ドア外付け製氷機


 個人的には残念でなりませんが、日本の家電メーカーはアメリカの白物家電市場に関心が低かったようで、アメリカの洗濯機や冷蔵庫の新製品開発競争をリードしたのは韓国勢のサムスンとLGです。日本と違い、戦後に移民してアメリカの家電の不便さを目のあたりにした韓国系市民が多かったせいかもしれません。2000年代は「安い・悪い」の段階でしたが、2010年代に入り消費者の満足度も上がってきました。ただし、故障したときの対応は相変わらずアメリカンスタンダードですから、期待しないようにしましょう。

Samsung French Door Refrigerator

 私たちの現役冷凍冷蔵庫もサムスン製品です。わが家のキッチンの冷蔵庫スペースは収納式で、隙間ができてはカッコ悪いので、老夫婦二人住まいになっても大きめの冷蔵庫にしなければなりません。

 冷蔵庫が観音開き(フレンチドア)で、下に冷凍庫があって前に引き出して開くタイプが流行っています。そのうちドアに外付け製氷機がついていない機種を探したらと、サムスンしかなかったからです。

 冷蔵庫の故障は、大半が外付けの製氷機や自動給水器が原因で起きます。値段も大違いで、製氷機が上下に二つついているものまでありますから、よく調べて買ってください。

 電器屋さんにたずねると、私たちが住むケンタッキーなど田舎では、大勢集まって宴会をする機会が多いのか、氷をたくさんほしがる人が多いのだそうです。私たちは、ウォータークーラーを利用しているので、わざわざ冷蔵庫で冷水を得る必要はありません。

サムスン25.5立方フィートフレンチドア冷蔵庫(2013年5月)

メーカー希望小売価格

製氷機(冷凍庫内)

$2,099

製氷機(冷凍庫内)+自動給水器(冷蔵庫の内壁)

$2,199

製氷機2(冷凍庫/冷蔵庫)+自動給水器(冷蔵庫の内壁)

$2,299

ドア外付け製氷自動給水器

$2,799

ドア外付け製氷自動給水器+製氷機(冷凍庫内)

$2,899

 一時代前の冷蔵庫といえば、野菜室もただのプラスチックの箱が置いてあっただけでしたが、新世代の冷蔵庫には、気密性が高く湿度調整もできる野菜室と、温度調整ができる大きなチルドルームがついています。


浄水フィルターの効果


 アメリカの冷蔵庫は水道が直接つながっていて製氷機に自動給水される仕組みで、近年の冷蔵庫には浄水フィルターがセットされるようになっています。フィルターなしの冷蔵庫が作る氷よりも表面がつるつるしていて、時間が経っても氷が互いにくっついて大きな塊にならなくなりました。

 ただし、浄水フィルターは、種類によってミネラル分を取り除くとは限りません。オンザロックの氷がとけて、ウイスキーに白いゴミのようなものが浮かぶことがありますが、これは水道水に含まれていたカルシウムですから、心配することはありません。


予備の冷凍庫が便利


チェストタイプの冷凍庫

 日本にお住まいの方には叱られそうですが、アメリカの地方都市の一戸建ては広くて物を置く場所に困りません。そこで、チェスト(Chest=収納箱)タイプの冷凍庫を買ってきて、ガレージの隅にでも冷凍食材の貯蔵庫を設ければ奥様のお買物の手間が省けること間違いありません。

 冷凍庫は、普通の家庭なら、5Cu,Ft.(立方フィート)の一番小さなサイズで十分。高くても2百ドルくらいです。冷蔵庫の冷凍室には、頻繁に使う食材や食品、場所を取らない小さな食品、アイスクリームなど解凍する必要のない食品などを優先して入れるといいでしょう。買いだめした冷凍納豆を予備の冷凍庫に貯蔵して、冷蔵庫の冷凍室には小出しで移すなど、使い勝手は工夫してください。

 お魚も、冷凍ものなら、小分けにして買っても、まとめ買いして冷凍庫に放り込んでおいても、お料理の味に差がつきません。お魚の臭いが冷凍庫に残ったりしません…大丈夫ですよ。和洋の冷凍野菜ミックスも必須の常備アイテムです。


アメリカの消臭剤


 消臭剤といえば日本ではキムコですが、アメリカではARM & HAMMER社の「FRIDGE-N-FREEZER」という箱入りベーキング・ソーダ(重曹)が使われています。

 スーパーによって、洗剤やトイレの消臭剤などと一緒に並んでいたり、食料品売り場に調理用ベーキング・ソーダと置いてあったりマチマチで、ちょっと探しにくいかもしれませんが、高さ10cmくらいのずんぐりした箱です。日本で使うと冷蔵庫のスペースを取り過ぎで売れないかもしれませんが、約1ドルで1ヶ月(以前は3ヶ月と書いてありました)持ちますから、とにかく安いのが取り柄です。

 そればかりではありません。使用済みのベーキング・ソーダに、複数の再利用法があります。

@ゴミ箱のゴミの上にふりまいたり、排水溝やディスポーザーにぬるま湯とともに流し入れ、嫌な臭いを消します。

A流し(シンク)のお掃除など至る所の拭き掃除に使えます。粉のきめが細かいので、スポンジで軽くこするとスチールのシンクがピカピカになります。

Bとっさの場合に消火剤代わりになるそうですが、もちろん使ったことはありません。

 ベーキング・ソーダの効果は絶大です。最後にしっかりぬぐわないと白いしみが残ってしまいますから、地の色が濃い場所のお掃除には向きませんが、白っぽい場所の拭き掃除にはお勧めできます。

 落ちにくい壁の汚れもきれいになりますが、万が一借りている家の壁を傷物にしたらたいへんですから、あらかじめ目立たないところでテストしてから使いましょう。

 お酢も拭き掃除に効果があります。用途によっては、化学洗剤より効くこともありますよ。


漏水事故に注意


 ところで、賃貸住宅やアパートには、旧式の冷蔵庫が備え付けられているケースがあります。その場合、冷蔵庫から水が漏れ出す事故が起きることがありますから、あわてないでください。

 両開きの冷蔵庫の左側(冷凍庫)の排出口がつまると、霜を自動解凍した水がドアの下から漏れ出すのです。排水口の先はどうなっているのか冷蔵庫を前に動かして見てみましょう。給水管は十分長いので、冷蔵庫を少し乱暴に動かしても、まず大丈夫です。

 霜取り後の排水は、モーターの裏を流れて受け皿に貯まる仕掛けになっています。モーターの熱とファンの送風で自然乾燥させるのですから、長い間にパイプの中でホコリやサビがこびりついて排水管がつまるのも無理ありません。

 パイプのつまりを解消させるためには、電気掃除機が有効です。水をパイプに貯めたまま強引に吸い込んでみましょう(紙袋式なら問題ないと思いますが、電気掃除機を壊さないようにご注意ください)。

 メーカーに修理屋を頼むのが一番ですが、すぐに来てくれるとは限りません。中には頼りないプロもいますから、修理中は見張っていた方がよいでしょう。

 冷蔵庫の水漏れがなくても、庫内の臭いがきつくなったら、パイプの目詰まりを気にした方がいいかもしれません。ベーキングパウダーを、お湯に溶かして流すとよいそうです。