アメリカの 「暮らしとノウハウ」・e-ガイド(印刷ページ

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肉の焼き加減とドレッシングや副菜

★お飲み物 ★前菜とパン ★サラダまたはスープ ★メイン・ディッシュ ★デザートとコーヒー ★チップ


 日本のレストランなら、客の役目はメニューを選ぶだけでおしまいですが、アメリカでは、ウェーター(ウェートレス)が、親切にあれこれ質問してくるので、慣れないとありがた迷惑です。あらかじめポイントを押さえて、ウェーターに何を聞かれても余裕で答えられるよう心構えをしておけば大丈夫。

 さて、基本は皆さんご存知でしょうが、アメリカのレストランでは、@お飲み物⇒A前菜やパン⇒Bサラダまたはスープ⇒Cメイン・ディッシュ⇒Dデザートという順序で、お食事が運ばれてきます。


お飲み物(Drink)


 テーブルに着くと、ウェーターがメニューを手にしてやって来て、皆さんに何を飲みたいかたずねます。アルコールをオーダーする場合については、いずれ稿を改めてじっくりご案内しましょう。ノン・アルコールを頼むなら、水、アイスティー、ペリエ(Perrier=フランス産の天然炭酸水)、トニック・ウォーターやジンジャーエール、レモネード、ルートビア(Root Beer)などが代表的なオーダーです。お子様は別ですが、夕食の席にはコーラやジュースなどの甘みの強い炭酸飲料はそぐわないように感じられます。

 お水を頼むなら「ウォーター・ウィズ・リモン(Water with Lemon」と言いましょう…レモン・スライス付きのお水が無料で出てきます。アイスティーは「Iced Tea」と書いてあっても、そのまま日本語通り「アイスティー」と発音した方が通じるでしょう。普通は「アンスウィートゥンド(Unsweetend)」ですから、甘いのが飲みたければ「スウィートゥンド」と言わなければなりません。


前菜=アぺタイザー(Appetizer)とパン(Bread)


 さて、お飲み物を運んでウェーターが戻って来ました。皆さんが召し上がりたいお食事が決まっていれば、雰囲気を察してオーダーを取ってくれます。いつまでもメニューを開いて眺めていると、まだ皆さんは思案中と思って他のテーブルに行ってしまうかもしれません。混んでいるレストランで長い時間待たされそうな場合には、この機を逃さずにメニューを閉じて全員でウェーターをじっと見つめ、その場に釘付けにしてしまうことです。

 前菜のバラエティーはレストランのタイプにより大きく違います。私は珍しいメニューを見つけるとついつい頼んでしまいますが、アメリカの夕食は大盛りですから、いつも必ずしも前菜を頼む必要はありません。ただし、前菜はメイン・ディッシュが出てくるまでのつなぎの意味もありますから、みんなで一品だけ頼んで分け合って食べるのもいいでしょう。気の効いたお店なら、ウェーターにシェアー(Share)すると言えば、人数分の小皿とフォークを持ってきてくれます。

 パンは、ホストがバスケットをお客様に差し出して順々に配って差し上げるのが作法です。しばしばナプキンに包まれて出てきますが、これはアツアツのパンが冷めないようにする配慮ですから、残ったパンをもう一度ナプキンでくるんであげてください。


サラダ(Salad)またはスープ(Soup)


サラダドレッシング

 では、本題に戻ります。前菜の次はサラダかスープですね。要らなければ、これもパスしてかまいませんが、メインディッシュに含まれているケースもありますから、メニューのカッコ書きに小さな字で「Salad included」と書かれていないかしっかり確認しておきましょう。サラダよりスープが好きな方は「スープでもいいですか?」と聞けば、多分OKしてくれます。

グリルドチキン入りシーザーサラダ

 普通サラダの種類は限られているので迷わずにオーダーできると思いますが、メニュー上でよく見かけるシーザーサラダ(Caesar Salad)とは、レタスをパルメザンチーズとレモン果汁、オリーブ油、ウースターソースであえて、クルートン(Crouton=サイコロ状のカリカリに揚げたパン)とゆで卵のスライスをトッピングしたサラダのことです。もとは、イタリア生まれのメキシコ人シーザーさんの創作レシピ。

 ほかのサラダの場合には、「ドレッシングは何になさいますか?」と聞かれます。これが、「料理のオーダーで意外な難関 その一」です。10種類を越えるドレッシングを用意しているレストランも珍しくありませんから、何があるか聞くと、訳が分からなくなってしまいます。代表的なドレッシングの例を表に示しますから、ご自分の好みのドレッシングをあらかじめ2〜3決めておくと便利です。

ヴィネグレット(Vinegrette=酢+植物油)系

☆アメリカ風イタリアン(Italian)

レモン果汁がいっぱい入っているので酸っぱいのが特徴。ベースは白ワイン酢とオリーブ油。玉ねぎやピーマンなどの刻み野菜やガーリックで味付け。日本のイタリアンとは違うので注意。

☆アメリカ風フレンチ(French)

日本のフレンチとは違う。様々なレシピがあるが、ベースは例えばリンゴ酢とサラダ油。ケチャップが入っているので、ほんのりピンク色。隠し味にパプリカ(トウガラシ粉)やスパイスを加えるが、全体的には砂糖でやや甘めに調整。

☆ハニー・マスタード(Honey Mustard)

サンドイッチなどに使うマスタード(洋がらし)と蜂蜜を半々で混ぜ、酢とオリーブ油で引き伸ばす。

☆バルサミック・ヴィネガー(Balsamic Vinegar)

