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2013年7月15日(第85号)


銃規制強化に上院が「ノー」・危険な幼児用ライフル

 監禁事件の劇的な救出劇・スキャンダラスな裁判

 アメリカ生活を存分に楽しむなら、たまには現地マスコミの報道を通じて、ナマのアメリカの日常に触れてみませんか。このコーナーでは、毎月、現地マスコミの動画ニュースの中から皆さんのご興味をひきそうな話題を選んで、日本語解説付きでごらんいただきます。


被告が正当防衛の根拠とする写真

 昨年3月に起きたフロリダの黒人少年射殺事件で無罪評決が出て全米各地で抗議デモが起きているのはご存じかもしれませんが、問題の核心は裁判の様子が連日テレビ中継されていて、その上で、多くのアメリカ市民が「無罪」に納得できなかったことです。

 警察のアドバイスを無視して黒人少年の尾行を続けた警備員(被告)は、弁護団の勧めで法廷証言を拒否(黙秘)しています。少年役の弁護士がダミー人形(被告)に馬乗りになって暴行を加える演技は、正に「死人に口なし」でした。

 仮に、被告が引き金を引く瞬間に少年の反撃を受けていたのが真実だとしても、この判決を前例とすると、正当防衛で人を殺したければ、素手の相手を挑発しておいて、反撃されたら、しめたとばかりに射殺したらいいことになってしまいます。

 単純に、人種差別反対で、黒人だけが抗議デモをしているわけではありません。


6月21日…ロッキーの豪雨でカルガリーが水浸し

7月10日…トロント集中豪雨では通勤電車が孤立

6月30日…アリゾナの山火事で消防士19名が殉職

6月30日…世界最高気温100周年のデスバレーも猛暑


6月21日…ロッキーの豪雨でカルガリーが水浸し

 6月19〜22日にカナディアンロッキー一帯に100〜200oの降雨があり、山麓各地で洪水が起きました。

 アルバータ州にとっては史上最大の大洪水で、カルガリーのダウンタウンも水没して全くお手上げ状態でした。

 それにしても、カルガリーであふれた水は、一体どこに流れ下るのでしょう?日本と違って、大陸の川はとんでもない長旅をします。

 カルガリーのダウンタウンを水浸しにしたのは、ボウ川とその支流のエルボウ川です。ボウ川は南サスカチュワン川に合流し、エドモントンを流れる北サスカチュワン川と合流してサスカチュワン川となり、シーダー湖を経てウィニペグ湖に流れ込むのですね。

 シーダー湖とウィニペグ湖は、ウィニペゴシス湖、マニトバ湖、ウッズ湖とあわせて、いわば「カナダの五大湖」…3万年前から1万年前にかけて存在したアガシ氷河湖の名残りで、今回の洪水の水も、ウィニペグ湖からネルソン川を下って、最後はハドソン湾(北極海の一部)に注ぐのです。

 その距離4000q超…ミシシッピー川最長ルートの約6000qには及びませんが、北海道から沖縄に至る日本の長さ約3000qと比べて、大陸の大きさを実感してください。


7月10日…トロント集中豪雨では通勤電車が孤立

GO Train

 7月9日には、トロントで、夕方のラッシュアワーの2時間に集中豪雨が降り、市内各地で洪水が起きました。126ミリの降雨は、1日あたりで見ても、それまでの1日36ミリ(2008年)をはるかに超える大記録です。

 一時は50万戸が停電して、地下鉄も運行停止。道路で水没する車が相次ぎ、帰宅困難者が街にあふれました。

 中でも最大の事件は、ドンバレー(ドン川の渓谷)沿いに走る2階建ての通勤列車ゴートレインの孤立と乗客1400人の救出でした。1階の窓は水に浸かり、車内にはヘビが忍び込んで泳いでいました。最後の乗客がボートで救出されるまで7時間かかりました。


6月30日…アリゾナの山火事で消防士19名が殉職

 カナダや米北部が多雨で悩まされている頃、カリフォルニア南部からテキサスに至る乾燥地帯は連日40℃を超える熱波に襲われていました。

 アリゾナ州フェニックスの北東約75マイル(120q)の小村ヤーネル付近で6月28日に起きた山火事は、強風にあおられて30日に一気に拡大し、消火に当たっていた消防士19人が逃げ遅れて死亡しました。

Fire Shelter

 山火事でこれほどの数の消防士が殉職したのは1933年のロサンゼルスの山火事で29人が亡くなって以来で、史上2位。山火事以外の火事や事故をあわせても史上6位の悲しい記録で、最近では2001年の同時多発テロ事件で343人を失ってから一度に2ケタの消防士が亡くなる事故が途絶えていましたが、今年は4月のテキサスの化学工場爆発事故で10人が殉職したばかりでした。

 山火事のスピードは早くても時速20q程度ですが、飛び火もあり、一瞬のうちに側面や背後に火が回ることがあります。今回、殉職したのはヤーネルに近いプレスコット市の20名の山岳消防隊で、本隊から少し離れた所にいた見張り一人を除いて全員が死亡してしまいました。

 逃げ遅れた消防士が最後の希望を託した防火袋(ファイアシェルター)も、業火の前には無力だったようです。山火事の消火作業がどれほど危険かは、6月10日に発生したコロラドスプリングスの山火事の消火作業をごらんになれば、一目瞭然です。消防士たちが、限りある水を大切に使うために、火が目前に迫るまで民家の前でじっと待ち構えている姿が撮影されています。


6月30日…世界最高気温100周年のデスバレーも猛暑

 カリフォルニア州のデスバレー国立公園は、1913年に56.7℃ (134°F)の世界最高気温を記録した場所で、7月10日に100周年を迎えました。その折も折、アリゾナの山火事で多数の殉職者を出した熱波は、デスバレーで6月30日に53.9℃(134°F)…世界記録まであと5°Fと迫る猛暑をもたらしました。

 デスバレーは、1万年前まであった内陸湖が干上がってできた荒涼とした地形です。観光客を呼び込もうと、国立公園の職員が火の気なしにフライパンで目玉焼きができる動画をYouTubeに投稿したところ、卵をじかに石の上で焼いたり、卵の殻を捨てていくけしからん観光客が続出して困っています。