日本で祝日というと、商店や一部の業種を除いて会社は一斉に休みますが、アメリカでは事情が違います。連邦政府の祝日は、分かりやすくいえば連邦政府のお役所がお休みする日のことで、国民に一緒に休みなさいと強制しているわけではありません。州や自治体には、連邦政府の祝日とは別に独自の祝日(州政府や自治体職員のお休み)を設けている例もたくさんあります。 日系企業も、都会の非製造業のオフィスは連邦政府の祝日に合わせて休みにしていますが、地方の製造業の工場は「格下の祝日」を無視して生産を続け、夏と冬に1週間ずつラインを止めて従業員が一斉にお休みするスタイルです。 連邦政府の祝日とビジネス別営業状況 一般的な傾向を表したもので、実際は地域やビジネスの性格によりマチマチです。銀行と郵便局は役所に準じます。
ランクが高い祝日 同じ連邦の祝日でも、祝日によって重さに格差があって、実に複雑です。 最も多くの国民が休むのは、クリスマスと感謝祭(表=■金色)…感謝祭の日には、日本の元日と同様で、ホテル、ガソリンスタンドや公共交通機関を除いて、お店も含めほとんどのビジネスがお休み。博物館や動物園もお休みかもしれませんから気をつけましょう。レストランやファーストフードを当てにしていると、空腹と戦う厳しい祝日になってしまいます。 感謝祭に比べると、クリスマスの方が営業しているお店は少しだけ多いような気がしますが、わが家の近所のウォルマートのように、感謝祭の日には開けても、クリスマスには「イブの午後6時からクリスマスの翌朝6時まで36時間お休み」と張り紙している例もあります。ほかのスーパーやドラッグストアも同様で、毎年、個別にチェックしないと分かりません。 第2ランク(表=■ピンク)は、夏の始まりを告げるメモリアルデー、夏の盛りに祝う独立記念日、夏の終わりのレーバーデーの3つの祝日と新年…お店はオープンして、むしろ盛大にセールする重要な祝日です。 メモリアルデーは南北戦争の戦没者の霊を慰める日として始まりましたが、北部主導の行事に反発する南部諸州は、別に南軍のメモリアルデーを設けています。 ランクが低い祝日 第3ランク(表=■黄緑)は冬の2つの祝日で、会社によって対応がかなりマチマチです。学校はたいていお休みで、ニューヨーク市のようにプレジデントデーの週を寒(かん)の休みにしているところもあります。 一番軽んじられているのが秋の2つの祝日(表=■水色)で、授業を休まない学校もたくさんあります。すぐに感謝祭が来るから、もうしばらく我慢しなさいという趣旨かもしれません。 コロンバスデーは一部の州で「先住民の日」などと名を変えて祝っているくらいで、「白人がアメリカを発見した日」は評判が悪いようです。 ベテランズデーはドイツが降伏し公式に第一大戦が終わった日ですが、11月11日の11時に式典が行われる慣わしで、連休になるように日が動かないのでつまらないといわれています。 8月15日は、第二次大戦を日本への原爆投下で終わらせた後ろめたさもあり、連邦政府の祝日にならなかったようです。中で、唯一ロードアイランド州では、8月の第2月曜日を「戦勝記念日」として祝っています。 |