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2015年1月15日(第103号)


アメフト・シーズンが終わり、バスケはリーグ戦真っ只中

 大学スポーツ(NCAA)のカンファレンス再編成

  アメフト・シーズンが終わり、マーチ・マッドネス(3月の全米選手権)にかけ、これから大学スポーツの話題はバスケットボールが独り占めです。

 今年は、一連のカンファレンス(リーグ)再編成に伴う大学の移動も一段落しました。いい機会ですから、ここで、皆さんに大学スポーツのカンファレンスについてご説明しておくことにしました。大学スポーツを観戦するなら、強豪校の名前や所属カンファレンスを知っていると面白さが倍増します。

 ついでに、大学バスケのシーズンの日程や仕組みについてもご案内します。

 大学アメフトは今年からプレーオフの形態が一新されましたが、シーズン終了直後にご説明しても盛り上がらないので、少し先延ばしすることにしましょう。


強い方から第一部(Div.1)~第三部(Div.3)


 NCAA (National Collegiate Athletic Association=全米大学体育協会)は、アメリカとカナダの大学1281校の22種のスポーツを、ルールや奨学生の枠まで競技ごとに統括する組織です。対象競技は、次の通り。

バスケットボール、野球(男子)、ソフトボール(女子)、フットボール(男子)、クロスカントリー、ホッケー(女子)、ボーリング(女子)、ゴルフ、フェンシング(男女混成)、ラクロス、サッカー、体操、ボート(女子)、バレーボール、アイスホッケー、水球、ライフル(男女混成)、テニス、スキー(男女混成)、陸上、水泳と飛込み、レスリング(男子)

 大学が全米で順位を競うには、プロスポーツに比べてチーム数が多いので、数多くのカンファレンス(リーグ)に分けて公式戦を戦わなければなりません。大学によって強さや熱の入れ方に違いがあり、まずスポーツ全般に強いグループから(細部で数字が一致しませんが)、第一部(Div.1…350校以上)、第二部(Div.2…約315校)、第三部(Div.3…約450校)と仕分けされます。テレビで放送される試合は、どの競技でも、ほとんど全てが第一部(Div.1)のものと考えていいでしょう。


Power 5…最強の5カンファレンス


 次に、22種全ての競技が、一つカンファレンスの下で戦うことができれば、大学同士の対抗意識が増して盛り上がりますね!しかし、第一部(Div.1)といえども、参加校が少ない競技もたくさんありますから、競技ごとにカンファレンスの数や構成を調整しなくてはいけません。

 カンファレンス編成は、参加校が350校と最多で、32カンファレンス制を採用している男子バスケットボールと、もう一つの花形競技アメフトの事情で、おのずから大枠が決まってきます。

 アメフト参加校は252校で、上位の10カンファレンスで構成されるボウル支部(1-A)と残りの13カンファレンスが参加する選手権支部(1−AA)に分かれます。

Div. 1 (Basketball)

Football Bowl

Subdivision (1-A)

Football Championship

Subdivision (1-AA)

アメフト不参加(1-AAA)

--- Power 5 ---

ACC (Atlantic Coast)

Big Ten

Big 12

Pac-12(Pacific-12)

SEC (Southeastern)

旧 Big East 分裂

--- Group of 5 ---

⇒ AAC (American Athletic)

Conference USA

Mid-American

Mountain West

Sun Belt

Big Sky

Big South

Colonial Athletic Assoc

Ivy League

Mid-Eastern

Northeast

Ohio Valley

Patriot League

Southern

Southland

Southwestern

America East

Atlantic Sun

Atlantic 10

⇒ 新 Big East

Big West

Horizon

Metro Atlantic

Missouri Valley

The Summit League

West Coast

WAC (Western Athletic)

⇐ うちアメフト校

Missouri Valley

Pioneer League

*アメフト用特設カンファレンス *旧 Big Eastが二つに分裂 *1-Aから1-AAAに移動

 ボウル支部(1-A)は、ボストシーズンを「●●ボウル」と名づけられる華やかな試合で締めくくる強豪カンファレンスの集まりですが、その中でもパワーシックスと呼ばれる6カンファレンスは、最高ランクのボウル・ゲームに出場する優先権を持っていました。

