 |
原生代 |
古生代 |
エディアカラ紀初期 |
エディアカラ紀末期 |
カンブリア紀初期 |
大陸移動の推移
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6億年前
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5億6千万年前
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5億4千万年前
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この頃から、ローレンシア大陸(北米とグリーンランド)は超大陸から分離してバルティカ(北欧)やシベリアと共に北上します。南極を中心に残ったのはゴンドワナ大陸。北米は、その後5億年前から2億年前にかけて赤道付近にとどまり、熱帯気候の下で動植物が繁栄しました。
古生代
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カンブリア紀末期
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オルドビス紀中期
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オルドビス紀後期
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シルル紀
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5億年前
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4億7千万年前
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4億5千万年前
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4億3千万年前
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ノーチロイド(オームガイ) |
複眼を持ち泳ぐ三葉虫 |
オルドビス紀にはオウムガイの仲間がサンゴの海を支配していました。陸ではアパラチア山脈の造山運動が始まり、降雨で河川が誕生…次第に多様な生物が住める複雑な地形が準備されていきます。シルル紀にはローレンシア(北米)とバルティカ(北欧)が衝突します。原始的な植物や三葉虫など節足動物の中に、それまで生物不在だった陸上に上がるものが出てきます。
古生代
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デボン紀前期
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デボン紀後期
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石炭紀(ミシシッピー紀)
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石炭紀(ペンシルバニア紀)
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4億年前
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3億7千万年前
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3億4千万年前
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3億年前
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デボン紀は「魚の時代」とも呼ばれますが、陸上でも石炭紀にかけて河川沿いにシダの大森林が形成され、昆虫や両生類が生息するようになりました。
石炭紀には爬虫類も登場します。ローレンシア(北米)にゴンドワナ大陸が衝突。アパラチア山脈のふもとは赤道の直下で、沼地や浅瀬に繁った森林は後の世で石炭となります。
ハネを持ち空を飛ぶ昆虫が出現したのもこの時代…酸素濃度が現在の倍に近い35%もあって、節足動物の運動能力が飛躍的に高まったものと考えられています。翼幅75cmの巨大トンボの化石が発見されています。
古生代
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中生代 |
ペルム紀前期
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ペルム紀後期
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三畳紀中期
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三畳紀後期
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2億8千万年前
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2億6千万年前
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2億4千万年前
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2億2千万年前
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ペルム紀には、分裂していた諸大陸が再結集して超大陸パンゲアが形成されました。現ニューイングランド地方は、この時に北米の一部となったのです。
生物の陸地対応も進み、河川から離れた乾燥地帯にはイチョウやソテツなどの裸子植物や皮膚を硬い皮で守る爬虫類が進出しました。特に哺乳類型爬虫類は不完全ながらも体温を一定に保つシステムを得て、寒暖差が激しい内陸部で、当時の生態系の頂点に立っていたそうです。
ところが、ここで、古生代と中生代を区分する地球史最悪の大量絶滅が起きます。シベリア中央高原で百万年にわたって続いたスーパープルームと呼ばれるマグマの噴出が主犯で、粉塵が空を覆って植物の光合成を阻害し、酸素濃度は現在の半分の10
%程度まで下がり、生態系の食物連鎖も途絶えたものと考えられます。
三畳紀には、生き残った爬虫類の中から、小型恐竜や翼竜、小型哺乳類が生まれてきます。
中生代
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ジュラ紀前期
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ジュラ紀中期
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ジュラ紀後期
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白亜紀前期
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2億年前
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1億7千万年前
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1億5千万年前
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1億2千万年前
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ジュラ紀は、皆さんご存じの大型恐竜全盛時代。超大陸パンゲアは再び分裂サイクルに入りました。現フロリダ半島の左右に亀裂が入り、アフリカと南米が遠ざかっていきます。この時にメキシコ湾の海洋底が北に伸びて巨大な入江を作り下ミシシッピー川の母体となったのです。現在のミズーリ州やアーカンソー州の高地は、分断されて入江の西岸に残ったアパラチア山脈の一部です。
ローレンシア大陸の北部では、現スコットランド北部やグリーンランドが徐々に分離していきます。
中生代
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K-T境界 (巨大隕石落下) |
新生代 |
白亜紀中盤
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白亜紀後期
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古第三紀始新世
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1億5百万年前
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9千万年前
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6千5百万年前
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5千万年前
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北米の西海岸は、太平洋に繰り返し生じる火山列島が波のように押し寄せて成長していったように見えます。太平洋岸諸州の大半の地域も中生代の後半にでたのですが、現ロッキー山脈の東山麓は、その圧力で逆に沈み込み、海面も現代より200mも高かったため、北米のど真ん中には白亜海路と呼ばれる内海が広がっていました。
ロッキーの隆起が始まったのは白亜紀の後期です。いかにも恐竜らしいティラノサウルスなど肉食竜が活躍した時代ですが、白亜紀の中頃からは寒冷化が進み、劇的な気候の変化で、恐竜の生息環境は早くから危うくなってきていたのかもしれません。
植物で白亜紀に登場したのは、花を咲かせ実を結ぶ被子植物です。昆虫は密を吸って授粉を助け、哺乳類は実を食べて種子を運ぶ務めを果たし、新しい生態系が作られようとしていました。
ユカタン半島に巨大隕石が落ちたのはちょうどその頃でした。恐竜から進化した鳥類を除き、中生代に一世を風靡した恐竜が滅びて新生代が始まります。米国炭の4割を産するモンタナ/ワイオミング州のパウダーリバー炭田は新生代…6千年前の造山運動でできたものです。
新生代 |
古第三紀漸新世
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新第三紀中新世
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第四紀更新世(洪積世)
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第四紀完新世(沖積世)
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3千5百万年前
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2千万年前
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5万年前
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現在
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新生代第四紀は、ついに人類(ホモ属)が登場した時代ですが、地球史の上では、かなり厳しい寒冷期に当ります。1万年前に第4氷河期が終わりマンモスなど大型哺乳類が滅びたのを区切りに、現地質年代=完新世が始まりました。第4間氷期と言い換えることもできます。
氷河は、北米では、中世部一面を覆うまで南下しました。セントローレンス川の氷河が融けて大西洋に流れが通じるまで、東西をアパラチアとロッキーの分水嶺に囲まれ、初期の五大湖の水はミシシッピー川からメキシコ湾に注いでいました。
氷河期には寒さで水面の蒸発が抑えられ、西部山岳地帯には巨大な湖水ができたようです。グレートプレーンズには、ロッキー山脈の風化した土砂が積もり、オガララ帯水層と呼ばれる8州にまたがる巨大な地底湖ができました。将来の枯渇が懸念されていますが、アメリカの穀倉地帯を支えている大事な水源です。
ロッキー山脈と西のシェラネバダ山脈の間にはボナビル湖という巨大な内陸湖がありましたが、1万5千年前の大洪水でほとんどの水が流出し、現在はグレートベースン(大盆地)と呼ばれる地域になりました。内陸湖は、河川が運んできたミネラルを蓄積して塩湖になります。グレートソルトレイクや自動車のスピード記録挑戦で有名な周辺の塩の砂漠もボナビル湖の名残りです。
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