リースは一見安上がりですが…
借金嫌いの日本人には、ローンで「お金を借りる」のは絶対いやだが、リースは「車を借りる」だけだからかまわないとおっしゃる方がおられます。でも、レンタカーの契約と同様と思って気楽にリース契約をすると、後で損をしたり面倒なことに巻き込まれるかもしれませんから気をつけてください。 リースの場合、車は確かに借用車ですが、契約期間中の管理責任は自己保有車と全く同じで、自分で自動車保険をかけ自分で車両税を払い自分で車の整備・点検を行わなければなりません。 中途解約がないので、帰国時には期日まで残りのリース料全額を払わなければなりません。車の返還時に損傷が見つかったり、契約で定められた年間走行距離(通常1万2千マイル)を超えて走っていた場合には、相応の罰金を払わなければなりません。 (典型的な自動車リースの例) リース期間3年、頭金10%でリースするとしましょう。リースは契約期間が満了して皆さんが車を返したら金融機関は中古車として市場で売却できますから、皆さんの「借金」は3年後の予想残存価格(Estimated Residual Value)を差し引いた金額です。 ローンに比べて「借金」が少ないので、月々のリース料がローンの元利返済額に比べて少ないのも当然…これを割安なファイナンスと思ったら、それは錯覚です。 トヨタやホンダなど中古車市場で人気が高い車の場合は、予想残存価格が高く設定されていますから、リース料はアメ車に比べて割安です。レクサスやアキュラなど高級ブランドになると、さらに割安です。でも、3年後には、新しい車に乗り換えるか、リースしていた車を買い取るかしなければいけません。 3年以内に帰国することになったら一大事…満期までのリース料を一括で払った上で、車を返さなければなりません。お知り合いに再リースするなり何なり、金融機関と話し合えば特別な救済策が見つかるかもしれませんが、いずれにしても面倒なことになります。帰国の日程がはっきりしない多くの駐在員の皆さんにはお勧めできません。 帰国資金の貯蓄のつもりでローンローンはリースよりずっと自由で、アメリカ人の大多数もリースよりローンを利用しています。帰国時にローンが残っていても、車の売却代金で残額を返済すればいいのです。 (典型的な自動車ローンの例) 借入期間5年、自己資金は10%で、90%をローンで借りるとしましょう。トヨタやホンダなど中古車市場で人気が高い車を買い、年に1万2千マイル(2万km弱)のペースで運転しながらローン返済を続けると、3年後には、車の売却代金がローンの残高を上回ります。帰国売却時にはおつりが来て、貴重な帰国資金の足しになります。 もっとも、現地の運転免許証もクレジット・ヒストリーもないアメリカに赴任して着たばかりの駐在員の皆さんに、ローンやリースを実行してくれる金融機関は少ないかもしれません。ディーラーに無理を言えば、多くの場合、メーカーの系列金融機関でファイナンスしてもらえると思いますが、信用のない人相手のとんでもなく高い金利が適用される可能性がありますから、喜んで借りる前にしっかり条件を確認してください。クレジット・ヒストリーが認められてお金が借りられるようになるには、クレジット・カードを使い始めてから1年くらいかかります。 |