グリーンビル・e-ガイド

サウスカロライナ州 グリーンビル

グリーンビル

Greenville

グリーンビル・e-マップ （掲載先索引）/アップステートとインターステート85号線/キングスマウンテンの戦いとカウペンスの戦い

グリーンビル･e-マップ

【アップステートの生活】　【グリーンビル周辺の観光と行楽】　【アップステートの観光と行楽】

アップステートとインターステート85号線

★ピードモント・アトランティック広域経済圏　★アップステートの暮らし　★アップステートの行楽

　全米には11の広域経済圏（メガリージョン）があり人口や仕事の7割が集中しているといわれていますが、アパラチア山脈の南山麓地方｢ピードモント・アトランティック広域経済圏｣もその一つです。

=≪ピードモント・アトランティック広域経済圏≫=

　サウスカロライナ州のアップステート地方は、南部の中核都市アトランタと成長著しいノースカロライナ州の三つの大都市圏をインターステート85号線（I-85）で結ぶ重要な回廊で、グリーンビルがその中心です。

　私が生まれた静岡は、東名高速で首都圏と中京・阪神を結ぶ地味なな存在でしたが、都会の喧騒も控えめで住み心地のよい都市でした。グリーンビル都市圏の人口も639,617人…ほどよく小ぶりで、やはり住みやすい場所だと聞いています。

　昔は繊維中心の工業都市で「南部の繊維センター」と呼ばれていたこともあります。1915〜1962年の間、毎年｢南部繊維博覧会｣が開かれていました。今は日系企業も多数進出しています。繊維産業のほか、自動車や化学など業種は多彩です。

=====≪アップステートの暮らし≫=====

　グリーンビルからシャーロットには車で1時間半、アトランタには2〜2時間半。ぶらりと買物に出かけられない距離ではありませんが、超高級ブランドでなければヘイウッド・モールやスパルタンバーグのウェストゲート・モールとアンダーソンのアンダーソン・モールで間に合います。

　和食レストランも周辺に多数あり、うち寿司勝（すしまさ）はタンポポという日本食材店を兼営しています。

　グリーンビル日本語補習校の生徒数は、幼稚部から中学部まで約60人。現在はフレンチスクールの校舎を借りています。

　グリーンビルのダウンタウンは、アップステートのショッピングとカルチャーのセンターです。1970年代にオーストリア系移民の市長が緑に包まれたヨーロッパの街を脳裏に浮かべ再開発を始めました。90年代には繊維工場の跡地がフォールズパーク（滝の公園）に生まれ変わり、緩やかにカーブした吊り橋が遊歩道として設けられています。

　ダウンタウンには動物園もあります。地元に本拠を置くスーパー「Bi-Lo」の名を冠るバイ-ロー・センターはスポーツ・アリーナですが、 ピース・センターとともにコンサートなどの興行に使われます。センター・ステージとウェアハウスは劇場。フルーア球場は、ボストン・レッドソックス傘下のマイナーリーグ（クラスA）球団のホームグラウンドです。ほかにも市内には、美術館やファンパーク、子供向けのサイエンスセンターなどがあります。 

=====≪アップステートの行楽≫=====

　アップステートの東西を州境に沿って走る州道11号線は、別名チェロキー山麓景勝道路（Cherokee Foothills National Scenic Highway）。インディアンが暮らしていた昔を想像しながら、ドライブをお楽しみください。

　白人入植前のチェロキーの生活圏には、ほかに現テネシーのオーバーヒル地方と現ノースカロライナのミドルタウンズ地方がありましたが、この地方にはキオウィー湖付近を中心にロワータウンズの16の集落があったのだそうです。

Chatooga River

北のジョカシー湖はダム湖で、形が「悪魔の鋤（すき）」に似ているので、その名もデビルズフォーク州立公園。二つあわせてアップステート一番の湖水リゾートです。

　景勝道路の北の山々は高さこそありませんが、眺めは抜群。テーブルロック山は名前通りに山頂がまっ平らで、垂直に切り立った足元にはテーブルロック貯水池を見下ろし、その先5マイルには人面岩のシーザーズヘッドを望みます。

　ジョージアとの州境を流れる チャトゥーガ川はサバンナ川の支流です。川床が岩でゴツゴツしていて、流れが早い初春はカヌーやイカダ下りの人々にはベストシーズン。春がより深まるにつれ、川筋はピンクと白のアメリカシャクナゲで彩られます。

キングスマウンテンの戦いとカウペンスの戦い（アメリカ独立戦争）

★タカホとコヒー　★愛国派と王党派　★オーバーマウンテン部隊

　1778年11月、開戦から4年目の冬に入りアメリカ独立戦争は膠着状態にありましたが、イギリス軍が王党派住民が多い南部で戦端を開き、翌年8月までに植民地軍は一気に追い込まれてしまいます。

