日本の定期健診とアメリカの定期健診は、根本的に考え方が違います。

 日本には戦前の1940年(昭和15年)にレントゲン車が開発され結核集団健診が全国に普及した歴史があり、職場や学校の集団健診が基本にあります。そこで、性別や年齢による違いはありますが、人間ドックも含め誰もが基本通りのメニューを受診します。

 アメリカは主治医制度ですから、主治医が判断し患者ひとりひとりに必要と思う検査を勧めます。具体的に男性のガン検査についていえば、私の主治医は1年に1度肛門に指を入れて直腸ガンと前立腺ガンの有無を触診してくれます。その折に、カルテで過去のレントゲン検査の記録をチェックし、私にとってその年に必要な検査を手配してくれます。

 たとえば、胸部レントゲン検査の場合は、タバコを吸う人吸わない人でリスクの程度が違いますから、誰もが一律に毎年検査してもらう必要はありません。主治医が必要と認めない検査を無理に受けようとすると、保険会社に支払いを拒否されてしまいます。

+++++ 内視鏡検査の必要頻度 +++++

 今年は、7年ぶりに大腸の内視鏡検査(Colonoscopy)を受けることになりました。アメリカがん協会の基準では、50歳を超えた男女には次の4つの選択肢があるそうです。

10年に1度の大腸内視鏡検査

5年に1度の軟性S字結腸検査

5年に1度の二重造影バリウム注腸検査

5年に1度の大腸CT検査

 しかし、私は今66歳で、今回が3度目ですから、大腸の内視鏡検査は7~8年に一度の間隔で受けていることになります。

 胃の内視鏡検査は、同じ期間に一回だけです。胃がんは特に日本人に多い病気ですから、慢性胃炎に悩む方などは主治医に相談して、適切な頻度で胃の内視鏡検査(Gastroscopy)を受ける必要があります。

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+++++ 内視鏡検査は全身麻酔 +++++

 アメリカの内視鏡検査は原則的に全身麻酔です。私など麻酔に強い者には局部麻酔より歓迎ですが、家内のように麻酔に弱い人の場合は事前に病院に相談しておくようお勧めします。一口に麻酔といっても医療的には様々な麻酔があるようで、家内が目の手術で麻酔を受けた際には難しくてチンプンカンプンでしたが、麻酔術(Anesthesia)と鎮静術(Sedation)の違いを詳しく説明してもらいました。

+++++ 前日は絶食で下剤服用 +++++

 下剤は日本と同じかもしれませんが、今回はMoviPrepという薬を使用しました。主治医を通じて検査の予約を入れると、病院から日時や注意事項を説明する手紙と下剤の処方箋が届きます。処方箋を薬局に示し下剤を入手してください。

 下の動画はMoviPrepを飲む手順を示しています。私の場合は内視鏡検査の受付が早朝8時で、検査開始が9時の予約でしたが、前日は朝から原則何も食べてはいけません。飲み物も透明系の飲み物に限られますが、お茶やコーヒー、リンゴジュース、ブイヨンスープ(Broth)やバタースコッチやレモンの飴など許されているものも意外にあります。ただし、固形物は強いて探しても無添加のジェロー(Jell-O)だけです。

 MoviPrepは前日の夜8時と(早起きして)当日の朝5時に飲みました。何しろ下剤を飲んでいるのですから、病院に早めに行こうなどと考えてはいけません。受付時間に少し遅れてもかまわないつもりで、しっかり便意がおさまってから出かけましょう。

 検査は30分程度で終わり、個人差がありますが、私の場合は目覚めて30分もすると歩けるようになります。でも、全身麻酔の後ですから帰宅は誰か付き添いの人に運転してもらう必要があります。ご主人が仕事だと、奥さんは誰かお友だちに頼んだりしてたいへんですから、ご主人は少し気配りしてあげてください(体験談です)。

 説明書には血液凝固を阻害する系統の薬剤を使用している人は、検査の5日前から停止するように指示されていましたが、動画のように3日前からポップコーンやナッツを控えるようにとは書いてありませんでした。