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2011年5月15日(第59号)

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異常気象@ アラバマ州中心にスケールEF4超が15件発生

 歴史的な竜巻大発生で340名が亡くなりました

 4月最終週に起きた竜巻の大発生では、アラバマ州を中心に300人を越える方が亡くなりました。今年の4月には、上旬と中旬にも竜巻大発生があり、ミシシッピー川流域では今も洪水で避難している人も多いのに、アメリカの人たちは、日本のことをまだまだ深く気にかけてくれています。ありがたいことです。

 でも、身近に竜巻や洪水が起きて怖い思いをした方は別としても、私たち日本人の多くは、東日本の復興や原発関連ニュースが気がかりで、足元のアメリカで大災害が起きても気付かずに過ごしてはいないでしょうか?

 私たちの場合は、夜中に竜巻警報のサイレンがなって地下室に避難したくらいですから大雑把な事情は知っていましたが、記事に書くために調べ、あらためて驚いたことがたくさんあります。

========= 4月上旬と中旬の竜巻大発生 =========

総数 EF0 EF1 EF2 EF3 EF4 EF5 死者
155 11 14 4 7 0 0 9

 2011年は、最初から竜巻に呪われていたのかもしれません。昨年の大晦日にミシシッピー川の中流域で起きた竜巻大発生では、セントルイスでも多数の竜巻が「タッチダウン」し元旦まで荒れ狂いました。

 4月に入ると、いつまでも寒い北部とすっかり暑くなったテキサス南部やメキシコ湾一帯の温度差が激しい気象状況が生まれました。

総数 EF0 EF1 EF2 EF3 EF4 EF5 死者
46 8 32 6 0 0 0 6

 最初の竜巻大発生は4〜5日。アーカンソー、ケンタッキー、テネシー、オハイオ、ルイジアナ、ミシシッピー、ジョージア、ノースカロライナ、メリーランドの9州が被災しましたが、確認された竜巻は36件で最強でも(注) EF2でしたから、今にして振り返れば、これはまだ序の口でした。

(注) EF0〜5…竜巻の強さを表す改良フジタ・スケール(Enhanced Fujita Scale)。⇒下表

総数 EF0 EF1 EF2 EF3 EF4 EF5 死者
155 41 71 29 14 0 0 43

 (注) 2回目は14〜16日。初日はオクラホマやアーカンソー、2日目はミシシッピーとアラバマが中心でしたが、3日目にノースカロライナなど竜巻は比較的珍しい大西洋岸の諸州が襲われ、ローリーでも大きな被害が出ました。

総数 EF0 EF1 EF2 EF3 EF4 EF5 死者
37 2 22 8 4 1 0 0

(注) 南部という意味では対象外ですが、9〜11日にも、アイオワとウィスコンシンで強い竜巻のの大発生がありました。


竜巻発生報告地図(竜巻風速33m/秒以上の強風直径5cm以上の雹)

4/14 (⇒拡大)

4/15 (⇒拡大)

4/16 (⇒拡大)

North Carolina

========= 4月下旬の竜巻大発生 =========

総数 EF0 EF1 EF2 EF3 EF4 EF5 死者
325 103 134 51 22 12 3 340

 しかし、43人の死者を出した中旬の竜巻大発生でさえEF3の竜巻が最強でした。4月25〜28日にアラバマ州を中心に南部を襲った竜巻大発生では、3件の竜巻がEF5、12件がEF4と認定されたのですから並みの規模ではありません。EF5なら1000回に1回以下、EF4でも確率0.7%しか起きない竜巻なのです。

死者内訳

340

アラバマ

236

アーカンソー

13

ジョージア

15

ルイジアナ

2

ミシシッピー

34

テネシー

34

バージニア

5

NOAAの警報は特殊な周波数帯

 EF2でも安普請のモービル・ホームは簡単に吹き飛んでしまうので危険です。でも、EF3までなら、丈夫な家の地下室や、地下室がなければ1階の中心の部屋に布団に包まって避難している限り命にかかわることはありません。しかし、EF4以上となれば、どんな家でも全壊してつぶれてしまうおそれがありますから、正に運を天にまかせるしかありません。