　アップステートのキングスマウンテンとカウペンスの戦い…もしも植民地軍の二つの大勝利がなければアメリカの独立は実現せず、世界史は大きく変わっていたことでしょう。

　日本の教科書には、独立戦争はアメリカ植民地とイギリスの対立としてサラッと説明されていますが、南部戦線を虫眼鏡で拡大して見ると、事情は戦国時代や明治維新の日本にも負けずに複雑なことが分かります。

======≪タカホとコヒー≫======

　17世紀から18世紀初頭にバージニアと南北カロライナの沿岸平野に入植したのは、主にイングランドの北部や西部から移民でカトリックに近いイギリス国教会系の信者でした。湿潤な気候により病気が流行り苦労したものの、黒人奴隷を使ってタバコや米のプランテーション農業を進め豊かになりました。

　ヤンキーといえば北東部のアメリカ人の別称ですが、この人たちも当時の食用きのこの名前をもらってタカホ（Tuckahoe）と呼ばれていたそうです。

　18世紀に遅れたやってきた^(注)スコッチアイリッシュを中心とする移民は、当時奥地と呼ばれていたアパラチア山麓や丘陵地帯に入植して家族農業を始めました。現代の福音派につながるプロテスタントの人々です。言葉のなまりをからかわれ当時は｢コヒー（Cohee）｣と呼ばれていました。

^(注)スコッチアイリッシュ…17世紀の初頭にスコットランドとイングランド国境付近から北部アイルランドに入植した人々の子孫。

　タカホは植民地政府の実権を握り、貧しいコヒーをさげすんで差別しました。宗派が違うために婚姻が認められず、奥地の人々は土地の売買にも困ったのです。フォールライン（滝の線）という段差があるので、船は丘陵地帯に上れず経済的にも孤立していました。

　1760年代から70年代初めにかけて、南北カロライナの奥地で｢レギュレーターズ｣という反植民地政府運動が起こり、ノースカロライナでは軍事衝突にまで発展しました。結果的に鎮圧されてしまいましたが、レギュレーターズ（規制者）というのは正に準政府とでもいうようなもので、自治を求めた点で独立戦争のさきがけと評価する人たちもいます。

======≪愛国派と王党派≫======

　しかし、レギュレーターズを支持していた奥地の人々の多くは、独立戦争でタカホと手を組んで戦う気持ちにはなれず、植民地軍に加わろうとしませんでした。

　その上、ジョージア植民地への新参移民やフレンチ･インディアン戦争で傭兵として働いた北部スコットランド系移民など積極的な王党派（Loyalists/Tories）の人々はチェロキーとともにイギリス軍を加勢しましたから、植民地軍にとって南部で最も重要な拠点チャールストンがも、1780年5月に陥落してしまいます。

　ところが、この時に援軍として派遣された小部隊がシャーロット付近でイギリス軍に虐殺され、この事件が奥地の人々の愛国心を駆り立てたそうです。イギリス軍は、8月にカムデンの戦いに勝ち、その勢いでノースカロライナに侵入したものの、それに合流しようとした王党派民兵の部隊を、10月に愛国派（Patriots/Whigs）民兵がキングスマウンテンの山岳戦で壊滅させてしまいます。

======≪オーバーマウンテン部隊≫======

　愛国派の主力はブルーリッジ山脈を越えて来たのでオーバーマウンテン部隊（Over the Mountain Men）。イーストテネシーのワトーガ砦でチェロキーと敵対関係にあった人々でした（⇒ノックスビル・e-ガイド「チェロキーと西部開拓者」）。新天地を目指して西へ西へと進む開拓者（パイオニア）にとって、インディアンの土地を守ると約束したイギリスは宿敵だったのです。

　レギュレーターズの残党の一部は王党派に身を投じましたが、別の一部は新天地を求めワトーガ砦の仲間に加わったともいわれています。この頃の奥地では友人や身内の間でも骨肉の争いが起き、まるで内戦状況になっていました。フレンチ･インディアン戦争が終わってからアメリカ独立戦争が始まるまでの12年に敵味方の組み合わせが大きく変わり、人々の運命も大きく翻弄されたわけです。

　翌年1月のカウペンスの戦いでも愛国派民兵が活躍しました。ダニエル･モーガン将軍が戦史に名高い背水の陣を敷いてイギリスの正規軍に完勝。米英の形勢が逆転して、植民地の勝利と独立が決定付けられたのでした。

グリーンビル･e-マップ掲載先一覧

掲載先の住所や詳細については、上の｢e-マップ｣でごらんください。掲載先の加除訂正に関しご意見ご要望等があれば、ご連絡ください。ご本人でも第三者の方でもかまいません。　KJBusiness Consulting 山田 Email: info@jlifeus.com

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