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アメリカ人のメタボ事情

★3人に1人が高度肥満 ★特に南部で深刻


3人に1人が高度肥満


 日本では、腹囲が、男性で85cm以上、女性でも90cm以上あれば、メタボの候補者と認定されてしまうそうですが、仮に世界中にメタボ健診があったらたいへん…アメリカ人の大多数がメタボ候補者になってしまうに違いありません。

 国際的に肥満度を比較するにはBMI(ボディ—・マス指数)がよく使われますが、OECDの調査(1996年から2003年まで基準年は各国マチマチ)では、対象30か国中でBMI30以上の肥満(Obeisity)該当者が一番多い国はアメリカで100人中30人、一番少ない国が日本で100人中3人…アメリカに比べれば、ほんの十分の一にしかならないのです。ご参考までに、BMIは体重(kg)÷身長(cm)で、区分は、

 区分

BMI 180p 175p 170p 165p 160p 155p 150p
やせ過ぎ  
16.5 53.5 50.5 47.7 44.9 42.2 39.6 37.1
やせ気味
18.5 59.9 56.6 53.5 50.4 47.4 44.4 41.6
正常
25 81.0 76.5 72.2 68.1 64.0 60.1 56.2
太り気味
30 97.2 91.9 86.7 81.7 76.8 72.1 67.5
肥満
35 113.4 107.2 101.1 95.3 89.6 84.1 78.7
肥満症
40 129.6 122.5 115.6 108.9 102.4 96.1 90.0
肥満病
    

南部で特に深刻


 アメリカ国内でも一律ではありません。最近、CDC(米国疾病予防センター)2007年の肥満者に関する調査がまとまりましたが、肥満者の増勢に歯止めはかからず、とりわけ南部一帯では深刻化する一方です。

 

    30%超     25-29%     20-24%     15-19%     10-14%     5-9% 

    30%超     25-29%     20-24%     15-19%     10-14%     5-9% 

 地図をごらんになってお分かりのように、肥満者の比率はミシシッピー、アラバマ、テネシー、ルイジアナ、ウェスト・バージニアの南部5州が既に3割を超えています。

 でも、昔の映画やテレビ・ドラマを見ると、街行く人々も今ほど太っていなかったはずとお思いの方は動く地図で1985年からの推移をごらんください。ものすごいスピードで、肥満者が増えてきたのですね。白は調査データが残っていないことを示していますが、調査する必要もないほど肥満者が少なかったと考えていいでしょう。

肥満者が多い上位10州 (⇒ 50州の表)
州名 肥満者 +太り気味 肥満児 貧困層
Mississippi 32.6% 1 68.1% 2 17.8% 7 20.1% 1
Alabama 30.9% 2 66.6% 5 16.7% 10 16.7% 4
Tennessee 30.7% 3 67.4% 4 20.0% 3 15.0% 10
Louisiana 30.7% 3 65.2% 10 17.2% 8 18.3% 2
W. Virginia 30.3% 5 68.0% 3 20.9% 1 15.4% 7
Arkansas 29.3% 6 65.6% 7 16.4% 11 13.8% 14
S. Carolina 29.0% 7 65.3% 9 18.9% 6 15.0% 9
Oklahoma 28.8% 8 65.1% 11 15.4% 16 15.6% 6
Kentucky 28.7% 9 69.1% 1 20.6% 2 14.8% 11
Georgia 28.7% 9 65.0% 13 16.4% 11 14.4% 13
North Carolina 28.7% 9 64.6% 18 19.3% 4 13.1% 17

 私がカナダのトロントに赴任したのが1987年ですが、その頃はアメリカ人の肥満度も現在の日本人並みだったのかと思うと感無量…これから20年後に日本がアメリカに追いつかないように祈るばかりです。

 私たちが住んでいるケンタッキー州はジョージア州やノース・カロライナと同率で9位タイですが、実は、太り気味(BMI25以上)を含めると堂々全米1位です。上位の州では、ほぼ10人に7人が太り気味か肥満というひどい状態。

 次に右の表をごらんください。原因のひとつに貧困問題がからんでいるのではないかともいわれています。貧困家庭ほど安くてカロリーたっぷりの(注)ジャンク(がらくた)フードやコーラなど糖分の多い飲料に頼る傾向が強いのかもしれません。

(注)ハンバーガーやピザ、ポップコーン、ポテトチップスなどうっかり目を離していると、アメリカにいる間にお子様がジャンク・フード嗜好になってしまいますから他人事ではありません。お気をつけください。もちろん、ご自身も…。