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冬の乾燥肌と保湿法

★セントラルヒーティングが乾燥の元凶 ★入浴後はベビーオイルで保湿

肌荒れには有機系入浴剤 ★くちびるの荒れにワセリン


セントラルヒーティングが乾燥の元凶


 北米をひとまとめにして語るのはなるべく慎んでいるのですが、それでも、北米では、冬の乾燥が著しいように感じられます。その証拠に、洗濯物が屋内でもすぐに乾きます。

 ならば、当然、外気の湿度も低いだろうと思って調べてみると、ネバダやアリゾナ、ニューメキシコなどの砂漠地帯を除けば、湿度が低い日でも50%を超える場所が多いので驚きました。冬についていえば、東京など日本の太平洋側の方がはるかに低湿度なのです。

 ノースウェストの冬は多雨なのに、シアトル在住の方のブログには、室内が乾燥して困るとも書いてありました。

 実際、北米の冬の屋内の乾燥をもたらす主犯は、気候よりセントラルヒーティングです。

 摂氏零度の戸外で外気の湿度が100%あったとしても、室内の温度が高ければ飽和水蒸気の量が増えます。

 相対湿度は室温20℃で27.7%、室温25℃では20.8%にしかなりません。

 それに比べて、日本の普通の家庭は局所暖房。家全体が中から乾き切ってしまうわけではありませんから、北米の家の屋内より乾燥程度がまだマシです。

 秋口から春先にかけて、冬の間、ずっと乾燥肌にお悩みの方が多数おられることでしょう。室内を加湿するのも大事ですが、それくらいで肌のかゆみはおさまりません。就寝中、無意識に爪でかいてしまって、起床して見ると身体中が傷だらけになっていた経験…皆さん、ありませんか?


入浴後はベビーオイルで保湿


 特にお肌が敏感な方は、石鹸の使いすぎに気をつけて、液体やクリーム状の石鹸を避ける方が無難です。私たちの息子の幼年時代もそうでした。軽いアトピー傾向が見られたので、必ず、ニュートロジーナ(Neutrogina)の敏感肌用(For Sensitive Skin)固形石鹸を使うようにさせていました。

 アメリカ人はボディーブラシ(Skin Brush)で皮膚をゴシゴシこするように洗うのが好きなようですが、毛の固いブラシは禁物。ナイロン・タオルや柔らかいブラシを使うときにも、お肌を傷つけないように細心の注意を払ってください。

 熱いお湯に長くつかるのもよくありません。皮膚の水分と保湿成分が奪われ、体温が上昇してかゆみが増します。

 お風呂上り、タオルでぬぐう前に、ぬれた身体にベビーオイルをベタベタ塗り、タオル地のバスローブをはおるか大きめのバスタオルで身体をおおい、自然に身体を乾かします。時間をかけたくなければ、軽く水気をとるつもりで、押さえるようにタオルを使ってください。症状が特別ひどくなければ、これだけでお肌に快適な冬が過ごせるようになります。

 特に肌荒れがひどい患部には、セタフィルのモイスチャライジング・ローション(Cetaphil Moisturizing Lotion)がお勧めです。香料がきつい化粧品やトイレタリー商品が多い中で、セタフィル製品にはにおいがないのも、日本人の私たちが推薦する所以です。

 最後に下着。冬場は静電気も起きやすいので、直接お肌に触れる下着やパジャマには綿製品が一番。保湿効果も高いそうです。特に、お子様の下着の素材には気配りして差し上げてください。


肌荒れには有機系入浴剤


ベイセラピー/Dr.ティールズ/ビレッジナチュラルズ/ワセリン

 湿疹があるときには、原料=100%オートミールの入浴剤アビーノ(Aveeno)。最近はDr.ティールズというアビーノによく似た製品が売れています。大袋入りですから、惜しみなく使えてお徳用です。

 一般の肌荒れにも効果があります。乾燥肌がひどいときには化学成分入りの入浴剤を、しばらく控えましょう。

 乾燥肌対策と直接関係はありませんが、日本製入浴剤が手に入りにくく困っておられる皆さんは、こわがらずにアメリカの入浴剤をお試しください。

 アメリカの入浴剤の主成分はハーブとミネラルです。香り成分だけではなく本物のハーブエキスが含まれていますから、それなりの薬効も期待できるでしょう。

ラベンダー

ラベンダー

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カモミール

 日本人には合わない香りの入浴剤も多いので、初めて買うならラベンダー系の入浴剤をお選びになってはいかがでしょう。私たちがお勧めするのは次の2種…それぞれ顆粒と液体の入浴剤です。

 ★ ビレッジナチュラルズ(village naturals)…顆粒状

≪ラベンダー&カモミール(lavender & chamomile)≫

 効能には、ラベンダーとカモミールが心身を休め、活力を回復させる。死海の塩とビタミンEのおかげで、ソフトで、お肌がうるおうとあります。

 ★ ベイセラピー(バスリキッドBATHERAPY)

≪ラベンダー・アロマセラピー(Lavender Aromatherapy)≫

   スギのエキスが神経を鎮めてくれるとありますが、スギ花粉症の家内が使っても今のところ無事です。便秘に効能があるといわれるエプソム塩も主成分の一つ。


くちびるの荒れにワセリン


 日本では歴史的に古い薬にあまり人気がありませんが、アメリカでは、日本人に軽んじられているアスピリンが、解熱剤としてバリバリ活躍しています。ワセリン(英語でVaseline)も同様で、アメリカでは現役のお肌の保湿剤として重用されています。

 ステロイド剤と比べて副作用もなく、アトピー性皮膚炎の治療にも使われるなど、最近はあらためて効用が見直されています。特にくちびるが乾燥でひび割れてリップクリームで手に負えなくなってしまった場合は、ワセリンを試してみましょう。くちびる専用のチューブ状ワセリンもあります。

 ハンドローションには、バス&ボディーワークスのアンチバクテリアル・モイスチャライジング・ローション(Bath & Body Works/Anti-Bacterial Moisturizing Lotion)がお勧めです。夜、就寝前にご利用ください。1本4ドルでお手頃ですが、効果はテキメンです。一時帰国のお土産にも、喜ばれます。