アメリカの 「住まいと庭仕事」・e-ガイド(印刷ページ

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セントラルヒーティング(HVAC)

★エアフィルターの交換 ★冷暖房 ★除湿と加湿


エアフィルターの交換


ラジエーター式

ガス炉セントラルヒーティング(HVAC)の心臓部

窓枠据付型のエアコン(上図)と基本構造は同じ

 セントラルヒーティングには、屋内で温水を循環させるラジエーター方式もありますが、北アメリカの一戸建ての多くはHVAC(Heating, Ventilating and Air Conditioning)といって、屋内の空気を循環させ、冷暖房と空調を一括コントロールするシステムが採用されています。

 サーモスタットの目盛を合わせておけば、後は何もしなくても一定の室温が保たれる優れものですが、屋内が極度に乾燥してしまうのが弱点です。

 ただし、エアフィルターを、できれば月に1回、少なくとも3ヶ月に1回取り換えることだけ心がけましょう。皆さんがいつもきれいな空気を呼吸するためにも大事ですが、ほっておくと暖房機の制御装置にホコリが付着して故障の原因になります。皆さんの怠慢が原因でHVACが壊れたことが立証されたら、大家さんに修理代を請求されても争えません。

エアフィルター

エアコン室外機

 フィルターは「向き」に注意して換えましょう。フィルターのふちには矢印が印刷されてますから、古いフィルターの矢印と方向を合わせて入れればいいはずですが、前の住人が間違っていたらたいへんです。

 フィルターを差し込む場所も、フィルターのサイズや形状も、家によって違いますが、「向き」については原則があります。そもそも、フィルターを差し込む場所は、HVACの吸気側にあるはずです。したがって、空気はフィルターの方からHVACに向かって流れます。


冷暖房


 HVACには、暖房にガス炉(Furnus)を使うタイプと電気を使うヒートポンプ式があります。冷房の原理自体は、日本のエアコンや窓枠に据え付ける局所エアコンと同じです。窓枠型の屋外側が室外機として独立し、HAVCの本体(冷却コイルや温度センサー)と断熱パイプで結ばれていると考えてください。

 つまり、室外機では、

 コンプレッサーで圧力をかけられ、液化し高温になった冷却ガスが、コイル(全長10メートルはありそうな細い管をぎっしりコンパクトに巻いたもの…クリスマスツリーの銀モールのような金属片を一面につけ放熱しやすく工夫されています)の中を通過する間にファン(扇風機)で空冷されます。

 HVAC本体では、

 気化した冷却ガスが冷却コイルの中を通過する間にHVAC内部の熱を奪い、冷気が送風ダクトを通じて屋内各所に送り出されます。

 電気で暖めるヒートポンプ式の暖房は、HVAC本体と室外機の役割が夏と冬で逆転し、冬は冷却ガスを室外機で気化させ屋内で液化し放熱させるように設計されています。

 冷却ガスが漏れて減ってくると、冷房が効かなくなったり、室外機が凍ったりすることがあります。エアフィルターの交換をおろそかにすると、暖房だけではなく冷房も故障することがあります。


除湿と加湿


 夏は、屋内の湿気が、ダクトを循環する間に、冷却コイルの表面で冷やされて結露します。ですから、普通は、除湿のために特別な装置が付いているわけではありません。ただし、屋根裏のHVACで生じた水滴が、きちんと受け皿で回収されるようになっていないと、天井から雨漏りのように水がしたたってくることがあります。

 そして、問題は冬の乾燥です。寒い日には暖房が1日中働いて、ほっておくと家の湿度は10〜20%台に下がってしまいます。こうなっては加湿器も1台や2台では焼け石に水。わが家では、6百ドル払ってHVACに加湿装置を取り付けてもらいました。フィルターに、常時、水道の水を流し、ファン(扇風機)で吸気ダクト内に湿気を送り込む仕掛けです。

 ただし、それでも加湿効果はせいぜい10%強程度。小型の局所加湿器を併用しないと、(日本人に)快適な湿度=40〜60%には達しません。セントラルヒーティングによる乾燥は、肌荒れだけではなく、鼻炎など、健康に思わぬ悪影響を及ぼすことがありますから、お気をつけください。

 空調には、加湿装置のほかに「紫外線殺菌」装置や「空気清浄」装置を取り付けることもできます。「空気清浄」はダニなどのアレルギーをお持ちの方には有効でしょうが、「殺菌」にはどれほどの効果があるか、私にはよく分かりません。