三大ネットワークとフォックス

　アメリカには、全部で６局のテレビ放送ネットワークがあります。三大ネットワークのうちNBCとCBSは1920年代にラジオ局として創業、ABCは1943年に独占禁止法の適用によりNBCから枝分かれしてできました。

　40年代にテレビ放送が始まってから90年代の初めまでは３局が地上波をほぼ独占する状態が続きましたが、その後、オーストラリア出身のメディア王マードックが始めたFoxが急成長して、最近はむしろ四大ネットワークと呼ぶべき時代になってきています。

　ほかにCBS/タイム・ワーナー（傘下にCNN）系のThe CWとFox系のMyNetworkTVの民間２社と、政府系のPBSがありますが、無視してもかまわないほどの存在です。

　三大ネットワークは、東部ジャーナリズムの流れを汲んで比較的リベラルな報道姿勢を取ってきました。Foxは、保守的な世論に迎合して、長い間、イラク戦争を支持する立場で報道してきましたが、ブッシュ政権の人気が地に落ちた今は、やや軌道修正を図っているようです。

　活字メディアを別とすれば、アメリカでは、三大ネットワークとFoxの地上波系４局とニュース専門チャンネルのCNNに世論を動かす力があるようです。

ニュースとショー番組

ダイアン(左） と ケイティー(上）

　アメリカのモーニング・ショーや夜の看板ニュース、報道番組では、日本以上にショー・ホスト（ホステス）やキャスターの魅力が視聴率を稼ぐポイントになります。 それだけ各局の競争も激しく、現在ABCワールドニュースのキャスターをしているダイアン・ソイヤー（Dyane Sawyer）はCBSから引き抜かれ、ABCのニュース番組で人気レポーターのケイティー・クーリック(Katie Couric)に至っては、NBC→CBS→ABCと転々としています。

　午後の時間帯は各キー局からの番組配給はお休みで、それぞれの地方局が個別に番組を選んで買っているようです。｢オプラ・ウィンフリー・ショー（Oprah Winfrey Show）｣や ｢エレン・ドゥジニアズ・ショー（Ellen DeGeneres Show）｣などのワイド・ショー、カリスマ主婦の｢マーサ・スチュアート・ショー（Martha Stuart Show）｣、視聴者の痴話げんかを裁く模擬裁判の｢ジュディー判事(Judge Judy)｣などが人気です。

英語抜きで楽しめる番組

　さて、アメリカの番組を楽しむのは、英語に自信がある人にも一苦労ですが、英語に自信がない人でもあきらめることはありません。この稿では、｢見るだけで分かる｣人気番組をいくつかピックアップしてみました。｢アメリカン・アイドル｣はアイドル志願者のコンテスト、ダンシング・ウィズ・スターズ｣は有名人がダンスに挑戦、｢サバイバー｣は孤島やジャングルの共同生活の中で勝ち残る視聴者参加ゲーム、｢アメージング・レース｣も世界各地を旅行しながらペアで課題に挑戦するゲーム、｢マイ・ダッド・イズ・ベター・ザン・ユア・ダッド｣は父子がチームで争う障害物競技。

　｢アメリカズ・ファニエスト・ビデオ｣は、昔｢加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ｣が始めた｢おもしろビデオコーナー｣のアメリカ版、｢ナニー９１１｣は日本テレビ｢ザ・仰天ニュース｣の中でも登場する子育てに悩むアメリカの家庭をイギリス人の保育士が救うシリーズ、｢パワーレンジャー｣はご存じ日本の｢スーパー戦隊｣の翻案、｢シンプソンズ｣はどたばた家族漫画…アメリカ版の｢サザエさん｣です。

　テレビの番組表を見るには、｢TVガイド｣の｢TV Listings｣のページが便利です。｢Edit Location（場所の指定）｣をクリックし、さらにケーブルテレビや衛星放送など｢Service Provider（契約先）｣を選べば、次回からご自分用にカスタマイズされた番組表を見ることができます。特に見たいチャンネルだけ抽出して、見やすい番組用に加工することもできますよ。

歴代視聴率トップ番組（1951〜2007）

（報道/ドラマ（医療・捜査）/ウェスタン（歴史）/メロドラマ/コメディー/バラエティー/クイズ/視聴者参加）

　蛇足気味ですが、テレビ視聴率調査のニールセン・メディア・リサーチ社の調べによる1951年からの年間トップ人気番組の表を見つけたのでごらんください。現在はFoxの｢アメリカン・アイドル｣全盛時代ですが、表の中に、皆さんのなつかしい番組などはありませんか？