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2011年4月15日(第58号)

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ミシシッピー川中流域、サウスカロライナ、ケベック(カナダ)

 アラスカとカリフォルニア以外でも地震は起きます

 ハワイは火山列島です。より古い昔に誕生したカウアイやオアフ、マウイと今も活発に活動しているハワイ島のキラウェア火山を結ぶ直線を延長してみると、太平洋プレートが東日本沖の日本海溝に向けてまっすぐ進んでいることが分かります。

 一方、東北地方や北海道はアメリカやカナダと同じ北米プレートの南西の先端に乗っています。これまで私も知りませんでしたが、北米プレートは日本付近で太平洋プレートと真逆の方向に動いています。真っ向から押し合う両プレートのエネルギーが限界を越え、太平洋プレートの上に北米プレートが跳ね上がったのが今度の大震災でした。

大陸プレートの動きと観測史上に残る M9.0以上の巨大地震

1960年チリ地震(M9.5)/1964アラスカ地震(M9.2)/2004スマトラ沖地震(M9.1) 2011年東日本大震災(M9.0)/1952年カムチャッカ沖地震(M9.0)USGS資料  

 北米側にも巨大地震は起きるのでしょうか?アメリカの西海岸も、北米プレートと太平洋プレートが接していて地震が起きやすいところは共通ですが、両プレートが左右にずれる動きをしている点が大きな違いです。

 特に津波に限っていえば、東日本大震災では一瞬のうちに海底に大きな段差ができ、500qにわたる想像を絶する大容量の水の山と谷を生じました。たとえ同規模の地震が海底で起きても、アメリカの西海岸なら垂直方向の段差はできないので、大きな津波は心配しなくていいという学者さんもいますが、ノースウェストには小さいプレートが挟まっていて単純な議論はできないはずです。

=== アラスカ ===

 しかし、北米といってもアラスカは日本によく似た地震帯で、M7.0以上の地震なら2〜3年に一度、M8.0以上なら20〜30年に一度の割合で起きています。海岸線も三陸のように入り組んでいますから、津波の被害も深刻です。

 1964年のアラスカ地震(世界観測史上2位)はM9.2で、地震と津波により131人が死亡しました。断層が850kmにわたって破綻し、地表が最大11.5m隆起したそうです。津波はカナダ・アメリカの西海岸や日本に押し寄せたばかりか大西洋側にも達し、ルイジアナでは数隻の漁船が沈没、アフリカにまで波が達したと伝えられています。

=== ハワイ ===

 ハワイの地震は火山性の地震で、ハワイ島から離れれば離れるほど心配なさそうですが、津波の方は太平洋のどこで地震が起きても押し寄せてきます。被害は海岸線の地形次第。日本も津波で被災した1960年のチリ地震(世界観測史上1位)の時は、10mを超える津波がハワイ島のヒロを襲い61名が亡くなりました。

 次に、アメリカ本土の事情を詳しく調べてみましょう。USGS(アメリカ地質調査所)は各地の地震リスクを上の図のように分析しています。

 私も、USGSの資料を拾って、アメリカの地形区分図と過去に発生した地震の分布を重ね合わせてみました。黄色の点線内は、USGSが特に注目している地震帯です。

=== カリフォルニア・ユタ ===

Carrizo Plain

San Andereas Fault

 アメリカ本土の中で、休まず活発に活動しているのは太平洋プレートと北米プレートの境界が地表に露出しているサンアンドレアス断層です。断層はカリフォルニア州の北部からメキシコ国境にかけ1300q。一部は乾燥地帯を走っているので、空から肉眼ではっきり確認することができます。

 1995年に阪神・淡路大震災(M6.9)が起きてからすっかり忘れられてしまいましたが、89年のサンフランシスコ地震(M6.9)と94年のロサンゼルス地震(M6.7)は、橋や高速道路が崩落し、近代都市の地震対策の見直しを迫る大地震でした。