濃縮したブドウの果汁を最低12年熟成して作る北イタリア名産のバルサミコ酢とオリーブオイルがベース。自然の甘みがあり、樽の色が染み出し黒味を帯びているのが何となく粋(いき)で、家内が愛用中。

☆ラズベリー・ウォルナット(Rasberry Walnut)

ラズベリージャムと薄く刻んだ胡桃…ベースは白ワイン酢とサラダ油。

☆アメリカ風オリエンタル(Oriental)

米酢とサラダ油やごま油がベースで、醤油味。日本的な材料で味付けするとWafu(和風)になったり中国的な材料で味付けするとChuka(中華)になったり…。

マヨネーズ系…ヴィネグレットよりクリーミー

☆レンチ(Ranch)

カリフォルニアの観光牧場(Hidden Valley Ranch)から生まれたポピュラーなドレッシング。バターミルクかサワークリームとマヨネーズがベース。オニオンやガーリック・パウダーを少々加え、最後は砂糖で甘く味付け。

☆サウザンド・アイランド(Thousand Island)

マヨネーズとケチャップがベース。ピクルス、玉ねぎ、グリーン・オリーブ、ピーマン等々のお野菜のみじん切りが加わるが、色がピンクで味も甘めのせいか、私たちの子供たちが幼児の頃にもっぱら愛用。

☆ブルーチーズ(Blue Cheese)

そもそも表面にわざわざカビを生やすブルーチーズの独特の臭いが嫌いな人には対象外だが、甘いドレッシングに飽きた人にはお勧め。ベースは、マヨネーズ、サワークリームと牛乳、酢など。ドライ・マスタードやガーリック・パウダー少々。


メインディッシュ(Main Dish)


 さて、メインディッシュといえば肉か魚ですね。特に牛肉の料理については、必ず焼き加減を聞かれます。ミディアムレア〜ウェルダンを選ぶ方が多かろうと思いますが、レストランによって焼き方も違いますからご注意ください。私の見るところ、ケンタッキーには焼きすぎのレストランが多いようです。通(つう)ぶったのか、ジューシーなミディアムレアを頼んだのに、赤みが残っているのを見て「生焼けじゃないか!!」とウェーターに抗議している客を見たことがあるくらいです。

 「レア」を頼む機会はまれですが、先日、マグロ(Tuna)のステーキを食べたときに、ウェーターさんが「レア」を薦めてくれました。ちょうど、タタキのように表面だけ焼いた美味しい仕上がりで感激しましたが、田舎のアメリカ人は生(ナマ)恐怖症ですから、どうしても客の意向を聞かないといけないのでしょうね。

焼き方の指定

調理後の肉質

肉温

エキストラレア(Extra Rare) 赤みが濃く冷たい 46〜49°C
レア(Rare) 冷たくて中心が赤い/噛みごたえはソフト 52〜55°C
ミディアムレア(Medium Rare) 暖かく中心が赤い/噛みごたえはややしっかり 55〜60°C
ミディアム(Medium) 全体がピンクで、噛みごたえはしっかり 60〜65°C
ミディアムウェル(Medium Well) ピンクの部分を少し残し、全体が灰褐色 65〜69°C
ウェルダン(Well Done) 全体が灰褐色で、噛みごたえはしっかり 71°C以上

 そして、メイン・ディッシュに添えられるサイド(副菜)が「料理のオーダーで意外な難関 その二」です。レストランによって、お肉や魚に添えられるサイドディッシュを選べる場合があります。メニューをしっかり読むと、たいてい「○○、XX、△△、…の中からサイドを2品選べます」などと書いてあるのですが、ウェーターに「サイドは何になさいますか?」と切り出されてからでは、追い込まれて、あたふたと、ありきたりの選択をしてしまいます。

Green Beans

Green Peas

 サイドには、ごはんやおイモ、マカロニなど、日本人には主食感覚のものも含まれます。ごはんと言っても普通はワイルドライスですから、お嫌いなら確認してください。おいもを選んだ場合は、さらに「フレンチフライ(French Fries)ですか?それとも、ベークトポテト(Baked Ptato)?マッシュトポテト(Mashed Potatoes)?」と聞かれますよ。

 典型的なサイドのお野菜は、コールスロー(刻みキャベツのサラダ)、コーン、キャロット、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワーなどなどですが、豆は豆でも、ビーンズ(Beans)と言えばサヤつきで調理したインゲン豆、ピーズ(Peas=グリンピース)と言えばサヤを外したエンドウ豆のことですから念のため。


デザート(Desert)とコーヒー(Coffee)


 昔はどこのレストランでもお勘定の前にケーキ満載のワゴンを押してきて必ずデザートを売り込んだものですが、最近は大食漢のアメリカ人もデザートだけは控え気味…客の方から言わないと、デザートやコーヒーのオーダーを取ってもらえないこともあります。

 とはいえ、デザートのサイズは相変わらず大きいし、中には甘さ過剰のお菓子もありますから、場合によっては、アピタイザーと同様にみんなで一つ頼んでシェアしたらいいでしょう。


チップ(Gratuity)


 最後に、蛇足ながらチップの金額について…。普通は15%、ちょっと高級レストランなら20%が相場といわれていますが、パーセンテージが全てではありません。バッフェ方式で、ウェーターの役割が水を持ってきて皿を片付けるだけだったら、お料理の値段に関係なく1ドル置いておけば十分なケースもあります。

 それでは、皆様お誘いあって楽しいディナーにお出かけください。