のどが渇いたら市販のボトル水を飲むけれど、調理用には水道水を使っているというお宅が多いのではないでしょうか?わが家の場合、@市販のボトル水、A月に1回宅配してくれるウォータークーラー(ウォーターディスペンサー)用の大ボトル水、B蛇口取付けタイプの浄水器でこした水道水と、飲用・調理用に3種類の水の選択肢があります。 各地の水道水の水質
北米各地の中には、おいしい水道水が飲める場所があるのかもしれませんが、私たちが住むレキシントン周辺は鍾乳洞のできやすい石灰岩の地層…りっぱな骨格の強いサラブレッド(競走馬)を育てるにはよい水が湧くといわれていますが、人間にはいかがなものでしょう?お味はともかく、北米各地の水道水は飲んでも大丈夫なのでしょうか? 連邦環境保護庁(Environmental Protection Agency)のホームページから、皆さんがお住まいの地域の水道水の水質をチェックすることができます。といっても、法で定められている有害物質の含有量が規制値を下回っていることを確認できるだけのこと。むしろ、私たちが住んでいるケンタッキー州レキシントンの場合など、思ったより規制値ぎりぎりの数値が多くて不安になったくらいです。 たとえば一部の環境保護団体の人々は、とうもろこしの栽培に便利な除草剤アトラジンの規制が甘いと心配しています。右の図で各地河川のアトラジン含有量が分かりますが、天然資源保護協会というNPOのホームページで水道水中の含有量を示す地図を見ると、よりショッキングですね。やはり中西部のコーンベルト(とうもろこし栽培地帯)で多用されているのが分かります。 浄水器の比較 でも、ご安心。価格的にもお手頃で、手軽に使える浄水器でも、有害物質や有害物質と疑われる成分は、かなり完璧に近くまで除去できるようです。「Water Filter Comparisons」というホームページの浄水器の性能と価格比較表から、どこのお店でも簡単に手に入る浄水器を選んで抜書きしてみました。
水差し(ピッチャー)タイプの浄水器は、性能は今一ですが、冷蔵庫でお水を冷やしておくのには便利。蛇口装着タイプは、水が一瞬フィルター内を流れるだけですから気休め程度の浄水器だと(私は)思っていたのが間違いで、感激です。 カウンタートップに置く卓上タイプの浄水器も取付けが難しいのかと思っていたら、簡単そうですね。シンクの下に据え付けるタイプもありますが、狭い場所ですから、自分で取付けるには技術と覚悟が必要です。 カルシウム さて、一般の浄水器(Water Purifier)は、活性炭やフィルターを使って、塩素化合物や有機系有害物質および微生物を除去する機器です。私にも意外だったのですが、カルシウムなどのミネラル即ちディッシュウォッシャーなどにこびりついてやっかいな白い成分は、浄水後も水中に残留するのです。
以前、レキシントンにお住まいの日本人ご夫婦から「氷に白いものが混じっているが、冷蔵庫の故障ではないか?」というご照会がありました。このお宅では浄水フィルター付きの上等な冷蔵庫をお使いでしたから、カルシウムが素通りしてしまうと聞いても半信半疑でした。 ウィスキーのオンザロックに白いゴミのようなものがただよっていては、確かに、見た目おいしくありませんが、健康的には害がないというわけです。 アメリカ人に解決策を聞くと「氷を頻繁に入れ替えるといい」という回答が返ってきました…自動製氷を止めて古い氷を庫内に留めておくと臭いが移って氷が臭くなるのは事実ですが、新しい氷だからといってミネラルを含んでいる限りは白いものがなくなるという保証はありません。 ボトルの水を買ってきて冷凍庫で凍らせても、ボトルの水がミネラルウォーターであれば同じことが起きるはずです。ともあれ、冷凍庫の氷を入れ替えるときには、指先にケガをしないよう貯蔵容器についているかき氷の刃に気をつけてください。 特殊な浄水器 ミネラルまで取り除く浄水器が全くないわけではありません。でも、アメリカでも日本でも、数え切れないほどの種類の浄水器が売られています。名前は、製水器、活水器、還元水生成器などと様々で、お値段も数十ドルから数千ドルまでとピンキリで、いったい何を買ったらよいのでしょう?しっかり目的意識を持って選んでください。 ミネラルまで取り除くのは、逆浸透膜(Reverse Osmosis)を使った浄水器です。「純水」に近い水を生成するのですが、皮肉なことに、ミネラルを含まない水は、味気ない水としてマイナス評価をされることがあります。 そもそも、水質改善機器の機能を評価するポイントをまとめると、@塩素化合物や有機系の有害物質の除去能力、Aミネラルの増減、BPH(酸・アルカリ)の強さ、C(科学的な説明がない)ミステリアスな機能の4点。人気が高いアルカリイオン還元水系の浄水器は、水を電気分解して陰極に集まる弱アルカリ性の水を取り出すもので、健康に良い、料理がおいしくなる、洗浄効果が高いなどと宣伝されています。 ほかにも、水に、ミネラル系の成分を増やしたり磁場を通過させたりして特殊な「機能」を持たせたとする浄水器が様々な名前で売られています。あやしい高額商品も多いので、ご購入の際には、事前に十分ご検討ください。 ウォータークーラー(給水機)の洗浄
さて、ウォータークーラーには赤と青のコックがついていて、押し下げれば、いつでも熱湯と冷水が出てくるので便利です。 私たちは宅配の大ボトルを利用していると申し上げましたが、5ガロンのボトルといえば重さはほぼ20kg…日本人の奥様の力では持ち上げて逆さにセットするのは、まず無理です。ご主人がなさる場合でも、ぎっくり腰をしないように油断なく持ち上げてください。宅配業者から借りて使うこともできますが、ホームセンターやディスカウントストアで買う方が安上がりです。 使っているうちに臭いがついてきますから、少なくとも半年から1年に1回、塩素系漂白剤で定期的に洗浄することを忘れないでください。電源を抜き、小さじ1/2杯の漂白剤を加えた1ガロンの水を機内に注入し、5分間据え置きます。洗浄後は洗浄液を抜き、漂白剤の臭いが消えるまで繰り返し水でリンスします。ビデオのようには、部品が分解できない機種もあります。 最近は、スーパーの自動販売機で水を買ってくることもできます。この場合は、ボトルを清潔にしておく注意が必要です。買ってきた水も、何日も何日も放置せずに速やかに使うよう心がけましょう。細菌を繁殖させてはいけません。 ウォータークーラーは、ボトルをひっくり返して上に置く昔からのタイプとボトルを下に格納するタイプが半々くらいになってきました。 小さなボトルだと頻繁に変えなければいけないので、わが家では5ガロンのボトルを使っていますが、重さが20kg近いので平均的な日本人の女性には無理でしょう。 使い勝手は下置きタイプが絶対によいのですが、インターネットで消費者の声を調べると、配管から水漏れするという苦情も多いようなので、わが家は今回も上置きタイプ(写真)にしました。 下置きタイプを選ばれる方は、事前にインターネットで評判をチェックなさった上で、トラブルの少ない機種をお選びください。店頭買いなら、店によって取扱メーカーが違いますから、その点もご注意ください。 昔は水ボトルといえば配達でしたが、今ではスーパーで給水したり、購入したりする方が楽になりました。それどころか、スーパーで給水するくらいなら、自宅で浄水器を通してボトルに給水する方が楽かもしれません。わが家は、流し台の向こうに朝食コーナーがある造りですから、キッチン水栓を180度ひねって、流し台の裏で水を受けています。 |