 この竜巻大発生は、竜巻の総数では1974年の「スーパー・アウトブレイク」と呼ばれる大発生を越えて史上最多、死者も(未確定ながら)1936年のトゥペロ-ゲインズビル・アウトブレイク(446人死亡)以来最多で史上4位という怪物でした。

 観測技術が発達して竜巻の総数は現代の方が多くカウントされますが、予報ができなかった大昔の竜巻大発生に比肩する数の犠牲者が出たのですから、おそろしいことです。


竜巻発生報告地図(竜巻風速33m/秒以上の強風直径5cm以上の雹)

======== 4月27日タスカルーサ・バーミングハムの竜巻 =========

 中でも、4月27日のタスカルーサの住宅地を襲ったEF4は、最大幅1.5マイル(2.4q)の巨大竜巻でバーミングハムまで80マイル(120q)をかきむしりながら進み、65名を越える人々の尊い命を奪いました。ありがたくないことですが、単独の竜巻としては、これも1955年に南カンザス竜巻で80人が亡くなって以来の記録です。

 動画には、竜巻がタスカルーサの市街地を進む様子が捉えられています。NOAA(アメリカ海洋大気庁)も航空写真で竜巻が通る以前と以後の市街地の様子を比べていますのでごらんください。

 被災地の面積で比べれば、東日本大震災とは規模が違いますが、F4の竜巻が通った後は、まるで津波に流されたように家も大木も根こそぎなくなっています。大気の力も水に負けないほど強いのです。EF5の竜巻にも耐えられるのは、コンクリート製の地下シェルターしかないと言う人もいますが、100%運に任せず、皆さんのお宅で一番安全な場所を選んで、いざというときには避難する訓練をしておきましょう。

NOAA(アメリカ海洋大気庁)が合成したタスカルーサの竜巻以前と以後の航空写真

NOAA作成の竜巻移動地図(EF5 EF4 EF3 EF2)

改良フジタスケール

EF0

確率

53.5%

風速65〜85マイル(29〜38m/秒)

EF0 damage example

被害は軽微。一部の屋根がはがれる。樋(とい)や側壁の羽目板が壊れる。木の枝が折れる。根の浅い木が倒される。

EF1

確率

31.6%

風速86〜110マイル(39〜49m/秒)

EF1 damage example

被害はほどほど。ひどく屋根がはがれる。モービル・ホームはひっくり返るかひどく損傷する。外壁のドアは吹き飛び、窓などガラス類は割れる。

EF2

確率

10.7%

風速111〜135マイル(50〜61m/秒)

EF2 damage example

被害は甚大。丈夫な家の屋根もはがれる。木造家屋が基礎を外れて移動する。モービル・ホームは全壊。大木が折れ根こそぎ倒れる。軽い物体はミサイルのように飛ぶ。車は宙に浮く。

EF3

確率

3.4%

風速136〜165マイル(62〜74m/秒)

被害は深刻。丈夫な家で全ての階が壊れる。ショッピング・モールのような大きな建物にも深刻な被害。列車は転覆。木はなぎ倒され、重い車両も宙に浮いて飛ぶ。基礎の弱い構造物は大きく損傷する。

EF4

確率

0.7%

風速166〜200マイル(75〜89m/秒)

被害は壊滅的。丈夫な家も全壊してつぶれる。車や重い構造物も投げ出され、小型ミサイルのように吹き飛ばされる。

EF5

確率

<0.1%

風速200マイル超(89m超/秒)

建物が完全崩壊。堅固な構造の家屋も基礎までつぶれ吹き飛ばされ跡形もなくなる。鉄筋コンクリートのビルも致命的な損傷を受ける。高いビルも倒壊または構造的に変形。


 

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