病気で熱を測る
寒暖は子どもの頃に身についた感覚ですから、私の場合、華氏の気温をいちいち摂氏に換算しないことには「熱い寒い」の実感がわきません。 わが家には、アメリカ人にもらった華氏の体温計が1本だけありますが、いつも使うのは日本から持ってきた摂氏の体温計。主治医に体温をたずねら、華氏で説明できなかったこともありますが、クリニックでは、その場で測ってくれますからあまり困りません。 でも、特にお子様がおられる方は、緊急に救急車を呼ばなければならない事態に備え、大雑把な換算だけ頭に入れておきましょう。 私は、昔、華氏は人間の体温を100度に設定した温度の単位と都合よく信じていましたが、華氏100度は実は摂氏37.8度…病気で熱がある状態です。 最近は(運動不足で代謝が悪くなり)平熱が低い人が増えているそうですが、調べてみると、どうやら望ましい平熱は摂氏36.5〜36.8度といわれています。華氏に換算すると97.7〜98.2度ですから、華氏なら98度前後が望ましい平熱と覚えておくとよさそうです。 熱が摂氏40度といえば、長く続くと命に関わる危険なレベルですが、換算するとピッタリ華氏104度に当ります。つまり、アメリカ人と体温の話をするときにポイントとなる体温は次の三つです。
摂氏と華氏の換算お天気(気温)なら、暑い寒いを多少間違っても大事ありませんが、病気(体温)以外にも、お料理(オーブン)などは真剣に測りたい温度です。 公式は次の通りですが、もっと簡単に計算する方法はないでしょうか?
華氏と摂氏の対比表をよく見ると、華氏50度が摂氏10度に一致しているのがお分かりですね?これを基準値にして9/5または5/9で換算した数字を足したり引いたりしてはいかがでしょう。例えば、摂氏30度は、30-10=20→20X1.8=36→36+50=86→華氏86度。逆は、5/9が0.555…で計算しにくいので、私なら0.5か0.55で簡易換算します。華氏150度は、150-50=100→100X0.55=55→55+10=65→摂氏約65度が私の答です。
華氏と摂氏が次に出会うのは華氏140度と摂氏60度。反対に、零下では華氏マイナス40度と摂氏マイナス40度と同じ数字で出会いますから分かりやすいのですが、マイナス40度の超低温を基準にするわけにもいきませんね。 華氏の由来5/9 なんて半端な分数を使った公式を見ると、それだけで華氏の温度を換算するのがいやになってしまいますが、歴史をさかのぼって調べてみると、意外に理解しやすい算式でした。 あらためて申し上げるまでもありませんが、一方の摂氏はスウェーデン人のセルシウス(中国語で摂爾修斯)氏が1742年に考案したもので、ご存知のように氷点(水の融点)を0度、沸点を100度と定めた温度目盛です。 他方の華氏はドイツ人のファーレンハイト(中国語で華倫海特)氏が1724年に提唱した温度目盛りです。しかし、ご本人の説明がしばしばぶれていて、考案した経緯の真相は分かりません。しかし、氷点と体温(血液の温度)を二進法で区切りのよい32度と96(32+64)度にしたかったこと、さらに(分度器の目盛と同じ)180度を加えた212度を沸点にしたかったことは間違いないようです。 昔は、温度に限らず測定技術が未熟でしたから、(精密測定向きの)十進法より、半分とか1/3単位で刻む大雑把な区切りが現実的な選択だったのですね。 華氏0度の由来だけは、ファーレンハイト氏が冬の特別寒い日に戸外で実際に測定した温度とか、当時、人工的に作り出すことのできた最低温を当てはめたとか、諸説の間で論争が絶えない部分です。
その後、温度測定技術が向上してから、32度(氷点)と212度(沸点)を基準に華氏の温度を測り直した結果、ファーレンハイト氏が体温に合わせたつもりの華氏96度は、常人の体温より低い摂氏約35.5度だったことが分かりました。 |