 しかし、2013年にパワーシックスの一角のBig Eastが、アメフトを存続したい大学とバスケ中心に方針転換する大学に分かれることになり、それをきっかけに第一部(Div.1)の他のカンファレンスを巻き込む再編成が起きます。ボウル支部(1-A)のWAC (Western Athletic Conference)が、アメフト不参加に変わったのも2013年でした。

 旧Big Eastの中核はAAC (American Athletic Conference)と名前を変えてボウル支部(1-A)に残りましたが、最高ランクのボウル・ゲームに出場する優先権を失ない、シラキュース、ピッツバーグ、ノートルダム、ルイビルといった多くの強豪校がACC (Atlantic Coast Conference)に移籍していきました。

 こうしてPower 6はPower 5へと数を減らしましたが、これら5カンファレンスに、アメフトのみならずバスケの最強豪校がひしめいています。今シーズンはカンファレンスの再編成も一段落し、ACCが15校、Big Tenが14校、Big 12が10校、Pac-12が12校、SECが14校で、計65校。下の地図をごらんください。

パワーファイブ所属大学分布地図 (⇒拡大)


AP順位とESPN(USA Today)順位


 大学バスケの公式戦は11月に始まります。試合数や運営方法はカンファレンスごとにマチマチのようですが、最近は11~12月に他流試合を重ねてチームを強化し、年明けにカンファレンスのリーグ戦を集中的に行うようになってきました。

 他流試合の期間にはACC-Big Ten対抗戦やBig 12-SEC対抗戦を催したり、強豪校対決を大都市で開催したり、テレビの放映権で儲けようと、大学も各カンファレンスも話題作りに積極的に取り組んでいます。その後、3月初めのカンファレンスのトーナメントを経て、3月中旬から4月初めにかけ、プレーオフの全米トーナメントが開催されます。

 第一部(Div.1)だけで350校もあると、大学により対戦相手の強弱もマチマチで、カンファレンスの枠を越えた全米のチームの実力比較は難しいはずですね。しかし、毎週、マスコミ発表の第一部(Div.1)上位25校の順位が公表され、これを見て各地の大学バスケ・ファンが一喜一憂する仕組みです。

 マスコミ発表の順位は二つあって、一つはマスコミ関係者64名の投票によるAP順位、もう一つはコーチ32名の投票によるESPN (USA Today)順位。当然のことながら、負け数の少ないチームが上位にランクされますから、連敗でもしたら、順位は一気に下がってしまいます。苦しい戦いで例え1点差で勝っても、勝ちさえすれば、順位が下がることは、まずありません。そこで、地元大学の勝利を祈り、ついついライバル校の敗戦を願ってしまうのが、ファンの心理です。


全米選手権…マーチ・マッドネス


 全米選手権(NCAA Div.1 Men's Basketball Championship)の出場校は68校。

 64校のトーナメントなら分かりやすいのですが、カンファレンス再編成の都度に参加校を増やし、2011年からはファースト・フォーと呼ばれる開幕戦4試合が付け加えられるようになりました。

 全32カンファレンスのトーナメント優勝校には自動的に出場権が与えられ、残りの36校は、APやESPN (USA Today)順位のように、選考委員会が各校の順位を決めて上位から選抜します。

 68校は東・西・南・中西部の4地区に振り分けられ、地区ごとの第1シードから第16シードが、1-16、8-9という具合に対戦し、勝ち上がっていきます。2~3回戦は全米8会場、3回戦(スイート・シックスティーン)と4回戦(エリート・エイト)は別の全米4会場で開催され、栄えある地区優勝を果たしたファイナル・フォー(4チーム)は、また別会場の準決勝・決勝ラウンドに臨みます。

 この三週間が、いわゆるマーチ・マッドネス。英語で優勝校はもちろんチャンピオンですが、準優勝校はランナーアップ。(惜しくも敗れた)次点という意味合いですね。いずれにしても、地元大学がファイナル・フォーになるだけで大学城下町はお祭り騒ぎ…大学のユニフォーム・カラーの衣服を着ないと外を歩けないほどですから、皆さんも抜かりなく空気を読んでください。