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所得税率と景気・財政

★景気刺激小切手の起源 ★日米所得税の累進税率 ★ブッシュ減税と財政の崖


 2009年3月の「アメリカ生活・e-ニュース」第33号の掲載記事に、最近の経済情勢を書き加えて再編集しました。


 アメリカでは、2008年の初夏に、景気刺激小切手(Economic Stimulus Check)が国民に一斉に郵送されました。日本でも、2009年の春に定額給付金の支給をしました。日本がアメリカを真似したのかと思ったら、どうやらアメリカが日本の真似をしていたようです。


景気刺激小切手の起源


 世界初かどうか知りませんが、日本で、1999年、小渕首相時代に地域振興券という商品券が配られたのは覚えておいでですか?アメリカでは、2001年に、就任間もないブッシュ大統領が、その年の減税額を小切手で前払いしようという還付税小切手(Tax Rebate Check)を配ったのが、この種の給付金の始まりです。

 オバマ大統領も景気刺激策の中に一律減税を盛り込んではいますが、バラマキ方式ではなく、今年の納税額から控除する方式を採用することになるかもしれません。もちろん、事務コストから考えたら、控除方式が最も合理的です。しかし、ブッシュ時代の小切手の場合も、基本的には納税者の住所に郵送するだけですから、それほど大きな事務負担にはなりません。

 地域振興券は、当初、定額給付金のように全ての国民に支給する方向で検討されていましたが、結果的には子供を持つ世帯主や高齢者など約3千万人に限って支給され、もらえなかった人たちに不公平感が残りました。そこで今回は全国民に例外なく支給しようとしているわけですが、アメリカのように国民総背番号制が確立していませんから、事務処理に当る自治体に大きな負担がかかってしまいます。

西暦 政権 名称 配布方法 金額と対象者
1999

小渕

地域振興券

自治体経由

一人2万円…15歳以下の子供がいる世帯主、満65歳以上の被扶養者、その他年金や手当、生活保護の受給者など
2001

ブッシュ

還付税小切手

政府が郵送

平均的な納税者の場合は、個人$300、夫婦(合算申告)$600、その他の世帯$500
2008

ブッシュ

景気刺激小切手

政府が郵送

平均的な納税者の場合は、個人$600、夫婦(合算申告)$1200、17歳未満の子を扶養する場合は一人に付き$300
2009

麻生

定額給付金

自治体経由

住民基本台帳に記録されている者と特別永住者など一人1万2千円、65歳以上または18歳以下なら一人2万円
2009

オバマ

特になし

税額控除

一般納税者は個人$400、夫婦(合算申告)$800、高額納税者は段階的に減額、年金等受給者に$250の小切手郵送

日米所得税の累進税率


 さて、ここで日米所得税の税率を比べてみましょう。

 アメリカでは、最高税率が70%で所得区分が17あった累進課税が、レーガン(1981-89)と父ブッシュ(1989-93)の共和党時代に最高31%で3所得区分と劇的に緩和されました。

 現在の6所得区分の原形を作ったのは、民主党のクリントン政権です。

 日本でも、時を同じく80年代の中曽根(1982-87)と竹下(1987-89)内閣の時代、ついで小渕内閣の1999年に累進課税が大きく緩和されました。

 所得税には控除制度があり、アメリカには州税もあるので、実効税率をグラフの数字で比較するのは困難です。といっても、現在のアメリカの累進課税率がお金持ちに極端に甘いのは一目瞭然です。

日本の所得税率の推移⇒クリックで拡大

アメリカの所得税率(夫婦合算申告)の推移⇒クリックで拡大


ブッシュ減税と財政の崖


 2012年の大統領選挙では、景気回復とともに財政の健全化が重要な争点になりました。

 

 

この記事は、現在編集中です。