 1906年のサンフランシスコ地震(推定M7.7〜8.3)では4日4晩にわたる大火災が発生し、2万5千の建物が燃え3千人が死亡、揺れはオレゴン南部やロサンゼルス、中部ネバダでも感じられました。ベイエリアは、分岐した断層が併行して走る地震リスクの高い地域です。

 シエラネバダ断層は、シエラネバダ山脈とベイスンアンドレンジ(山間高原地帯)地方の境界です。この地域では、1872年に推定M7.4 のグレート・ローンパイン地震が起きています。

=== ワシントン・オレゴン・ブリティッシュコロンビア ===

Juan de Fuca Plate

 しかしながら、太平洋プレートは、もともと北米プレートと接していたわけではありません。カリフォルニア付近では、太平洋プレートが押しやって、先輩プレートを北米プレートの下に次第にもぐりこませてしまったのです。

 メキシコ沖には今も先輩プレートの南側の切れ端(ココスプレート)が残っています。カリフォルニアの最北部からカナダのバンクーバー島にかけても、北側の切れ端(ファンデフーカプレート)が残っています。

 カスケード火山帯に併走する断層の全長は1100q。この地域では、西暦1700年に今回の東日本大震災に匹敵する推定M8.7〜9.2のカスカディア地震が起きています。日本は当時元禄年間でしたが、発生源不明のみなしご津波が襲ったことが各地で記録されています。

 今後50年間にM9クラスの地震に襲われる確率は10%以上とも、M8クラス以上の確率は4割近くともいわれています。ノースウェストの都市では地震対策が十分ではないとも指摘されていますので、付近にお住まいの皆さんは巨大地震に対して心の準備はなさっておいてください。 

=== ユタ・アイダホ ===

 ロッキーは海洋プレートの境界から遠く離れて隆起した珍しい山脈で、学会でも造山運動の仕組みを説明し切れていないようですが、太平洋プレートに押された先輩プレートがユタ州のあたりにもぐりこんで、ロッキー山脈の形成に深くかかわったことは間違いなさそうです。

 ロッキー山系の西端には、南北380qにわたるワサッチ断層が走っています。山すそのソルトレイクシティは過去1300年間大地震に遭遇していませんが、一部の専門家はM7.0クラスの地震が襲来するリスクが高まっていると警告しています。

=== ミシシッピー川中流域 ===

 これまでにも度々お伝えしてきましたが、1811年12月から2ヶ月の間に、メンフィスから約100マイル北のミズーリ州ニューマドリッドを中心として、M7.7クラスの地震が3回続きました。揺れで、ニューヨークやボストンの教会の鐘がなったとか、周辺の湖沼は地震で陥没した土地に水が満たされてできたものとも語り継がれています…ミシシッピー川が10〜24時間にわたって逆流したのだそうです。

同規模地震の被災エリア比較

1895 チャールストン, MO M6.8

1994 ロサンゼルス, CA     M6.7

家屋損壊被害あり 人体有感

 この地震帯は、インディアナとイリノイの州境を流れるワバシ川の地震帯と一対で、太古の昔に、北米プレートがミシシッピー川下流を境に東西に分裂しかけた名残りです。

 流域では、有感地震も含め、今も絶え間なく小さな地震が続いています。1895年には付近のチャールストンを震源にM6.8の地震が起きましたが、1994年のロサンゼルス地震と比べると、同程度のマグニチュードでも、被災地域の範囲が広いのが特徴で、中西部・南部の広い地域で警戒が必要です。

=== サウスカロライナ ===

 1886年にはサウスカロライナのチャールストンで、M7.3の地震があり、揺れはボストン、ミルウォーキー、キューバでも観測されたそうです。東部大西洋岸の地震が、超大陸パンゲアが分裂するときに残した断層で起きることまでは分かっていますが、詳しいメカニズムは、まだ解明されていません。

=== ケベック(カナダ) ===

 東部カナダの地震の巣はセントローレンス川に沿ったモントリオールを含むセントローレンス地溝帯とオタワ川沿いの地溝帯です。ケベック市の100q北東シャールボワの周辺では、過去350年間にM6.0以上の地震が少なくとも5回発生しているそうです。


 

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